(香港特別行政区)労働者の職場不満、他のアジア諸国を大きく上回る

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

中国の記事一覧

  • 国別労働トピック:2000年8月

アジア諸国を対象として、職場に対する意見の調査が行われたが、香港の労働者の職場に対する不満が他のアジア諸国に比べて圧倒的に大きいことが、2000年5月24日に公表された調査結果から明らかになった。

この調査は、アジア・マーケット・リサーチがこの種のものとしては初めて行ったもので、香港、中国本土、インドネシア、韓国、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイの1700人の企業従業員を対象に行ったものだが、以下のような結果が出ている。

  1. 現在の仕事に不満:香港68%、他国平均55%(中国本土が1位で71%)。香港ではこのうち転職の可能性が大きいとしている者は27%、他に選択肢がないので止まっているとしている者が41%である。
  2. 上司が公正:香港48%、他国平均59%
  3. 会社を推薦する:香港37%、他国平均51%
  4. 上司の信頼がある:香港48%、他国平均57%

このほか正当な評価を受けているとする者は、シンガポールの78%に対して香港では48%にすぎず、上司に配慮があるとする者、仕事に達成感があるとする者も、香港ではそれぞれ44%、51%と低い数字になっている。

アジア・マーケット・リサーチのイアン・ラージ所長は、香港の経営者がこのように従業員の忠誠心が低下している事態を放置すると、人材の流出、有能な従業員の補充の困難、収益の低下等に直面することになろうとしている。同所長は、問題の解決は企業が大金を投入することではなく、また単に給料や手当の問題でもなく、従業員がいかに公正に扱われるかの問題で、企業は従業員が本当に働きたい職場を提供しているかを自ら問わねばならないとしている。また同所長は、向こう数年間に成功する企業は、従業員の忠誠心が本質的に重要であることを認識する企業だと述べている。

これに対して立法会で商工会議所を代表するジェームズ・ティエン自由党党首は、この調査結果は従業員が転職によって収入の増加を望んでいることを示すもので、このような転職による流動性は職場に新たなアイディアをもたらすので、必ずしも悪いことではないとしている。

2000年8月 中国の記事一覧

関連情報