(香港特別行政区)失業率さらに悪化して5.8%を記録

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:1999年4月

特別行政区政府が1月18日発表した雇用統計によると、1998年10~12月期の香港の失業率はさらに上昇して5.8%に達し、失業者数もついに20万人を突破した。失業率は1976年春の5.6%以来最悪だった9~11月期の5.5%をさらに0.3ポイント更新して過去23年間で最悪となり、失業者数も8600人増加して20万1000人を記録した。失業が多かったのは建設業、製造業、輸出入関連部門、消費関連部門である。また、不完全雇用は比較的安定して2.9%の水準を維持した。

政府当局者は、旧正月には例年解雇が増加し、今後さらに倒産件数の増加も予想され、また米国やヨーロッパの景気の減速も予想されることから、失業率はさらに上昇するだろうとしている。また香港のエコノミストは、失業率は1999年がピークで6~7%に達すると予測しており、中には8%まで上昇するとの予測もある。また、人材斡旋業モルガン・アンド・バンク社のキキ・ヤク所長は、多国籍企業300社に対する調査結果に基づき、雇用市場が好転するまでには少なくとも6カ月から1年かかるとしている。

このような高い失業率の原因として、ジョゼフ・ウォン人材教育長官などは労働人口が急激に増加していることを指摘してきたが、政府は1月21日、労働人口の急激な増加の原因を本格的に調査すると発表した。

同長官によると、景気の後退にもかかわらず仕事の供給量は比較的安定していたが、労働能力のある者の数の爆発的な増加が5.8%という高失業率をもたらしているという。同長官は、今後政府は労働力人口増加の背景を詳細に分析し、これらの労働力がどこから来るのか、彼らの技能水準がどの程度であるのかも含めて調査し、香港経済にどのような影響を及ぼしているかを明らかにしたいとしている。ただ、同長官は調査結果をどのような政策に反映させるかを明らかにしていないので、移入者の制限や香港に役立つ技能修得者のみを選択するのに利用されるのではないかとの懸念が一部で表明されている。

なお、1997年11月から1998年11月までに労働力人口は3%ないし10万400人増加し、339万1000人に達している。

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