(香港特別行政区)失業率5.6%に低下

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2000年7月

政府が2000年4月17日に発表した雇用統計によると、1月~3月期の香港の失業率は5.6%で、前期比で0.1ポイント低下し、失業者数は19万3000人で、前期比で8000人減少した。これに対して、不完全雇用率は2.8%で、前期比で0.2%上昇した。最高6.3%まで上昇した失業率は漸次低下しており、背景には景気の回復がある。

香港では景気は予測を越えて回復基調にあり、政府予測でも、ドナルド・ツァン財務長官が3月の予算提出時に2000年度の成長率を5%と上方修正したが、香港商工会議所もその後、2000年度の成長率は控え目に見積もっても5.3%になると予測している(スタンダード・チャーター・バンクは8%、SG証券は7.2%と予測している)。景気回復の背景には米国や欧州などの輸出市場が好調を持続していることがあるとされ、ツン・チェー・チェン同会議所会頭は、1月~2月に前年同期比で輸出が17%、輸入が11%、小売販売額が7%増大したことを統計上の好材料として挙げている。

また、政府が2000年4月13日に明らかにした3月の政府労働局登録の求人数も、過去最高の1万8400人を記録し、前年同月比で45%の上昇を示した。ツァン財務長官は政府の雇用に関する作業部会で、この求人登録数の増加も景気の回復を裏づけるものであるとし、これによって未熟練労働者の職探しも今後容易になるだろうとの楽観的な見通しを示した。

このように景気・雇用とも全体的に好転しているが、タン・クォン・ユウ政府エコノミストは、不完全雇用率が上昇していることにつき、これは従来の失業者が臨時雇用とパートタイムの形態で就労しているためだとして、問題点を指摘している。タン氏は、特に建設、製造、運輸部門で不完全雇用が増加しているとしている。

また、香港科学技術大学のフランシス・ルイ教授は、長期失業者が増大していることに懸念を表明している。同教授は、1年以上の長期失業者は1998年には約1万9000人だったが、現在は3万人を超えており、この長期失業者は生き残るために臨時雇用かパートに就かざるをえなくなるだろうとしている。もっとも同教授は、長期的に見ると香港で進展している情報技術(IT)部門が将来さらに雇用創出に貢献し、失業を低下させることになろうとして、全体的には楽観的な見通しを示している。

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