■□――【メールマガジン労働情報/No.2047】
労働者協同組合、施行後2年半で144法人が設立/厚労省 ほか
―2025年4月4日発行――――――――――――――□■
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本号の主な内容
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【行政】労働者協同組合、施行後2年半で144法人が設立/厚労省 ほか
【統計】二人以上世帯の消費支出、前年同月比0.5%減/2月家計調査報告
【労使】政策金利の引上げ、4割超が「デメリット大きい」/日商LOBO調査 ほか
【動向】平均賃上げ率4.5%、企業から「賃上げ疲れ」の声も/民間レポート ほか
【企業】定年後の再雇用制度を刷新、定年前と同様の報酬制度を適用/三菱電機 ほか
【海外】収入増加と負担軽減、消費活性化を目指す―党・政府方針/中国 ほか
【イベント】シンポジウム「男女雇用機会均等法成立40周年―日本社会のこれまでとこれから」/21世紀職業財団
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【JILPT研究成果情報】
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◇資料シリーズNo.289『労働組合のない企業における労働時間などをめぐる労使コミュニケーションと過半数代表者の関与』
JILPTは、労働組合のない企業に対してヒアリング調査を実施し、労使コミュニケーションの形態、
過半数代表者の役割・選出手続き、多様な従業員の意見集約の手段などについて事例収集を行いました。
ヒアリング調査を通じて、労働時間などをめぐる労使コミュニケーションと過半数代表者の関与のあり方
などを明らかにした上で、各企業の差異を確認し、差異が認められる場合の理由を考察しています。
https://www.jil.go.jp/institute/siryo/2025/289.html
◇資料シリーズNo.290『就職支援機関向けWeb適性評価ツールの開発に係る基礎的検討』
JILPTでは、コンピュータ支援型総合的キャリアガイダンスシステムである「キャリア・インサイト(統合版)」を
2014年から一般提供しています。今般、同システムをWeb提供型ツールとして新規開発することとなりました。
本書は、開発の初期段階として、これまでのキャリアガイダンスシステムの特徴と経緯を振り返るとともに、
システム開発に必要な情報収集と整理を行っています。
https://www.jil.go.jp/institute/siryo/2025/290.html
◇労働政策研究報告書No.233『キャリアコンサルティングの有用度及びニーズに関する調査』
https://www.jil.go.jp/institute/reports/2025/0233.html
◇労働政策研究報告書No.234『母子世帯の階層的分断の実相と趨勢―経済的自立と子どものウェルビーイングの課題―』
https://www.jil.go.jp/institute/reports/2025/0234.html
◇労働政策研究報告書No.235『働き方と生活・健康の課題―JILPT個人パネル調査の分析―』
https://www.jil.go.jp/institute/reports/2025/0235.html
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【JILPTからのお知らせ】
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◇新刊のご案内
研究双書『失業の心理学─失業から再就職への橋渡し─』(榧野潤・西垣英恵 著)
本書は、労働市場の構造的問題に注目し、100年近くにわたる心理学研究の蓄積と、著者が当機構で
積み重ねてきた実証的研究成果をもとに、失業者の心理と求職行動を科学的に分析した一冊です。
効果的な支援を実現するための新しい研究アプローチを提示するとともに、再就職支援の実務に資する
16の提言を収録しています。
【A5判428頁 定価:3,850円(本体3,500円) 3月31日刊行】
https://www.jil.go.jp/publication/sosho/unemployment/index.html
◇『データブック国際労働比較2025』を公開!
本書は、日本と諸外国の労働面の実態についてわかりやすいように編集した国際比較統計集です。
経済、人口、就業構造、失業・雇用調整、賃金・労働費用、労働時間(制度)、教育・職業能力開発、
勤労者生活・福祉等に関する各国の統計指標を、国際比較が可能な形に編集・収録しています。
https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/databook/2025/index.html
★令和7年度(第48回)労働関係図書優秀賞、公募受付中!
労働関係図書優秀賞は、労働問題に関する一般の関心を高めるとともに、労働に関する総合的な調査研究の
発展に資することを目的として、当機構が読売新聞社の後援のもと、実施しています。
今年度の選考対象図書は令和6年4月から令和7年3月までに新たに刊行された、日本人の編著による
労働に関する図書(雑誌、研究資料、非売品を除く)です。選考への応募方法は、実施要綱をご覧ください。
https://www.jil.go.jp/award/index.html
▽労働関係図書優秀賞・実施要綱
https://www.jil.go.jp/award/koubo/index.html
★25年度「東京労働大学講座・総合講座」(5月開講、オンライン開催)募集開始!
<人事管理・労働経済>部門 5月7日(水)~7月4日(金)(17講義日+試験)
<労働法> 部門 7月10日(木)~8月29日(金)(14講義日+試験)
開催方式:オンライン開催(ライブ配信)※オンデマンド配信ではありません。
配信方法:Zoomウェビナー利用
講義時間:午後6時30分~8時30分まで(120分)
受講料 :1部門につき35,000円(税込)、2部門受講は58,000円(税込)
https://www.jil.go.jp/kouza/sogo/index.html
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【行政】
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●労働者協同組合、施行後2年半で144法人が設立/厚労省
厚生労働省は2日、労働者協同組合法の施行(2022年10月)から2年6カ月が経過した時点での労協の設立状況
を公表した。設立数は計144法人。うち新規設立が109法人、組織変更(企業組合、NPO法人からの変更)が35法人。
設立された労協では、高齢者や障害者の支援、子育て支援、荒廃山林を整備したキャンプ場の経営、葬祭業、
成年後見支援、家事代行、給食づくりなど様々な事業が行われ、新しい働き方を実現していると紹介。
2024年8月からは、国がモデル地域として選定した神奈川県、福井県、長野県、三重県、徳島県の5県に設置
された協議会における労協の活用を通じたモデル事業を実施している。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_56100.html
●2025年度「アルバイトの労働条件を確かめよう!」キャンペーン/厚労省
厚生労働省では、全国の大学生等を対象に、特に多くの新入学生がアルバイトを始める4月から7月末まで
の間、自分の労働条件の確認を促すことなどを目的としたキャンペーンを実施する。重点的な呼びかけ事項は、
労働条件の明示、シフト制労働者の適切な雇用管理、労働時間の適正な把握など。 期間中、大学等での
出張相談や、アルバイトを始める前に知っておいてほしいポイントをまとめたリーフレットの配布などを行う。
既にアルバイトをしている人も、この機会に自身の労働条件を確かめるよう、呼びかけている。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_54645.html
▽リーフレット(学生向け)
https://www.mhlw.go.jp/content/11201250/001447177.pdf
▽リーフレット(事業主向け)
https://www.mhlw.go.jp/content/11201250/001446331.pdf
●委託事業「AI・メタバース関係の調査研究事業」報告書を公表/厚労省
厚生労働省は、委託事業「令和6年度AI・メタバース関係の調査研究事業」の報告書を公表した。
AIやメタバース(インターネット上の3次元仮想空間)などの最新技術の活用による労働法制上の課題
について検討を進めるため、人的資源管理領域での諸外国の状況含めた実態や課題を把握するとともに、
これら技術の有効な活用を図ることで更なる効果的な労働法教育・周知活動等を実施することが可能か
検討することを目的として、2024年4月から25年3月にかけて実施したもの。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_56134.html
●公立大学法人大阪不当労働行為再審査事件で初審命令を維持/中労委
組合員に対する懲戒処分の手続きについて実施された3回の団交での法人の対応が不当労働行為であるとして
救済申立てがあった事件の再審査事件において、中央労働委員会は3月27日、法人は団交において自らの主張
について説明するとともに、組合の質問に回答するなどその対応は不誠実なものとはいえないとして、
初審命令を維持し組合の再審査申立てを棄却した。
https://www.mhlw.go.jp/churoi/futouroudou/dl/r070328-1.pdf
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【統計】
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●二人以上世帯の消費支出、前年同月比0.5%減/2月家計調査報告
総務省は4日、2月の「家計調査報告」を公表した。二人以上世帯の1世帯当たりの消費支出は29万511円。
実質で前年同月比0.5%減、3カ月ぶりの減少。支出項目別でのプラス寄与は、光熱・水道(0.76%)、
交通・通信(0.66%)、教養娯楽(0.26%)など。マイナス寄与は、食料(マイナス1.30%)、住居(同0.50%)、
保健医療(同0.38%)など。なお、2024年(うるう年)2月29日分の消費支出を除いて試算すると、1.8%の増加
となり、公表値のほうが2.3ポイント低いとしている。
勤労者世帯の実収入は、1世帯当たり57万1,993円(前年同月比で実質2.3%減)で2カ月連続の実質減少。
https://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/tsuki/index.html
▽報道発表資料
https://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/tsuki/pdf/fies_mr.pdf
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【労使】
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●政策金利の引上げ、4割超が「デメリット大きい」/日商LOBO調査
日本商工会議所は3月29日、「商工会議所LOBO(早期景気観測)」3月調査結果を発表した。
政策金利の引上げが業績に与える影響は、「デメリットが大きい」が41.7%と最多。デメリットとして
「借入金の金利上昇」が77.1%と最も多く、運転資金や設備投資資金を借り入れることが多いとされる
中小企業にとっては、金利上昇が収益に与えるインパクトは大きく、原材料、エネルギー、労務費コスト
の上昇に加えて新たなコスト負担になっていると指摘している。
3月の業況DIは、深刻な人手不足の継続や労務費上昇分を含む価格転嫁が十分進んでいないといった
経営課題が山積するも、新生活・新学期需要が追い風となり小幅改善(前月比1.3ポイント上昇)。
先行きは、好調なインバウンド需要や大型連休への期待などから明るい兆しが見えるとしている。
https://cci-lobo.jcci.or.jp/wp-content/uploads/2025/03/LOBO202503.pdf
●2025春闘の第3回回答集計、中小組合も5%に/連合
連合は3日、2025春季生活闘争の第3回回答集計結果(4月1日時点)を公表した。
平均賃金方式の回答の2,485組合の加重平均(規模計)は1万7,358円・5.42%と、昨年同期を1,321円、
0.18ポイント上回った。300人未満の中小組合(1,441組合)も1万3,360円・5.00%で同1,263円・0.31
ポイント増。有期・短時間・契約等労働者の賃上げ額は、加重平均で、時給70.51 円(同 3.84円増)と、
昨年同時期を上回った。時給の引き上げ率(概算)は 6.10%で、一般組合員(平均賃金方式)を上回る。
https://www.jtuc-rengo.or.jp/activity/roudou/shuntou/2025/yokyu_kaito/kaito/press_no3_all.pdf?140
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【動向】
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●平均賃上げ率4.5%、企業から「賃上げ疲れ」の声も/民間レポート
帝国データバンクは3日、「景気動向調査(25年3月)」を発表した。トピックスの「2025年度の賃上げ動向」
では、同社が試算した賃上げ率は平均4.50%。初任給の引上げ額は平均9,114円。24年度と同様に高水準が
期待されるが、企業からは「賃上げ疲れ」といった声が寄せられていると紹介した。
3月の景気については、前月から横ばいと判断。食品・原材料価格の高止まり、人材確保の困難さが引き続き
幅広い業種の収益を圧迫。一方、インバウンドや人出増加は景気を押し上げ、新生活需要の下支え、関税引上げ
や利上げ前の駆け込み受注もプラス材料だったと指摘。今後の景気は、世界経済の不確実性が高まり「横ばい」
傾向が続くとしている。
https://www.tdb.co.jp/report/economic/ets202503/
●「IT技術職の働き方に関する調査研究―男女比較の観点から―」報告書を公表/21世紀職業財団
21世紀職業財団は今般、報告書「IT技術職の働き方に関する調査研究―男女比較の観点から―(2025年)」を
公表した。同調査研究では、知識やスキルが明確であるはずのIT技術職においても、重要な仕事の経験の
違いは子育て等の時間制約によるものではなく、性別によって生じていることを明らかにした。
分析結果を踏まえ、性別差の解消、マミートラックに入らない取組みの推進など、他職種も参考となる
提言も示している。
https://www.jiwe.or.jp/research-report/2025
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【企業】
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●定年後の再雇用制度を刷新、定年前と同様の報酬制度を適用/三菱電機
三菱電機は3月28日、定年後の再雇用制度を刷新した「マスターキャリア制度」を2026年度より導入
すると発表した。新制度では、業績目標のすり合わせ、成果評価と行動評価の2軸による業績評価、
および賃金・賞与に反映する報酬体系など、定年退職前と同様の仕組みを適用。処遇水準を従来制度
と比べ最大125%(個人業績に応じて変動)に変更する。また、従来の1年ごとの契約を廃止し、
対象者が希望する年齢まで継続雇用を実施。同社は、年功的要素を廃し、実際に発揮された
パフォーマンスに直結した透明性・納得性の高い人事評価の徹底を進めるとしている。
https://www.mitsubishielectric.co.jp/news/2025/pdf/0328-a.pdf
●若手社員、18%賃上げ 初任給は30万円に/野村証券
野村証券は3月28日までに、2025年度は国内の入社3年目までの若手社員を対象に、昇給とベースアップ
(ベア)を含めて平均18%程度の賃上げを実施すると明らかにした。ベアは最大13%程度。今年度も平均
16%程度引き上げており、優秀な人材の確保を狙う。4月入社の新入社員の初任給は3万5000円引き上げ、
30万円とする。証券業界では、大和証券グループ本社や岡三証券グループなどが今年4月入社の新入社員を
対象に初任給を30万円にする。三菱UFJモルガン・スタンレー証券が26年4月入社の初任給を30万5000円
に引き上げるなど、有能な人材獲得に向けた動きが活発だ。
(時事通信 2025年3月28日 ※リンクなし)
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【海外】
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●国別トピック/JILPT
<中国>
▽収入増加と負担軽減、消費活性化を目指す―党・政府方針
3月5日に開幕した全国人民代表大会(全人代、国会に相当)において、李強首相が発表した政府活動
報告では、「消費」について32回言及し、前年の21回から大幅に増え、過去13年間で最多だった。
政府が消費の低迷に対して、危機感を一層強めていることを反映した形だ。これを受け、中国共産党
中央弁公庁と国務院(中央政府)弁公庁は3月16日、「消費促進の特別行動計画」を発表した。
「消費喚起に向けた30の任務」を示し、都市部および農村部の住民の収入向上や、政府補助金を活用した
負担軽減策、労働者の休暇の権利保護などを通じて、消費を高めるための一連の施策を提唱。関連行政
機関に対して、その実行を求めている。その主な内容を以下に紹介する。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2025/04/china_01.html
<台湾>
●「性別平等工作法」改正1年、セクハラ申立ての利用は低調―法令遵守の徹底求める
台湾では、職場でのセクハラ被害者を保護するため、「性別(ジェンダー)平等工作法」の改正が
進められてきた。2024年3月8日、雇用主に対するセクハラ防止対策義務の強化といった内容を盛り込んだ
「性別平等工作法」が施行された。労働部による職場のセクハラ実態調査の結果によると、2023年8月から
2024年7月の1年間において、職場でセクハラを受けたが、苦情を申立てなかった労働者の割合が2.4%に達した。
前年の1.9%から増加し、申立て制度の利用は低調となっている。労働部は申立てをしなかった理由を再調査し、
セクハラ防止などの宣伝活動の強化や、雇用主に対する法令遵守の徹底を求めていく方針を示している。
(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2025/03/taiwan_01.html
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【イベント】
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●シンポジウム「男女雇用機会均等法成立40周年―日本社会のこれまでとこれから」/21世紀職業財団
21世紀職業財団は5月16日(金)、シンポジウム「男女雇用機会均等法成立40周年―日本社会のこれまでと
これから」を会場(東京都渋谷区・東京ウィメンズプラザホール)とオンラインで開催する。
日本の雇用における男女平等はどう変わってきたか、残る課題は何か、どのような展望が持てるのか。
均等法立案の関係者による対談と各界のパネリストによるディスカッションを行う。参加無料。要予約。
定員は会場150名、オンラン350名。
https://www.jiwe.or.jp/event/symp2025-02