2000年の雇用情勢に関する労働保障部の予測

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2000年5月

1998年に朱鎔基首相は、国有企業を苦境から脱出させるために3年の期限を約束したが、2000年はこの3年期の最終年として、国有企業改革の総仕上げの年となる。中央政府は、これからさらに産業調整や企業の統廃合を通じて企業改革を進める意向であり、下崗労働者(一次帰休者)増加の勢いは止まる気配がない。現在、過去3年間の下崗及び失業労働者の累計はすでに2000万人を突破している。1999年には、全国で513万人の労働者が再就職の教育訓練に参加し、そのうち323万人が再就職を果たし、教育訓練後の再就職率は63%に達しているが、都市部登録失業率は3.1%になっている。

2000年2月24日に開かれた全国教育訓練就業会議の席上で、労働社会保障部教育訓練就業司長は、2000年における中国のマクロ経済状況、WTO加盟が労働雇用に与える影響、及び2000年の雇用情勢についての予測を発表した。労働保障部の予測としては、2000年に生活保障を必要とする下崗従業員は700万人に達し、1998年より20%増える(3月7日の全人代での記者会見に、張労働保障相は、この予測人数を500万人に減らして発表した)。それに対して、生活費用は30%も上昇するので、下崗労働者の基本生活と再就業は、より一層困難になる。積極的な財政出動によって、2000年には7%以上の経済成長が見込まれているが、都市部の雇用需要は約2100万人余であり、7%の経済成長率と見込んで計算すればそのうちの700万人の雇用を解決できるとしても、依然として1400万人の雇用は解決できない。

政府は WTO加盟による国有企業淘汰の加速と失業増加を懸念して、3月5日に朱鎔基首相の政府活動報告の中で、2000年内の失業率を前年同率の3.5%以内に抑える目標を掲げた。WTO加盟による失業増大を事前に防ぎ、この目標を実現させるために、国務院は労働保障部に対して、国有企業下崗労働者の教育訓練を強化し、再就職労働者数が新たに増加する下崗労働者数を下回らないように、最大の努力を尽くすことを要求している。労働保障部は下崗労働者の再就職を最優先課題にすると同時に、雇用政策の優遇や、中小企業及びサービス業を後押しする計画を発表している。

WTO加盟後における雇用構造の変化について、労働保障部は、第一次産業では960万人の減少を見込んでいるが、第二次産業と第三次産業ではそれぞれ1760万人と270万人の増加を見込んでいる。第二次産業のうち、機械製造業は100万人の減少があるものの、化学工業では60万人、軽工業では600万人、建築業では1200万人とそれぞれ増加すると予測している。WTO加盟は特に労働集約型産業における雇用機会の増加をもたらすと予測されている。2000年1月から、衣服、紡績、小型電子などの軽工業部門では、輸出額の増加が顕著になってきた。WTO加盟後には、第三次産業全体において、雇用の増加が期待されている。

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