(香港特別行政区)失業率、2カ月連続で6.3%

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:1999年9月

香港の失業率は2月~4月期に前月比で0.1ポイント上昇して6.3%を記録し(失業者数は21万6000人、不完全雇用は2.8%)、またも最悪記録を更新したが、6月15日発表の政府統計によると、3月~5月期も引き続き6.3%(失業者数は21万6000人)を記録し、依然として厳しい状況が続いている。失業率は昨年の9月(5%)以来毎月上昇(又は横這い)している。3月~5月期の不完全雇用は0.1ポイント上昇して2.9%だった。

政府当局者によると、今期失業率が横這いになったのは、卸売、小売、運輸部門等で失業が増加したのに対し、建設、輸出入部門等で失業が減少したからである。 今後の展望について、政府主席エコノミスト代理エリー・マオ氏は、夏期期休暇以降、新卒者が新たに労働市場に参入するが、市場がこれを吸収するにはある程度の期間を要し、これが今後失業率にどう影響するかを予測することは困難だとしている。また、香港商工会議所のイアン・パーキン主席エコノミストは、景気回復の展望があるので、ドナルド・ツァン財務長官の言うように第3四半期に域内の消費と投資が拡大すれば、使用者側は雇用の増大を図る可能性があるとしている。ただ同氏は、労働力が年間4%の割合で増加しているのに、雇用が年間1.5%の割合でしか増加していないことを考えれば、労働市場全体としてはここ数カ月厳しい状態が続くだろうとしている。他方、労働側は事態に対してもっと悲観的で、最近の民営化と公務員改革で住宅関連部門9000人と一般事務職員2000人が他の民間人と競争することになるので、雇用状況はさらに悪化するだろうとしている。

このような状況の中で、若年層の失業が増加していることがいくつかの調査から明らかになっている。香港社会サービス協議会の調査によると、15歳から19歳の年齢層(学生を除く)の失業率は1998年第3四半期に25%に達している(1995年は16.4%)。政府調査では、1999年第1四半期には同年齢層の失業率は23%だった(1998年同期は13.4%、1997年同期は10.6%)。フイ・イン・ファット同協議会事務局長は、香港ではこの10年間若年層の失業が問題になっているが、このところ悪化の傾向が顕著だと警告している。

このような若年失業者対策として、ジョセフ・ウォン人材教育長官は6月24日、1万2000人の中等教育卒業者のための「若年者雇用訓練計画」を公表した。この計画は9月に6カ月の期間をかけて開始され、広範な訓練コースを設けて訓練生の雇用資格と自信を高め、特に組織内の適応性?コンピューター操作その他の職業上必要な技術を身につけさせるものである。この計画には、訓練施設、ボランティア団体、政府部局等、25以上の諸団体が参加することに既に合意している。

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