一部の企業が週給制を導入

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2001年8月

中国の一部の企業では、週給制という新しい賃金制度を導入している。1998年3月、大手国有企業の杭州西冷電器有限公司が最初に週給制を試行した。インターネットビジネスを営む四川省成都市のある企業も2001年3月から週給制を導入し、その他、北京市第25中学校なども相次いで週給制を採用した。賃金は、時間給、日給、週給、月給、年俸などの形があるが、週給制は、ヨーロッパ地域ではすでに20数年間実施されている。 週給制とは、企業側が、週単位で、労働者の業務遂行状況に基づき、業績評価と考査を行い、業務を完成した者に週給と他の手当を支給し、業務を完成できなかった者は、満額の賃金を取得できず、場合によっては、仕事を失うこともある。香港のマスコミは、週給制の導入は、余剰労働力を徹底的に排除するためのものであるとみている。現在までに、週給制を導入したのは、経営状況がよく、資金力も潤沢な一部の企業に限られている。

前述の成都の企業の週給制をみると、まず、一週間の業務内容を日ごとに分けて、毎日の売れ筋に基づき、その日の営業目標を確定する。これを全部足すと一週間の基本業務が決まる。それぞれのポストは、一週間のノルマが決められており、週末になると、従業員は、部門別あるいは個人別に目標達成の評価がなされ、業務完成状況に基づいて、基本給を軸に給料の増減が決定される。

国家人事部・人事人材科学研究所研究員の曽毓敏氏は、週給制が賃金のインセンティブ機能を強化し、従業員の業績向上をもたらすメリットがあると認める一方、労働者の収入が不安定になりかねないとの懸念も表明した。曽研究員は、週給制はあくまでも経営状況に余裕があり、業務内容が数量化しやすい企業に適応するものであると指摘した上で、従業員に安心感を持たせ、仕事に情熱を感じさせるためには、勤続手当や長期にわたる福利厚生制度の確立も必要不可欠であると念を押した。また、曽研究員は、WTOの加盟を控える中国は、加盟後、国際ルール世界と共通する新たな賃金形態や報酬制度が今後も導入されると予想している。

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