第9次5カ年計画により、労働力資源の配置がより合理的に

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2001年3月

第9次5カ年計画の1995年から2000年までの5年間、都市部の新規労働者は約3500万人に上り、1970年代末に次いで多い時期となった。しかし、アジア金融危機に影響され、輸出が大幅に減少し、国内需要が低迷したため、経済成長が一時減速し、労働力需要が冷え込んでいた。この5年間は、国有企業改革の肝心な時期でもあり、多くの企業は、余剰労働力削減を余儀なくされ、リストラの断行に踏み切った。1998年と99年の2年間だけで、下崗と呼ばれるレイオフ労働者は1793万人に達した。

中央政府は、積極的な財政金融政策を講じることによって、経済成長と全体の雇用を維持すると同時に、下崗となった労働者の再就職サービスセンターを作り、職業訓練、職業斡旋、労働契約の締結、職業資格検定、失業救済を一体化した再就職プロジェクトをスタートさせた。都市部の労働行政部門は、再就職のための教育訓練やレイオフ労働者の自営業への転向を支援し、サービス産業発展の促進に乗り出した。 1999年末に、全国に、各種の職業斡旋機関が3万1000カ所設けられ、1999年の統計で、513万人の下崗労働者が再就職訓練に参加し、うち、323万人が再就職を果たしたので、訓練後の再就職率は63%に達した。さらに、就業機会の奪い合いを避けるために、新規労働者に対しては、労働予備制度を導入し、大学に進学できなかった2万人に近い新卒労働者は、労働予備制度の下で約2年間、就業のための教育訓練を受けている。

1999年末に、全国の就業者は7億586万人に達し、第8次5カ年計画末より2639万人増加した。そのうち、都市部雇用労働者は2億1014万人で、第8次5カ年計画末より1921万人増加、農村部の就業労働者は4億9572万人で、718万人増加した。1998年および99年には、国有企業下崗労働者のうち、1102万人が再就職を果たし、農村からの出稼労働者は常時、約8000万人の規模を維持していた。1999年末に、全国の登録失業労働者は575万人であり、登録失業率は3.1%となっている(注1)。これは、第9次5カ年計画当初に打ち出した失業率4%目標を下回っている。

第9次5カ年計画の期間中、労働力資源の配置がより合理的になった。第1次産業の雇用労働者は104万人減少し、全雇用労働者に占める割合が、はじめて50%を下回るようになったのに対して、第3次産業雇用労働者若しくは私営企業の雇用労働者が急速に伸びた。1999年には、私営企業や自営業で働く労働者は3940万人に達し、第8次5カ年計画末より92.6%増加した。

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