(香港特別行政区)インドネシア人家政婦が急増
香港在住の外国人の中で、インドネシア人が急増して2年連続で最も高い増加率を示していることが、2000年5月中旬に発表された最新の移民局の統計で明らかになった。インドネシア人家政婦の需要が増大していることが背景にあるが、それとともに賃金面等で問題も生じている。
1999年末の香港在住のインドネシア人は5万3400人で、前年末の4万4700人からら20%増加した。最大の外国人コミュニティーを形成するフィリピン人は、1999年末に13万6100人在住し、前年末の13万7500人から1%減少した。1996年以来、インドネシア人は年間18%から20%の割合で増加しているが、人数でもフィリピン人についで2番目であり、このうち5万1000人は家政婦である。
このようなインドネシア人の急増の背景には、1998年のインドネシアの暴動に際して多くの中国系インドネシア人が香港に渡航したことがあるが、インドネシア領事館によると、特にインドネシア人家政婦が「柔順で信頼できる」との評判のもとで、その需要が急速に高まったことがある。同領事館によると、インドネシア人家政婦は口数が少なく不平を漏らすことも少ないとの評判で、香港では需要が多く、また家政婦たちも香港の生活条件や家政婦保護のための政府の規則にも満足し、他の諸国よりも香港での扱いが良いと感じているという。
しかし、実際はこのような肯定的評価ばかりではなく、最低賃金3670ドル(1ドル=13.97円)に満たない低賃金で搾取されている等、否定的意見もある。家政婦援助協会によると、インドネシア人家政婦から、悪徳仲介業者に対する苦情が多く寄せられている。それによると、香港に渡航する前に内容の理解もないのに書面に署名させられているケースが多く、また最低賃金を下回るケースは枚挙に暇がなく、1800ドルから2000ドル程度が多いという。同協会によると、ほとんどのフィリピン人家政婦は最低賃金についての知識があるが、多くのインドネシア人家政婦はその知識がなく、英語ができないために英語の契約内容を理解できないことも災いしている。家政婦を支援するジェームズ・コリンズ弁護士は、インドネシア人家政婦は英語がほとんどできず、広東語も全くできないので、自分から助けを求める術さえないと言っている。
ちなみに、香港在住の外国人は、1999年末で49万5200人、1998年末で48万5800人、1997年末で46万500人で、1999年末の在留邦人は1万7600人である。
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