WTO加盟によって、農業、自動車産業、金融業のリストラが増加

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2002年1月

張左己労働社会保障部長は、2001年末にジュネーブで行われた国際労働組織の雇用フォーラムで、中国がWTO加盟後、最も風当たりが強い農業、自動車および銀行業などの分野でリストラがさらに深刻化し、労働市場は大規模な再編を余儀なくされると指摘した。張部長によれば、伝統産業はWTO加盟後の構造改革の中で、余剰労働者問題が一層顕在化し、多くのレイオフ労働者を弾き出すこととなる。

張部長は、WTO加盟後にますます多くの海外企業が中国に進出し、国内企業から人材を奪うことを念頭に、国有企業は研究開発や生産技術を向上させると同時に、労務管理に一層磨きをかけないと、優秀な人材を引き止められないと警告した。

張部長はまた、中国の経済成長率が2000年の8%台に続き、2001年9月まで7.6%を維持していることを踏まえて、中国のWTO加盟による失業増大には、経済成長が部分的に歯止めをかけることになるとも指摘した。世界経済の低迷やテロ事件の米国経済への衝撃などは、中国の輸出にも一定の影響を与えるものの、中国経済の発展の勢いがまだ強いため、それらの影響を克服できるとも述べた。

中国国内の研究によれば、WTO加盟は中国経済の成長率を約1.5%引き上げるが、加盟直後の一時期は、都市部労働者の雇用情勢について決して楽観できず、内陸部の失業人口も増える可能性がある。2001年6月までに、国有企業のレイオフ労働者は1600万人に達しているが、そのうちの1200万人は再就職を果たしている。

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