賃金格差が拡大(業種別、学歴別、男女別等)

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2002年1月

労働社会保障部が2000年9月に発表した全国の賃金情報によると、中国では企業別、業種別の平均賃金の格差が拡大しており、外資系企業や、金融業、保険業の従業員賃金水準は、全体のトップレベルとなっている。

全国企業のなか、2000年の従業員平均賃金が比較的高いのは外資企業および台湾・香港・マカオ系企業であり、それぞれ年間1万5037元と1万2547元となっている。賃金水準が比較的低いのは私営企業と集団所有制企業であり、それぞれ7443元と7462元となっている。最高賃金水準と最低賃金水準の比率は2.02:1となっている。

業種別にみると、金融、保険および不動産業では従業員の平均賃金が比較的高く、それぞれ年間1万6033元と1万4946元となっている。農業、林業、牧畜業、漁業および採鉱業では比較的低く、それぞれ7650元と8282元となっている。最高賃金水準と最低賃金水準の比率は2.1:1となっている。

また、労働社会保障部の調査によれば、企業経営者の賃金水準は所在地の労働者平均賃金をやや上回っている。都市部企業経営者の賃金水準は、一般的に所在地従業員平均賃金の約2倍であるが、2倍にならない都市も多数存在している。地域ごとにみると、経営者の年俸は大きく異なり、南京市の経営者年俸は14万1800元に達する者もいる一方、蘭州市では経営者の最高年俸はわずか2万1959元である。

また、学歴別にみると大学院卒の賃金水準が最も高い。次いで大卒、中卒およびそれ以下と下がる。南京市では大学院卒は最高年収8万7886元、平均年収3万2051元で、大卒は最高年収6万2609元、平均年収2万8415元である。成都市では、博士以上の学歴を持つ者の最高年収は6万元、平均年収4万592元であり、中卒およびそれ以下の者の最高年収2万5元、平均年収8244元である。

一方、国家統計局と全国婦人連合会が共同で行った全国の女性の地位についてのアンケート調査によると、過去10年間、女性の経済収入は大幅に向上したものの、男性との収入格差は明らかに拡大している。たとえば、1999年都市部就労女性の年間平均収入は7409.7元で、男性平均収入の70.1%であるが、男女間収入格差は1990年に比べて7.4%も拡大している。

収入分布からみると、都市部就労女性のうち、年収5000元以下の低所得層が47.4%も占めており、男性のそれよりも19.3%多い。逆に、年収が1万5000元以上の高収入の女性は6.1%であり、収入が中レベル以上の女性の比率は男性より6.6%低い。

都市部における男女間収入格差は職業との相関が強い。女性は比較的収入の低い職業に多く集中しており、同じ職業の中でも女性の職務は男性より賃金が低い。調査データは、管理職における女性の人数が増えており、専門技術職における比率も男性より高いと示しているにもかかわらず、この2種類の職業における女性の収入はそれぞれ同業男性の57.9%と68.3%に過ぎず、平均水準を下回っている。

他方、農村地域では、農業労働の女性化の傾向が出てきており、農業生産のみに従事する農村女性の比率は82.1%にもなっている。それに対して、農業以外の生産活動に従事する男性の比率は全農村男性の35.3%に達し、女性の倍近くある。逆に、農村女性が農業以外の生産活動によって得られる収入は全収入の13%に過ぎず、男性のそれより9.6%低い。

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