JILPTリサーチアイ 第75回
医療・介護従事者に対するワクチン接種証明義務は有効か?─感染症予防法20a条の施行停止を求める仮命令申立てに関するドイツ連邦憲法裁判所2022年2月10日決定

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労働法・労使関係部門 主任研究員(労働法専攻) 山本 陽大

2022年12月7日(水曜)掲載

Ⅰ はじめに

2020年初頭以降の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行を契機として、ここ数年の間、各国の労働法政策においてもコロナ危機への対応が重要テーマとなっている。このような政策領域は非常に多岐にわたるが、その一つとしてワクチン接種をめぐる問題が挙げられる。この点について、わが国では厚生労働省が、労働者にとってワクチン接種を受けやすい環境整備を企業(使用者)に促すべく、ワクチン休暇制度の導入等を望ましい対応例として示しつつ、接種自体については(労働者を含む)国民の任意性を徹底している[注1]のに対し、諸外国では、上記の意味での環境整備や、更にはワクチン接種そのものについても、法的に義務付けることによりこれらを強制する立法政策を採る例がみられる[注2]。とりわけ、後者に関しては、直接労働者に対し接種を受けること、あるいは使用者に対して雇用する労働者へ接種を受けさせることを、法的に義務付ける例がみられるが、このような規制に対しては、ワクチン接種が人体への侵襲を不可避とし副反応のリスクもあることや、ワクチン接種に対する考え方自体多様であることに鑑みれば、いきおいその有効性や合憲性をめぐって紛争が生起することは想像に難くない。現に、このような紛争は近時、欧米各国においてみられるところとなっているが[注3]、ドイツもまたその例外ではない。本稿では、このような紛争例として、ドイツにおいて医療・介護従事者に対するワクチン接種証明義務を定める感染症予防法(IfSG)20a条の有効性が争われた連邦憲法裁判所2022年2月10日決定(BVerfG Beschl. v. 10.2.2022 - 1 BvR 2649/21:以下、本決定)[注4]を紹介することとしたい。

Ⅱ 感染症予防法20a条と本件申立ての経緯

ドイツにおいては、国民一般に対しワクチン接種を義務付ける法規制は存在しない。この点、与党3党(社会民主党〔SPD〕、緑の党〔BÜNDNIS 90/DIE GRÜNEN〕、自由民主党〔FDP〕)の議員グループによって60歳以上の国民を対象に接種を義務化するための感染症予防法の改正案が提出されていたが、2022年4月に連邦議会において否決されている[注5]。但し、ドイツにおいては、これに先立つ2021年12月の感染予防法改正によって、医療・介護従事者に対する関係でワクチン接種の義務付けとして機能しうる法規制が導入されている。それが、感染症予防法20a条である。ここでは差し当たり、同条の規範構造について簡単にみておこう。

感染症予防法20a条はまず、1項1文1号~3号において、病院をはじめとする医療施設および介護施設(サービス)を列挙しており、これらの施設または企業において"就業する(tätig)"者(以下、就業者)は、2022年3月15日以降は、医学上の禁忌により接種ができない場合を除き、ワクチンを接種した者(geimpfte Person)または感染から快復した者(genesene Person)のいずれかでなければならない旨を規定している。ここでいう就業者には、当然のことながら当該施設・企業で医療・介護従事者として就労する労働者も含まれる。そして、このことを担保するために、同条2項1文は、上記の意味での就業者に対し、2022年3月15日までに(同月16日以降に初めて就業する者については就業の開始前までに)、当該施設・企業の管理者(Leitung)へ、ワクチン接種証明書(1号)、快復証明書(2号)または医学上の禁忌により新型コロナウイルスに対するワクチンを接種できない旨の医師による証明書(3号:以下、禁忌証明書)のいずれかを提出すべき義務を課している(以下、証明義務)。このうち、ワクチン接種証明書および快復証明書については、当時、新型コロナウイルス感染症制限措置例外規則(COVID-19-Schutzmaßnahmen-Ausnahmenverordnung)の2条3号および5号においてその要件が規定されていたが、いずれについても具体的内容(ワクチン接種証明書についていえば、ワクチンの種類や必要な接種回数等)については、Paul-Ehrlich研究所がRobert Koch研究所と協議のうえで、そのWebサイト上でこれを定めるという形が採られていた[注6]

一方、これらの証明書が提出されなかった場合には、当該施設・企業の管理者は、管轄の保健所(Gesundheitsamt)へ報告を行わなければならない(感染症予防法20a条2項2文)。そして、管轄保健所が当該就業者に対し、上記証明書の提出を求めたにもかかわらず提出がなされなかった場合には、管轄保健所は、当該就業者に対し当該施設・企業における就業を禁止することができるとともに(同条5項3文)、当該就業者には秩序違反(Ordnungswidrigkeit)として2,500ユーロを上限とした過料が課されうる(同法73条1a項7h号)。以上の規制は時限的措置であり、2022年12月31日まで適用されることとなっている。

このように、感染症予防法20a条は、医療・介護従事者である就業者に対して直接的にワクチンの接種を義務付けたものではなく、また快復証明書や禁忌証明書を提出することによっても、当該施設・企業において就業できる可能性を残してはいる。しかしながら、このうち前者については、PCR検査に基づき6ヶ月前~28日前までの間に新型コロナウイルスに感染していたことを証明するものであるから(新型コロナウイルス感染症制限措置例外規則2条5号)、その有効期間は限られており、また後者による就業可能性については、当然のことながらそのような医学上の禁忌がある場合に限られる。従って、新型コロナウイルスへの感染経験や医学上の禁忌がない就業者としては、当該施設・企業で引き続き医療・介護従事者として就業することを望むのであれば、ワクチンを接種しその旨の証明を管理者へ提出するほかはないことから、事実上の接種強制として機能する側面があることは否定しがたいといえよう。

そのため、このような感染症予防法20a条に対しては、その適用を受ける企業1社および医師等の医療・介護従事者ら45人(以下、異議申立人ら〔Beschwerdeführenden〕)によって、憲法(基本法〔GG〕)上の諸規定に反するとして、連邦憲法裁判所へ憲法異議(Verfassungsbeschwerde)が提起され、それに伴っていわゆる仮命令の発出の申立て(Antrag auf Erlass einer einstweiligen Anordnung)が行われた。これが本件である。この点、連邦憲法裁判所法(BVerfGG)32条1項は、重大な不利益の防止等のために緊急に必要な場合には、連邦憲法裁判所に対し仮命令によって事態(Zustand)を一時的に規制できる権限を定めているが、本決定では、かかる仮命令を発出することにより感染症予防法20a条の施行を一時的に停止すべきか否かについて、判断が示されることとなった。

Ⅲ 本決定について

このような事案において、連邦憲法裁判所第一法廷は、連邦憲法裁判所法27a条に基づき、連邦議会や連邦保健省等の政府機関、あるいは連邦医師会や感染症に関する研究機関等にも意見を求めたうえで、以下の通り判断し、本件申立てを却下したものである。本決定はさほど大部のものではなく、その論理構造も明快であるため、以下では却下に係る理由部分の全訳を示すことで、本決定の紹介に代えることとする(なお、下記のうち隅付き括弧【 】内は、対応する判決原文中の欄外番号〔Rn.〕である)。

なお、上述の通り、本決定はあくまで連邦憲法裁判所法32条1項に基づく仮命令の発出申立てに関するものであるが、本案(Hauptsache)、すなわち憲法異議自体に対する判断については、連邦憲法裁判所法第一法廷が、2022年4月27日にこれを棄却する決定を下している[注7]。同決定の検討については他日を期したい。

【8】Ⅱ 仮命令の発出に関する申立ては、認められない。

【9】1.連邦憲法裁判所法32条1項によれば、連邦憲法裁判所は、重大な不利益の防止、差し迫った暴力の阻止、または重大な事由により公共の福祉のために、緊急に必要である場合には、係争事案において、仮命令により事態を一時的に規制することができる。

【10】a) 連邦憲法裁判所法32条1項の要件が備わっているか否かの審査に際しては、憲法裁判所による仮命令の効果が広範に及ぶことから、通常は、厳格な基準が設定されなければならない。この場合において、憲法異議の対象となっている措置について主張された違憲性の根拠については、本案において判断がなされる憲法異議が初めから許されないものであるか、明らかに理由がないことが証明される場合を除き、考慮してはならない。本案手続の結果が明らかではない場合、連邦憲法裁判所は、結果衡量(Folgenabwägung)の枠組みにおいて、仮命令は発出されなかったが憲法異議が本案において認容された場合に生じるであろう不利益と、仮命令は発出されたが憲法異議が本案において認容されなかった場合に生じるであろう不利益とを、比較衡量しなければならない。

【11】b) 法律の施行の停止が求められている場合には、これについて特に高いハードルが設定される。法律の施行停止は、立法者の本来的な権限に対する相当の介入を意味するものであるから、連邦憲法裁判所は、その権限を極めて抑制的に行使しなければならない。一時的な規制を必要とする根拠は、通常時においてさえ、仮命令の発出が不可欠であるという程度に重大なものでなければならないのであるから、法律の施行停止が申立てられた場合には、それを超えて非常に特別な重みを有しているのでなければならず、かつその範囲および重大性において、合憲であることが証明された法律を仮に停止した場合に生じるであろう不利益を明らかに上回るものでなければならない。その点では、停止することに対する利益を優先させるために決定的に重要であるのは、不利益が不可逆的(irreversibel)であるか否か、あるいは回復が非常に困難であるか否かである。結果衡量に際しては、異議申立人ら自身にとってのそれのみならず、当該法律にかかる全ての当事者に対する影響も考慮しなければならない。結果衡量のもとそれぞれの不利益が互いに同価値である場合には、権限分配(基本法20条2項2文)の観点から連邦憲法裁判所には抑制的態度が必要とされるがゆえに、問題となっている法律が基本法に合致するか否かが明らかになるより前に、これを停止することは禁じられる。要するに、連邦憲法裁判所は、仮命令の発出にとっての理由が明らかに重大である場合にのみ、連邦憲法裁判所法32条に基づき、法律の施行を一時的に停止するのである。

【12】2.このような厳格な要件に鑑みれば、仮命令の発出に関する本件申立ては認められない。確かに、その基礎となっている憲法異議は、初めから許されないものでもなければ、明らかに理由がないものでもない(a)。しかしながら、それに続いて必要とされる結果衡量からは、仮命令は発出されなかったが本件申立てが本案において認容された場合に生じるであろう不利益は、仮命令は発出されたが本件申立てが本案において認容されなかった場合に生じるであろう不利益を上回るものではないことが、明らかとなる(b)。

【13】a) 異議申立人の多数による憲法異議は、少なくとも、人身を害されない権利としての基本権(基本法2条2項1文)、職業の自由に関する基本権(基本法12条1項)、ならびに基本法103条2項と結び付いた2条1項の侵害を主張する限りにおいて、初めから許されないものとはいえない。

【14】 また、それは明らかに理由がないものでもない。確かに、本手続において提出されたうち、とりわけ専門家である第三者の意見を考慮すれば、感染症予防法20a条が定める施設および企業において適用される証明義務の導入それ自体は、その判断の時点では、基本的な憲法上の疑義を受けない。しかしながら、感染症予防法20a条において選択された法律上の規制手法(Regelungstechnik)には、合憲性に関する疑いが存在する。ここでは、立法者は、まずは新型コロナウイルス感染症制限措置例外規則を参照させるが、しかし同規則は更に、提出すべきワクチン接種証明書または快復証明書の要件の具体化に関して、Paul-Ehrlich研究所およびRobert Koch研究所のインターネットサイトを参照させるという、二重の動態的な参照(doppelte dynamische Verweisung)が問題となっている。その点では、動態的に参照される上記の連邦研究機関の規制メカニズムが対外的に拘束力を有すること(bindende Außenwirkung)について、なお十分な法律上の基礎を見出しうるか否か、およびどの程度見出しうるかという疑問が生じる。また、これが認められる場合には、規則制定権者が自ら、提出すべきワクチン接種証明書または快復証明書を具体化し、それを本法の意味におけるワクチンを接種した者または感染から快復した者にも転用することをせずに、これらを上記の連邦研究機関へ委ねたことについても、説得力のある客観的理由があったか否か、およびどの程度あったかについて、更なる解明が必要となる。

【15】b) しかしながら、それに続いて必要とされる結果衡量が、仮命令の発出を正当化しない。

【16】aa) 仮命令は発出されなかったが憲法異議は事後的に認容された場合、問題となっている規制が適用されることによって生じるであろう不利益は、特別の重みを有する。当事者が感染症予防法20a条2項1文により課された証明義務を履行し、ワクチン接種に同意した場合、このことは身体的な反応を惹起し、その身体的健康を少なくとも一時的には侵害しうる。個々のケースにおいては重いワクチン副反応(Impfnebenwirkung)が生じ、また極端なケースにおいては死亡することもありうる。憲法異議が認容された場合であっても、行われたワクチン接種は不可逆的である。

【17】 もっとも、法律は当事者に対して、ワクチン接種を受けることを不可避的に要求しているわけではない。確かに、ワクチン接種を回避しようとする者にとっては、このことは、一時的に従来行ってきた業務や職場を変更することと結びつきうるものであり、それどころか職業を断念することとも結びつきうる。しかしながら、異議申立人らは、本案に関する判断までの限られた時間のなかで場合によっては生じうる職業上の不利益が、不可逆的であり、あるいは回復が非常に困難であるか、若しくはその他の重大な重みを有することについての説明を行っていない。;また、このことは、(少なくとも上記の時間的範囲について)明白であるともいえない。加えて、法律の施行により生じる個々人の経済的不利益は、原則として、規範の適用の停止を根拠付けるには十分ではない。

【18】bb) これに対して、申し立てられた仮命令が発出されたが憲法異議は認容されなかった場合、問題となっている規制の不適用によって生じる不利益も同様に特別の重みを有する。この場合、高齢者、ならびに基礎疾患を有する者、免疫力が低下している者や障害者(脆弱な〔vulnerable〕グループ)は、憲法異議に関する判断までの間において、新型コロナウイルスに感染し、それにより重大で死亡にも至りうる疾病に罹患することについての明らかに高いリスクに晒される。本手続において聞き取りがなされた専門家である第三者間で広く一致した評価によれば、引き続き(ウイルスのオミクロン変異に関しても)、脆弱なグループに属する者は、基本的に(ワクチン接種を受けている場合であっても)免疫力(Immunschutz)が、初めから低いか、時間が経過するにつれ早期に低下するために、容易に感染すること、また感染した場合には重大で死亡にも至りうる疾病に罹患することが想定される。

【19】 加えて、聞き取りがなされた専門家である第三者間で広く一致した評価によれば、新型コロナワクチンは、(時間が経過するにつれて弱まってゆくとしても)ウイルスのオミクロン変異との関係でも、感染からの有効な保護をもたらす。しかしながら、施設および企業において適用される証明義務の施行をいま仮に停止した場合、このことは、感染症予防法20a条1項1文において列挙された施設および企業における低い接種率と、そこで就業する者が感染し、それによって脆弱なグループがウイルスに感染することについての高いリスクを伴うこととなる。その結果、憲法異議に関する判断までの限られた時間のなかにおいても、仮命令が発出されなかった場合と比較して、より多くの脆弱なグループに属する人が不可逆的にウイルスに感染し、新型コロナウイルス感染症へ罹患し場合によっては死亡することさえも予期しなければならない。

【20】cc) ここで異議申立人らを脅かしている不利益は、その範囲および重大性において、問題となっている規制を仮に停止した場合に脆弱な人々について懸念される不利益を上回るものではない。

【21】 確かに、問題となっている規制を憲法異議に関する判断まで適用した場合、感染症予防法20a条1項1文が定める者は、(快復または禁忌による留保はあるものの)2022年3月15日までに十分なワクチン接種による保護を備えているのでなければならない。しかしながら、ワクチン接種は不可逆的ではあるが、結果衡量の枠組みのもとでは、それによって当事者が、脆弱な人々について発生するリスクを明らかに上回る健康リスクを負わされているとはいえない。重大な副作用またはワクチンの投与から導かれる免疫反応を超える深刻な結果は、現在の知見の水準によれば、非常に稀である。加えて、この点については、特にPaul-Ehrlich研究所が継続的に観察し評価を行っている。にもかかわらず、証明義務を負う者は、ワクチン接種に対する判断は自由に委ねられている。確かに、これは職業上の不利益を伴うものではある。しかしながら、このことが、本案における判断までの限られた時間のなかでも不可逆的であり、あるいは回復が非常に困難であるか、若しくはその他重大な重みを有するとは、懸念されないのである。

【22】 このような背景からすれば、結局のところ、本案における判断までの時間について、問題となっている規制を一時的に施行停止した場合に見込まれる不利益が優位する。パンデミックは依然として、感染の蓋然性が高く、それゆえに脆弱な人々に対して潜在的に高い危険を伴った、症例数の多い特別の感染ダイナミズムによって特徴付けられている。これについては、ウイルスのオミクロン変異の観点からも引き続き、可能な限り早期に感染の連鎖を断ち切ることが特に重要であり、そのためには、聞き取りがなされた専門家である第三者間で広く一致した意見に基づけば、新型コロナワクチンが有意に寄与しうる。その点では、脆弱な人々は基本的に自身で感染から身を守ることが制約されており、加えて、感染症予防法20a条1項1文の意味における健康や介護のための施設および企業が提供するサービスに完全に依存しているということも考慮しなければならない。その点では典型的かつ本質的な人間としての基本的欲求(menschliche Grundbedürfnisse)が関係しているのであるから、彼らがこのような施設および企業における業務との接触を回避することは、ほとんど不可能である。従って、仮命令を発出した場合には、本案における判断までの限られた時間とはいえ、ワクチン接種を受けていない者と脆弱な人々との広範囲にわたる不可避的な接触が、重大で死亡にも至りうる病状の経過をたどる(その点では不可逆的な)感染数を増加させることが予想される。

【23】 ワクチン接種により重大な結果が生じる蓋然性は非常に低いことと、脆弱な人々の生命および身体が毀損される蓋然性が明らかに高いこととが相対している。従って、それぞれ予想される不利益の結果衡量に際しては、憲法異議に関する判断まで引き続きワクチン接種を受けずに当該施設および企業において就業できることに対する異議申立人らの利益は、後退せざるをえないのである。

脚注

注1 これらの点については、厚生労働省のHP「職場における新型コロナウイルス感染症への感染予防及び健康管理に関する参考資料一覧新しいウィンドウ」〔最終アクセス日:2022年12月7日〕における「ワクチン接種に関する休暇や労働時間の取扱いに係るQ&A」および「ワクチン接種に関する偏見・差別に係るQ&A」を参照。

注2 例えば、ドイツにおいては2021年9月以降、コロナ労働保護規則(SARS-CoV-2-Arbeitsschutzverordnung)によって、使用者には、労働者が労働時間中にワクチン接種を受けることを可能とすべき義務等が課されている。詳細については、山本陽大 JILPTリサーチアイ第74回「職場における感染防止をめぐる法政策─ドイツにおけるコロナ労働保護規則の変遷を追う」〔最終アクセス日:2022年12月7日〕を参照。

注3 近時のアメリカにおける係争例については、中窪裕也「コロナワクチン接種の義務づけを命じる連邦の労働安全衛生基準の効力-2022年1月13日のアメリカ連邦最高裁判決(VFIB v. OSHA)について」季刊労働法278号(2022年)81頁を参照。

注4 本決定については、連邦憲法裁判所のHP「Bundesverfassungsgericht - Entscheidungen - Erfolgloser Eilantrag zur Außervollzugsetzung der "einrichtungs- und unternehmensbezogenen Nachweispflicht" nach § 20a Infektionsschutzgesetzneues Fenster」〔最終アクセス日:2022年12月7日〕から全文の閲覧が可能である。

注5 詳細については、中村容子「下院で新型コロナワクチン接種義務化法案を否決、義務化のめど立たず新しいウィンドウ」日本貿易振興機構(JETRO)HP〔最終アクセス日:2022年12月7日〕を参照。

注6 但し、後述の通り、この点については本決定においてその合憲性に疑義が示されたため、本案手続中の2022年3月に感染症予防法が改正され、現在ではワクチン接種証明および快復証明については同法の22a条1項および2項において定義が置かれ、そのなかで具体的な要件が規定されている。

注7 同決定については、連邦憲法裁判所のHP「Bundesverfassungsgericht - Entscheidungen - Erfolglose Verfassungsbeschwerde gegen die Pflicht zum Nachweis einer Impfung gegen COVID-19 (sogenannte "einrichtungs- und unternehmensbezogene Nachweispflicht")neues Fenster」〔最終アクセス日:2022年12月7日〕から全文の閲覧が可能である。