(香港特別行政区)景気回復の兆し、だが失業率は再び上昇

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

中国の記事一覧

  • 国別労働トピック:1999年12月

特別財政区政府が1999年8月27日に発表した統計によると、経済成長がプラスに転じ、低迷していた香港経済に回復の兆しが見えてきた。

香港の1999年第2四半期の国内総生産は、前年同期比で0.5%上昇し、第1四半期のマイナス3.4%からプラスに転じ、5期連続の前年同期比マイナスの記録に終止符を打った。プラス成長への転換は、引き続き景気回復の遅延を想定した香港在住の主要エコノミストの予測を超えるものだが、アジア経済の回復基調からの需要の増大に支えられた貿易の好転、消費者の自信回復、観光業の継続的好調が、予想を上回る景気回復の背景にあるとされる。

タン・クァン・ユゥ政府エコノミストは、第2四半期に小売業の売上高は1998年同期比で2%減少したが、これは第1四半期の1998年同期比10%減少、1998年の年間17%減少と比べてみると、かなりの好転であるとしている。タン氏はまた、第2四半期に輸出が前年同期比で2%減少し、第1四半期の5%減少と比べて好転したことも指摘しているが、同時に、鉄道等のインフラ整備計画に対する公共投資の継続的進展に比べて、民間部門における投資が依然として低い水準に止まることになると予測している。ただ、民間消費は今後更に回復し、景気の回復基調は第3四半期以降も続くだろうとしている。

このような景気回復の兆しの反面、政府の1999年9月21日発表の統計によると、6~8月の失業率は再び0.1%上昇して、6.1%を記録した。人口統計局によると、失業者数は22万人で、5月~7月期の21万6300人から3700人増加し、希望労働時間より少ない時間しか働けない不完全労働者数は10万2000人で、不完全雇用率は2.9%を記録した。

タン氏は、全体的に見て企業の合併や一連のリストラの後で、使用者は新たな雇用に対して慎重になっており、失業率の上昇はその煽りを受けており、しばらく失業率は現在の比較的高い水準で推移するだろうとしている。

ジョセフ・ウォン教育人材長官は、失業率が3月~5月期の6.3%から低下したことは、最悪の事態が過ぎたことを示し、ただ失業率 フ低下が景気の回復に追い付くには多少の時間を要するとしている。また、同長官は、8月に労働局が4100人の雇用を創出し、この13カ月で最高の数字を記録したことに注意を喚起している。

これに対してリー・チュク・ヤン職工会連盟(CTU)事務局長は、最近のレイオフの後で使用者は解雇されなかった労働者に長時間労働と低賃金を強いており、雇用に消極的であり、これが高水準の失業の背景にあり、この事態はさらに6カ月は継続するだろうと述べている。

1999年12月 中国の記事一覧

関連情報