(香港特別行政区)失業率6.1%が継続

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2000年1月

政府が1999年10月19日に発表した統計によると、1999年7月~9月の失業率は前期に引き続き6.1%だった。失業者数は、就労者349万9000人中22万4000人だった。また不完全雇用(希望労働時間に満たない労働時間しか働けない)に関しては、不完全雇用率は3.1%で、前期2.9%から0.2ポイント上昇し、不完全雇用者数は、前期比で7000人増加して、10万9000人になった。

タン・クォン・ユウ政府エコノミストによると、失業率の上昇は、装飾・整備、運輸、卸売、ホテル等の部門で見られ、これが通信部門等の失業率の低下を相殺する形になった。また不完全雇用者数の上昇は、主に建設部門で見られ、これは香港の雨天による影響が大きかったとされる。またタン氏は、過去数カ月間大卒と中等教育卒業者が継続的に労働市場に参入したが、創出された雇用がかなりの程度この新規参入者を吸収したことが失業率の上昇しなかった理由だとしている。もっとも、卒業者数6万8000人のうち未だに2万9000人が求職活動に従事している。

また、ジョゼフ・ウォン人材・教育長官は、1999年9月に労働局に登録された求人数は1万4000人で、仲介されて就職した人数は4200人で、この数字はいずれも過去14カ月間で最高であることを強調している。

これに対してルン・フウ・ワ職工会連盟(CTU)副会長は、景気には若干の回復の兆しはあるが十分ではなく、景気の回復と失業率の通常のずれを考慮すると、失業率が6%を下るのは年末になってだろうとしている。また組合出身等の立法会議員は、董建華長官の10月初めの施政方針演説では、環境問題とハイテク産業の育成が強調されたが、未熟練労働者の厳しい経済状況下の保護に関する考慮が足りず、若年者のための職業訓練計画(時報1999年11月号参照)も、若年者の失業を高々6カ月間先延ばしにしている不十分なものだと批判している。

他方、バプテスト大学は1999年10月22日、1999年1月から8月にかけてのレイオフが1998年同期比で約90%増加したとの調査結果を発表している。同大学によると、調査対象となった87の企業のうち、60企業が2633人をこの時期にレイオフしており、1998年度の1394人に比べて88.9%の増加だった。

このような調査結果と6%台の高失業率を勘案すると、景気回復の兆しを考慮に入れても、香港の労働市場状況の厳しい状態は依然として続いているようである。

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