2001年から、下崗労働者はそのまま失業者となる

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2000年1月

国有企業の「下崗」労働者は1999年上半期が742万人(そのうち、再就業に漕ぎ着けたのが202万人)であったが、下半期では増加し続け、700万人になると予想され、全年度の下崗労働者が1400万人となる見込みである。下崗労働者は現在どのような心理状況にあるかについて、労働社会保障部は全国1万人の下崗労働者を対象にサンプル調査を実施した。調査結果は、9割以上(90.2%)の下崗労働者が、元の所属企業と契約関係を解除したくないことを示している。83.4%の下崗労働者は労働契約の解除によって、養老、医療などの社会保障を失うことを最も心配している。73.2%の下崗労働者は「安定した養老、医療などの社会保障を早急に確立してほしい」とクレームをつけた。労働市場を確立するには、社会保障制度整備の重要性が一段と目立っている。

現在実施している下崗労働者の再就職制度とは、国有企業の組織再編成によって弾き出された労働者が、3年間に再就職センターに在籍して生活保障を受けながら、再就職先を探すという制度である。このような過渡期における暫定的な制度は、WTO 加盟後、国際的な労働雇用制度との同一化の加速や、社会保障制度の整備にしたがっていずれは廃止される。1999年11月に北京市経済委員会は、他の地域に率先して、2001年から、国有企業の労働者でも、企業からリストラされる場合、再就職センターに転出するではなく、企業との契約関係を解除し、労働市場で再就業を図らなければならないと発表した。さらに、2002年末に、再就業サービスセンター制度そのものを廃止する。つまり来世紀の初め頃、中国の国有企業労働者はリストラとなった場合、そのまま失業者となり、下崗という暫定的な制度はなくなるのである。北京市は、来世紀初頭の失業率を、2000年に1%以下、2001年に1.5%以下、2002年に2%以下にコントロールするとも発表した。

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