北京市外資系企業の賃金調査

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2000年8月

北京市西三角人事技術研究所は、最近、市内の百数社の外資系企業を対象に、賃金、福祉及び住宅などについて、調査を実施した。調査の公表結果から外資系企業従業員の平均年収を業種別にみると、ハイテク企業では6万2653人民元、(1元=13.08円)製造業企業では2万8654元となっている。階層別の平均月給をみると、一般従業員は約2500元から6000元、ミドルクラスのマネジャー層は約4000元から1万元、上層マネジャーは約5500元から2万5000元となっている。83%の企業は、年に1回賃金調整を行い、10%の企業が年に2回調整している。賃金の上昇幅について、1997年から98年度では11.4%、98年から99年度では5.8%であったが、99年から2000年度は約7.3%、2000年から2001年度は約10%になると見込まれている。なかでも、ハイテク企業の賃金上昇幅は、数年連続でトップを記録している。ボーナス制度については、ほとんどの企業が年末に1カ月分の賃金を追加して支給する制度を導入しており、70%の企業は、売上目標を達成した場合の奨励金制度を導入している。

大都市を中心に急ピッチで進められている全国共通の社会保障制度は、国有企業より福利保障面の負担が軽い外資系企業にも影響を及ぼしている。今度の調査は、北京市の82%の外資系企業が現地中国人従業員に、社会保障の個人口座を設けたことを明らかにした。個人口座の金額はまちまちだが、およそ従業員個人賃金の49%から61%に相当している。その内訳としては、養老保険、医療保険、教育費などが含まれている。その他に、68%の企業は従業員の住宅積立金、38%の企業は健康保険、55%の企業はレジャー費用、69%の企業は女性従業員の出産育児保険を設けている。

教育訓練については、75%の外資系企業では毎年の教育訓練費を売上収入の約1%から5%と決めている。そのうち、内部訓練の予算は、平均で年間1人当たり1930元で、訓練時間は年間平均8.9日である。外部訓練の予算は、平均で年間1650元、時間は年間5.2日となっている。

休暇制度について、政府が定めた休日以外に、各会社は自社規定の休暇を設けており、大多数の企業はそれを有給休暇と定めている。

調査結果は、外資系企業が外部の労働市場との均衡を重視し、報酬に対する従業員の満足度の維持に努めていることを表している。外資系企業の多くは、市場調査や資格評価を通じて、外部の賃金水準を意識しながら自社の賃金制度や奨励制度を決定している。従業員の採用と解雇に関して、伝統産業、赤字企業及び低利益企業では、リストラ発生率が高い。対照的なのが新興産業であり、成長が早いゆえに求人が多い。ただ、新興企業では管理層の不安定や経営の未熟の問題があり、特にインターネット関連企業ではこの種の問題が突出している。ネット関連企業の交替が激しく、北京では、2日に1社のペースでネット関連企業が誕生しているが、調査会社は、人的資源管理がおろそかな新興企業は市場に淘汰されかねないと警告した。

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