(香港特別行政区)政府、公務員給与に業績給導入の方針

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:1999年4月

董建華特別行政府長官は1月18日の立法会における質疑で、香港の困難な経済状況からの脱却のためにも、サービスの効率化を中心とする公務員制度の抜本的な改革が必要であるとの見解を表明した。同長官は、特に18万人に達する公務員の昇給システムについて業績給の導入を示唆したが、公務員事務局に主に以下の諸点の検討を始めさせたと述べた。

  1. 年金を付与する正規の雇用を契約による雇用で代替すること。
  2. 昇給を業績と連動させ、初任給・手当を民間企業との比較が可能になるように再考すること。
  3. 費用の効率化とサービスを重視する新しい文化を発展させること。
  4. 職員に対する懲戒手続きを簡素化し、賞与制度を見直すこと。

同長官は、従来から現行の公務員制度に対して税金に見合う貢献を求めるなどといった多くの批判があり、自分も同様の見解を抱いていると、改革に踏み切る理由を明らかにし、今後アンソン・チャン政務官とドナルド・ツァン財務長官とともに見直し作業を監督していくと語った。

これに対して、労働側、立法会議員、学識経験者等から様々な意見が述べられている。セシリア・ソウ中華公務員連盟会長は、公務員制度が利潤を目的とする商業主義によって運営されるものと意図されているかをまず明らかにしなければならないと述べ、ルン・チー・チュ香港出身先任職員連盟議長は、ある種の部門では業績の評価は困難を伴うだろうと述べている。ラウ・シュウ・カイ中華大学教授は、改革は不可避で遅すぎるほどだが、公務員の能力の向上や政府機能をより民営化する等のより基本的な問題が手付かずであると述べ、組合の強い抵抗も予測している。民主党のジェームズ・ティエン氏は給与システムの再考は必要であると、政府見解を支持している。

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