私営企業が労働者就業の主要な受け皿に

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2000年1月

目下、中国の最も重要な社会問題は国有企業改革とそれに伴う失業者や一時帰休の下崗労働者の急増である。世界貿易機関(WTO)への加盟により、国有企業改革の加速が予想されると同時に、国有企業失業者のさらなる増加とそれによる社会不安の増幅も懸念される。中国は今後、私営_驪ニや個人経営セクターの更なる発展を通じて、労働需要の増加を促す方針である。現実的にも、私営企業が国有企業の下崗労働者の受け皿となる動きが活発になってきている。

河南省では、この数年、国有企業の就業者数が年々低下しているのに対して、私営企業の就業者数が増え続けてきた。省の統計によれば、1999年省内労働力供給111.9万人のうち、国有企業に就職した21.57万人に対して、私営企業若しくは個人経営セクターに就職したのが25.82万人である。私営企業や個人経営セクターの就業者数は国有企業を上回っており、労働者雇用の主要なルートとなった。

長江沿岸の安徽省の私営企業は1999年10月に一堂に集まって、省政府所在地である合肥市で、国有企業下崗労働者を対象に大規模な求人面接会を開いた。合肥市では現在6000社以上の私営企業があり、これまで8万人の労働力を吸収している。今回の面接会には、400数社が申し込んだが、最終的には152社は事務、パソコン操作、機械修理などの分野における1644人の募集を果たした。

質の高い人材の導入によって、私営企業の経営管理の改善も見られている。東北地域の長春市の私営企業は、創業期当初、血縁者や友人といった身内に経営管理を任せる風潮が強かった。しかし、身内の者は必ずしも経営管理に優れるわけではない。近年、事業拡大してきた私営企業は、大学などの研究機関、大規模な国有企業、さらに共産党組織や行政部門を狙い、高賃金をもって質の高い人材を導入し、国有部門から優秀な人材を取り入れることによって、経営管理の質的な変化を達成した。長春市の28社の私営企業グループに対する調査によると、この数年、専門技術や経営管理のキャリアを持つ優秀人材を導入することによって、これらの私営企業グループでは、子会社のレベルまで、マネジャー層においては、短大卒の学歴を持つ者が9割以上、大卒以上の学歴を持つ者が4割以上を占めるようになった。

今後、中国では国有企業の代わりに、こういった私営企業、個人経営セクターなどの中小企業の一層の発展、及びそれによる雇用の拡大が、国有企業改革に伴う失業者の受け皿となることが期待されている。

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