(香港特別行政区)企業側が労働時間の制限に反対

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2000年9月

労働組合を支持する議員グループは、過剰な長時間労働から労働者を保護するとともに公正な超過勤務手当を保証すべく闘ってきたが、2000年6月7日、議会で企業寄りの勢力に敗れた。

自由党は、「この措置を実施すれば生産性が低下し、失業が悪化するだろう」と述べた。この措置は、労働側議員のラウ・チン・シュク氏が発案したもので、労働時間を規制する法律の施行を要求していた。

民主党のアンドリュー・チェン氏も同様の措置を提案し、1997年4月に返還前の議会で審議された。このときには同案は可決されたが、パッテン政権は、具体的な措置を講じなかった。

職工会連盟(CTU)会長のラウ氏は、長時間労働によって職業病が増えるだろうと述べた。ラウ氏は、1日12時間働かなければならない警備員の友人を引き合いに出し、長時間労働は友人の家庭生活にも影響を及ぼしている、と話した。

CTU の調査によれば、1992年1~3月には、29万5400人の労働者(労働力の約11%)が週に60時間を超えて働いていた。このような労働者の人数は、今年は59万5400人(労働力の約4分の1)に増え、ほとんどが超過勤務手当を支払われていなかった。

大陸では週5日・1日約8時間労働制が実施され、1カ月当たりの超過勤務を36時間に制限する法律もある。香港には、最高労働時間や超過勤務手当に関する法的指針がない。

工連会(FTU)のチャン・ユエン・ハン氏によれば、長時間労働は労働者から自己啓発の権利を奪っている。「再訓練を勧めるのは非現実的である」と彼女は言う。「労働者はとにかく休む時間が足りない。しかし、上司は生産性の低さを労働者のせいにする」。

自由党議長のジェームズ・ティエン氏は、「労働者にとって労働時間の制限は、より多くの超過勤務手当を得るチャンスを制限する措置となる」と述べた。

産業部門を代表する無所属議員のルイ・ミン・ワー氏は、「労働者は、労働時間を受け入れることができないと考えれば、求人の拒否を選択すればよい」と主張した。ルイ氏は、労働時間を制限すれば生産性にも影響を与えると述べた。

民建連(DAB)のツァン・ヨク・シン氏は、労働時間が延長されれば労働者が疲れてくるため、生産性が上昇するわけではないと述べた。

ジョセフ・ウォン教育雇用局長官によれば、政府が労働時間の規制に反対するのは、緊急任務や家事労働など、従業員に不規則労働を要求する仕事もあるためである。

今年初め、公共医師協会(Public Doctors' Association)が実施した調査の結果、一部の雑役係は週に96時間働き、休暇も与えられていないことが分かった。

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