(香港特別行政区)失業率7%、最悪記録を更新

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

中国の記事一覧

  • 国別労働トピック:2002年7月

香港の失業率は2001年11月?2002年1月期に6.7%を記録して、従来最悪だったアジア経済危機後の1999年1月の6.4%を更新したが(本誌2002年5月号参照)、2001年12月~2002年2月期には6.8%となり、2002年1月~3月期にはさらに7%に達し、最悪記録の更新を続けている。

政府が4月18日に発表した統計では、2002年1月~3月期は、失業者数も23万9000人となり、前月比でさらに1万1000人増加した。失業者数も、2001年9月~11月期に20万人の大台を再び突破し、2001年10月?12月期に21万人となって過去の最悪記録を更新したが、それ以来最悪記録の更新を続けている。また、02月1月~3月期は、労働力人口は5400人増加して346万人になったが、就労者数は5800人減少して322万人になった。

政府スポークスマンは、失業率の悪化は有力企業のレイオフと労働力人口の増加に起因するとしているが、イアン・パーキンス商工会議所主任エコノミストも、労働市場の悪化の時期に就労者数の減少が労働力人口の増加を数字的に上回ったことは、政府にとっても懸念材料になるとしている。また、エコノミスト等の中には、さらに労働市場が悪化すると予測するものがあり、例えば、シティー大学のチャールズ・リー助教授は、今年度中に失業率は8%に達する可能性があるとしている。

他方、経済成長については、政府は2002年は1%と予測しているが、アジア開発銀行はもっと楽観的な見通しで、香港の経済成長は2002年は2.1%、2003年は4.8%になると予測し、労働市場の悪化に対して景気はある程度力強く回復すると予測している。

このように、景気がある程度回復しても労働市場の改善がそれに伴わない状況が予測されているが、ある専門筋は、アジア経済危機の後の1999年から2000年にかけて、景気回復とともに労働市場の改善に展望が開けたようなことは、今回は期待できないとしている。同筋は、香港が目下産業構造の激しい転換の中にあり、従来保護された有力企業が厳しい競争にさらされ、生き残るためにはある程度のリストラが必要だとし、企業業績の回復にもかかわらず2002年3月に858人を解雇したパシフィック・センチュリー・サイバー・ワークス(従来保護された香港テレコムを吸収合併したが、香港では今後通信部門で規制緩和が行われる)がその代表例だとする。そして他にも多くの類似した例があるので、目下の高い失業率はしばらく続くと見ている。

だとしても、香港はかつて経験したことのない高い失業率にみまわれており、董建華長官も、4月の統計の発表を受け、失業問題を2期目の最優先課題にすると表明している。

2002年7月 中国の記事一覧

関連情報