(香港特別行政区)失業者数20万人を突破

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2002年3月

政府人口統計局が2002年12月17日に発表した労働市場統計によると、香港の9月-11月期の失業者数は約2年ぶりに20万人の大台を突破し、状況はさらに悪化することが懸念されている。

人口統計局によると、失業者数は20万5000人で、この1年間で6万人以上が職を失ったことになり、失業者数はアジア経済危機の煽りを受けて最悪を記録した1999年12月の20万8700人に次ぐものとなった。失業率も5.8%で、前期比で0.3ポイント上昇し、5月-7月期から連続4カ月の上昇を記録したが、これも最悪だった1998年末の6.4%に近づいている。不完全雇用率は2.9%で、前期比で0.3ポイント上昇した。また、就業者数は、6月-10月期の343万9200人から若干減少して、343万3000人だった。

雇用状況の悪化はほとんどすべての主要産業部門で見られたが、特に悪化したのは建設、製造、商品配達、運輸、金融サービスの諸部門だった。

11月30日に発表された景気動向統計では、香港の経済成長は2001年第3四半期に、前年同期比で0.3%縮減し、第2四半期と比べて0.4%増大した。また修正された第2四半期に関しては、経済成長は前年同期比で0.8%増大、第1四半期と比べて1.4%の縮減だった。したがって、景気低迷は継続しているが、前年同期比で2期連続の縮減または2四半期連続の縮減という香港でも一般的に採用される景気後退(リセッション)の標準に照らすと、香港経済は辛うじて景気後退を免れていた。

しかし、労働市場の悪化が継続している香港では、12月初めまでの10日余りの期間に、最有力企業の一つ、パシフィック・センチュリー・サイバー・ワークス(PCCW)で506人が解雇されるなど、銀行、レストラン、メディア産業等で1000人以上が職を失い、政府労働局に助力を求める者が増加しており、このような状況で発表された政府の統計は、厳しく受け止められている。

アントニー・ルン財務長官は、香港の景気低迷と米国の景気後退により、短期的には労働市場統計はさらに悪化する可能性が大きいと述べている。ただ、米国の金利の引き下げが功を奏して、同国の景気は2002年の一定の時期には回復基調に転じ、香港経済はこれに連動するから、あまり悲観的になり過ぎる必要はないとしている。

また、イアン・パーキン商工会議所主任エコノミストは、現状を分析して、失業率の上昇が不安心理を高め、それが消費の抑制につながり、そのことがまた景気の低迷に影響すると述べている。同氏はまた、雇用の展望が改善されるためには、低迷する現在の景気状況に対する見方が改善される必要があるとし、それには米国経済と世界経済の回復を待たねばならず、それには少なくとも2002年の第2四半期以降まで待たなければならないとしている。

ちなみに、PCCWでの人員削減は12月5日に発表され、7月に290人が解雇されて以来、6カ月以内で2回目の解雇となり、今回解雇された506人は技術者から管理職にまで及んでおり、総従業員1万4000人の3.6%に当たっている。

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