(香港特別行政区)電力供給企業で314人解雇

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2000年7月

香港の電力供給を独占しているチャイナ・ライト & パワー(CLP)社で2000年3月31日、従業員の約8%に当たる314人が解雇され、会社側が解雇を否定した直後だったことから動揺が広がり、組合を中心に反発が広がっている。大量解雇の噂はしばらく前からあり、従業員の間に不安が広がっていたが、CLPは解雇発表の3日前まで解雇の噂を事実無根と否定していた。しかし突然前言を翻し、解雇発表に当たっては、仕事の工程の効率化、組織の合理化、主要サービス以外の外部化、管理情報システム計画の遂行等を解雇理由として挙げ、強硬な姿勢を示した。会社の発表によると、解雇従業員に対しては、会社の退職基金と長期就労者退職計画から、1年の就労期間につき1カ月分の賃金相当の解雇手当が、最高18カ月まで支給される。

職工会連盟(CTU)は、CLPが1999年12月までの15カ月間に101億1000万ドル(1ドル=13.67円)の純利益を上げていることを指摘しているが、ラウ・チン・シェク同連盟会長は、香港経済が回復基調にあると言っても十分に回復していない現在の状況で、このような利益を上げている企業が大量解雇をするのは無責任だと強く批判し、さらに CLPの従業員数は、5年前の6000人から現在では4000人を割っており、現時点でこのような大量解雇の理由は全くないとしている。また、リベラル派の民主党は、このような解雇がドミノ効果として他の企業に広がり、新たな解雇の波を引き起こすことに懸念を表明している。

一方 CLP従業員組合は、このような会社の態度の豹変に対して反発を示したものの、CLPが電力供給を独占しており、香港社会の情報通信その他ハイテク産業が高度に電力に依存していることに鑑み、にわかに職場放棄や遵法闘争に打って出て混乱を生じさせることには消極的な態度を示し、非組合員も動員して解雇を再考するように会社に対して署名による嘆願を行うことを表明していた。ただ、6月と9月にさらに2回の解雇があり、合計1000人まで解雇者が出るとの噂に対して、会社側が31日の解雇直後にはこれを否定していたが、その後新たな解雇の可能性を示唆したために、従業員組合は、従業員の不安が広がり、士気も低下しているので、今後争議行為も含めて新たな事態に対処する方法を検討している。

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