(香港特別行政区)争議労働者の解雇救済策に自由党強く反発

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2000年7月

特別行政区政府は最近の雇用修正法案2000で、労働者保護の一環として、違法に解雇された労働者を労働裁判所の命令によって復職させうる場合について提案し、諸政党の支持も受けていたが、労組出身立法会議員が2000年4月27日に復職の要件をさらに拡大することを提言したことから、経済界を代表する自由党が難色を示している。

政府案では、妊娠中、病気欠勤中、仕事関連の傷害後、労働組合の権利の行使後等に労働者が解雇された場合、労働裁判所の使用者に対する命令によって解雇労働者を復職させうるとされていたが、工連会(FTU)のチャン・ユェン・ハン議員が、さらにストライキ参加労働者を復職させうる労働者として追加すべきだとの動議を提出した。

政府労働関係者は賛否につき意見を留保したが、立法会の労働力委員会の会議で、アルフレッド・チャン副労働コミッショナーは、ヤマネコストを敢行した労働者の保護も含まれるか等問題点を指摘し、事態の影響の範囲を考慮すれば、政府案の要件拡大は必ず労働諮問委員会に諮らねばならないとしている。

これに対して、ジェームズ・ティエン自由党党首は、職務を怠る労働者がストライキに訴えて解雇を回避し、権利を濫用する可能性があるとして、動議に強く反対を表明している。自由党は香港の諸政党の中で経済界を代表するとともに中国政府とも密接なパイプをもつが、同党首は、この提言が容れられるなら従来の政府案にも反対すると強く反発している。

他方リベラル派の民主党は、政府は自由党の圧力に屈するべきではないとして、労働者の権利保護の推進を支持している。

ちなみに、1999年6月末までの2年間に、6126件の解雇労働者からの苦情が政府労働局に提出され、このうち806件が不合理かつ違法と見なされた。このうち277件(34.4%)が妊娠女性からのものだった。

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