(香港特別行政区)公務員部門労組、改革再考を要請

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:1999年12月

最大の公務員部門労組である中華公務員連盟は1999年9月2日、董建華長官に対して、部局の一部民営化や経費の削減に対する職員の懸念を無視して改革が進められていると、書面による抗議を提出した。同連盟は、政府部局の一部では、他に生産性と効率を高める処置を追及することもしないで、民営化と人員削減ないし経費削減を急いでいると批判している。セシリア・ソウ同連盟会長は、このような政府の手法では、香港返還時に強調された公務員のチームワークの精神の育成に逆行し、公務員業務の疎隔を生じてしまうとしている。

さらに、先任非移入者公務員連盟のルン・チ・チュ会長も、公務の効率化のための改革は職員の賛同抜きにはあり得ないので、長官に民営化の速度を緩めるように要請している。

香港の公務員制度の抜本的な改革は、1999年3月にその骨子が公表され、業績給与の導入、懲戒手続きの迅速化、賞与制度の改善、採用システムの終身雇用制から契約制への大幅な切り替え等を柱とし、職員、組合、学識経験者等の意見を聴取しながら進められている。だがその後、ドナルド・ツァン財務長官が公務員部局の一部を民営化すると発表して、職員の失業の懸念から組合との緊張関係が表面化した。また学識経験者からも、採用システムの改革で職員の3分の2を終身雇用制から契約制に移行することについては、急激すぎると疑問が表明されている。

董建華長官は、上述の苦情も考慮し、今後も職員や組合との協力のもとに改革を図るとしているが、抜本的な改革が実行に移される2000年を控え、組合の動向も含めて今後の動きが注目される。

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