医療保険制度改革のスタート

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:1999年4月

中国国務院は、このほど、1999年内に全国の都市部で医療保険制度を確立することを決定した。

1950年代から始まった国有企業の無料の医療保障制度は、1980年代から国家や企業にとって重い財政負担になり、そのまま継続できない状態になっていた。その後、全国各地で様々な改革が試行されてきた。1997年に全国統一的な養老保険制度がスタートし、この2月に、国務院は統一した失業保険制度の条例を公布した。全国統一的な医療保険制度の改革も最近加速してきた。

国務院の最近の通達によると、これからスタートする統一的な医療保険制度は、国有企業、非国有企業(集団所有、外資、私営企業、ただし、郷鎮企業を除く)を問わず、都市部のすべての企業、および役所、事業部門、社会団体、非営利の民間部門、ならびにその労働者に適用するとされている。雇用者8人未満の個人経営事業とその労働者は任意適用者とされている。

医療保険料は事業主と労働者の共同負担になっているが、そのうち事業主の負担率はその賃金総額の約6%、個人の負担率は本人賃金の約2%である。負担率は今後、経済の発展に従って調整される見込みである。納付された保険金によって基本医療保険基金が設けられる。この基金は統一調達基金と個人口座に分けられるが、個人が納付した保険料は個人口座に記入され、事業主が納付した保険料は約30%が個人口座に記入され、残りは統一調達基金に組み入れられる。

統一調達基金には給付開始基準と給付限度額が定められており、給付開始基準は当該地域労働者平均賃金の10%以内、給付限度額は年平均賃金の4倍程度に決められている。労働者個人の医療費用は給付開始基準を上回らなければ、個人口座から支給若しくは個人の負担とされており、給付開始基準を上回り、給付限度額以下であれば、統一調達基金から支給されるが、個人も一定の金額を負担するとされている。個人の負担率や給付開始基準および給付限度額について、現状では各地が保険金の収支の状況によって独自に設定することになっている。

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