移民の影響で、失業率が7.5%に

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  • 国別労働トピック:2005年11月

ISTAT(国立統計局)は、2005年第2四半期の失業率が、前四半期に比べて0.4%低下し、7.5%になったと発表した。この数値は、過去13年間における最低水準である。季節調整値でみても7.7%であり、1992年の第4四半期以降最も低い。労働ポストの増加状況も好調である。雇用数は2265万1000であり、年ベースで1%の増加、ポスト数にして21万3000(季節調整値では9万)増えている。以上のデータは、経済の伸びが鈍っている中でのものである。

今回の労働の機会が増加には、移民の正規化や求職の放棄の増加も絡んでおり、複雑である。また、南北の格差が拡大しているという事情もある。

ISTATのコメントによれば、外国人の戸籍簿への登録が進んだことによる人口の増加(1.1%増)も、今回の雇用者の増加に寄与したはずとされている。また、求職者の減少(今回のデータでは83万7000人であり、1年前と比べて8万6000人の減少)については、「とくに南部の女性による求職活動の断念」に原因がありそうだと分析されている。

今回の労働ポストの増加に関しては、女性就業者よりも男性就業者の増加が目立った(男性10万7000人増に対し、女性2万人増)。地域別にみると、北部と中部では労働ポストが増加したが(それぞれ16万3000増と2万7000増)、南部では逆に減少している(男性の労働ポストについては1万8000増加したが、女性が8万1000減少したため、全体で6万3000減)。15歳から64歳までの年齢層に関する雇用率は57.7%に達し、前年に比べ0.2%上昇している。就業形態別にみると、被用者は増加したが(38万1000人増)、自営業者は減少している(16万8000人減)。部門別にみると、農業、工業では労働ポストが減少したのに対し(それぞれ1万7000減と7万9000減)、建築およびサービス業では増加した(それぞれ10万3000増と20万6000増)。フルタイム労働者は16万1000人、パートタイム労働者は5万2000人増加している。有期労働者は12万9000人増加し、全被用者の12.4%に達した。

ロベルト・マローニ労働社会政策大臣は、このデータを「明らかにプラス」で、ビアジ改革の効果を示すものとしているが、左翼民主党(DS)や労働組合からは、北・中部の不安定雇用が増加し、南部は相変わらず困難な状況に置かれたままだとの批判があがっている。

参考

  • Corriere della Sera2005年9月21日付

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