(香港特別行政区)研究所、企業の雇用枠拡大を予測

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2001年3月

香港人材管理研究所は、先日発表した2001年度の企業の賃上げ予測の調査に続き(本誌2001年2月号)、2000年度の企業の従業員採用枠についての調査を同年10月中旬に行い、この調査結果を12月下旬に公表した。この調査結果から、アジア経済危機以来香港では企業の従業員採用枠の縮小傾向が顕著だったのに対して、このところの景気回復とともに、採用枠の拡大傾向に転じたことが明らかになった。

この調査は2000年1月から10月までの期間に、112企業(従業員4万5253人)を対象としてその採用枠を調べたもので、調査対象企業中60社が採用枠の拡大の回答をよこした。過剰人員を抱えていると回答した企業は9社だけで、採用枠の拡大は平均して2.7%だった。採用枠を拡大する企業のうち半分以上の企業が、事務レベル、中間管理職レベルの双方で枠を拡大し、それぞれ全体では、17.6%、15.4%の拡大となった。特に目立ったのがIT部門の採用枠の拡大で、約3分の1以上の企業が枠を拡大したと回答し、これは全体では37.1%の拡大だった。

同研究所は同時に2001年度のIT部門採用枠についての調査も行い、回答した74社中、24社が採用枠拡大、37社が新たな採用は行わない、13社が未決定と回答した。採用枠拡大を回答した企業のうち、7社がプログラマー、ウエッブ・デヴェロパー、ウエッブデザイナー、技術補佐職員を増員すると回答した。

また、回答企業の多くがIT技術者を企業に止める戦術を練っていると回答し、このうち、74.2%が報酬を増額することで企業につなぎとめたいとしている。さらに、約70%の企業が、IT関連の訓練・開発を社内で整備し、IT技術者をつなぎとめる手段にしていると回答した。

このような調査結果に対して、「IT・ネットワーク工学職員連盟」のファン・コク・ファイ事務局長は、調査結果のような熟練IT技術者に対する香港企業の需要はこれからも増大すると予測し、特にハイテク基地としてのサイバー・ポート計画が本格的に始動したときに、この傾向がさらに強まるだろうとしている。

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