(香港特別行政区)失業率5.3%に上昇
厳しい景気・雇用状況の中、人口統計局が2001年10月16日発表した統計によると、7~9月期の失業率は5.3%で、前期比で0.4ポイントの上昇となった。
10月7日には政府に対して雇用創出と公共部門のレイオフ見直しを求めた1300人のデモが挙行され、10月10日には厳しい雇用状況を踏まえた董建華長官の施政方針演説があり(前提記事参照)、また、労組、研究者等からは、失業率は3年ぶりに5%を突破して、5~5.1%程度になるとの予測が出されていた。このような中で人口統計局の発表があったが、結果はこの予測を超えた数字となり、3カ月連続の上昇を記録し、かつ過去17カ月で最高の数字となった。また、0.4ポイントの上昇は、前期比では1998年末以来最大の上昇幅だった。失業者数は、18万6000人で、前期比で1万3800人の増加だった(グラフ参照)。このような統計の発表を受けて、現状に対する厳しい見方が相次いでいる。
タン・クォン・ユー政府エコノミストは、もっとも打撃を受けた部門は、建設業、製造業、飲食業、小売業、貿易業の諸部門だが、運輸業と観光業が次に打撃を受ける部門になると述べている。同氏はまた、現在の状況は経済外的要因との関連がより大きいから、金融危機の要因がより大きく、失業率が6.4%のピークに達した1998年の状況と比較するのは困難だとし、最悪のシナリオも、景気が回復基調を示す時期も、ともに予測することは困難だとしている。
アントニー・ルン財務長官は、米同時多発テロの完全な影響はまだこの統計に反映されていないので、向こう数カ月間失業率はさらに上昇し、来月発表予定の国内総生産(GDP)の成長率の修正も、従来の予測1%をさらに下回ることになろうと述べている。また同長官は、政府は董建華長官の施政方針演説で発表された3万2000人の短期採用の雇用の創出をできるだけ早く実施に移し、民間部門が雇用の機会を創出できるように企業のための環境を改善したいと述べている。さらに同長官は、民間企業に、この厳しい時期にできる限りレイオフを控えるようにとの要望を出している。
リンナン大学公共政策研究センターのホー・ロク・サン助教授は、失業率はやがてアジア経済危機の時のピークだった6.4%を越えると予測しており、世界経済が引き続き悪化している現在、香港経済も極めて厳しい局面を迎えていると述べている。
労働側からは、特に雇用に対する危機感が表明され、政府は言葉ではなく、すぐにも政策を実行に移すべきだとしており、工連会(FTU)は10月16日に政府に対して嘆願書を提出し、長官の施政方針演説の3万2000人の雇用創出策の期間を、1年から3カ月に短縮して実施すること、向こう15年間の6000億ドルのインフラ整備計画の実施を早急に開始することを強く要請している。
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