深土川市の最低賃金が5%アップ

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2001年8月

深土川市政府は、優秀な労働者を同市に引き止めるために、2001年5月から労働者の最低賃金の基準を5%アップさせた。これにより、深土川市の最低賃金の基準額は月額574元となり、深土川市に隣接する宝安と龍崗の二地域でも、最低賃金を月額440元と決定した。深土川市労働局によると、新しい最低賃金基準は、2001年5月1日からスタートし、有効期限は1年間である。深土川市労働局は特に、新基準は国内企業、外資企業を問わず、すべての企業に適用され、新基準を守らない企業は処罰されると強調した。

深土川市労働局副局長は記者会見で、今回の最低賃金調整の目的は、労働者の所得増加と人材の引き止めにあると説明した上で、各事業所に対して、最低賃金基準を厳格に遵守するように求め、労働局は最低賃金の実施状況を企業に対する労働検査の重点とするとも述べた。

現在、北京、上海などの大都市の最低賃金基準は400元前後であり、深土川市の最低賃金基準は現状では、中国全土で最も高い。

広東省の深土川市と東莞市で工場を経営し、家電生産を行うある外資企業の経営者は、深土川市政府による最低賃金基準の引き上げが、長期的にみれば、企業経営コストの増加を引き起こしかねないとの懸念を表明した。この経営者によれば、深土川市の高い賃金水準と今回設定された比較的に高い最低賃金基準は、特に深土川市に投資を予定し、あるいは追加投資を予定する外資系の中小企業に大きな影響を与えかねない。これらの経営者が、深土川市を見限り、投資先を近隣地域に求める恐れがある。

また、この経営者は最低賃金基準の引き上げは労働者の所得を増やすためとする深土川市政府に異論を唱えた。その理由として、深土川市では、めぼしい労働者の月給は、大抵数千元を超えており、月給が数百元にすぎないのは、一部の国有セクターや外資企業の末端労働者に限られているとのことである。

ちなみに、中国労働社会保障部と中国国家統計局が発表した2000年度の統計公報によれば、2000年における全国都市部雇用労働者の平均年間収入は9371人民元であり、平均月給は780元である。実質的には前年比11.4%増を実現した。平均賃金が最も低いのは集団所有制企業で、その次は国有企業である。平均賃金が比較的高いのは外資系などの非国有企業である。また、全国2000年末までの都市部登録失業率は3.1%で、そのうち、国有企業のリストラ労働者は657万人となっており、1999年同期より4万7000人増加した。

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