メールマガジン労働情報 No.2046

■□――【メールマガジン労働情報/No.2046】

中小企業・小規模事業者の価格転嫁、生産性向上など議論/新しい資本主義実現会議 ほか

―2025年4月2日発行――――――――――――――□■

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  本号の主な内容
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【行政】中小企業・小規模事業者の価格転嫁、生産性向上など議論/新しい資本主義実現会議 ほか
【統計】2月の完全失業率2.4%、前月比0.1ポイント低下/労働力調査 ほか
【企業】「奨学金返還支援制度」を導入/関東バス ほか
【海外】ドイツにおける高齢者の雇用延長へのアプローチ/ドイツ
【イベント】セミナー「笑いが生み出す職場の活力~“笑う門”とワーク・エンゲイジメント~」/日本生産性本部 ほか

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【JILPT研究成果情報】
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◇労働政策研究報告書No.235『働き方と生活・健康の課題―JILPT個人パネル調査の分析―』

JILPTでは、35~54歳の男女を対象に、仕事と、生活、健康、ウェルビーイングとの関係を分析するため、
同一個人を追跡する「個人パネル調査」を実施しています(第1回調査は2023年1月)。
本報告書は、第1回~第3回調査のデータを分析した論文を取りまとめたもの。各章タイトルを以下ご紹介します。
第1章「基本項目の回答傾向-男女差に着目して」、第2章「職業特性と健康-日本版O-NETとの接続による分析」、
第3章「精神的・身体的健康の悪化リスクと世代内移動の関連」、第4章「非典型時間帯労働と勤務日・休日の
睡眠時間との関連」、第5章「ポストコロナのテレワーク」、第6章「労働組合の加入形態は『仕事の質』に
関係するか」。
https://www.jil.go.jp/institute/reports/2025/0235.html

◇労働政策研究報告書No.234『母子世帯の階層的分断の実相と趨勢―経済的自立と子どものウェルビーイングの課題―』

これまでのひとり親世帯研究においては、社会保障制度と貧困の視点、女性労働と就業支援の視点、
離婚と親子関係の視点が注目されてきました。本報告書では、この3つの視点に着目し、JILPTが2011年から
2022年にかけて継続的に行っている「子育て世帯全国調査」を用いた定量的分析によって、
母子世帯の経済的自立と子どものウェルビーイングに関する課題を明らかにしています。
https://www.jil.go.jp/institute/reports/2025/0234.html

◇労働政策研究報告書No.233『キャリアコンサルティングの有用度及びニーズに関する調査』

JILPTは、キャリアコンサルティングの有用度及びニーズについて幅広く検討を行うため、大規模な調査を
実施しました。キャリアコンサルティング経験者にその有用度をたずねた結果、約6割がキャリアや職業生活が
「変化した」と回答。具体的な変化としては「将来のことがはっきりした」「就職できた」「仕事を変わった」
が多く、相談が「とても役立った」と「やや役立った」の合計、今後もキャリアコンサルティングを「受けたい」
と「どちらかと言えば受けたい」の合計のいずれも5割前後だったことなどが分かりました。
https://www.jil.go.jp/institute/reports/2025/0233.html

◇調査シリーズNo.252『同一労働同一賃金の対応状況等に関する調査(労働者Webアンケート調査)結果』
https://www.jil.go.jp/institute/research/2025/252.html

◇調査シリーズNo.251『同一労働同一賃金の対応状況等に関する調査(企業調査)』
https://www.jil.go.jp/institute/research/2025/251.html

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【JILPTからのお知らせ】
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◇『データブック国際労働比較2025』を公開!

本書は、日本と諸外国の労働面の実態についてわかりやすいように編集した国際比較統計集です。
経済、人口、就業構造、失業・雇用調整、賃金・労働費用、労働時間(制度)、教育・職業能力開発、
勤労者生活・福祉等に関する各国の統計指標を、国際比較が可能な形に編集・収録しています。
https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/databook/2025/index.html

◇新刊のご案内
 『新時代のキャリアコンサルティング[増補版]―現在と未来、理論と実践をつなぐ新たな架け橋―』

本書は、新旧のキャリア理論、カウンセリング理論を網羅し、実践との結びつきを意識して紹介した一冊です。
今回、9年ぶりに改訂した[増補版]では、キャリア理論とカウンセリング理論それぞれ12項目、あわせて24項目を
追加し、伝統的・基礎的な理論を拡充しつつ、新たな内容も網羅しています。キャリアカウンセラーや職業相談、
学校でキャリア教育に携わる方などどなたでも幅広く活用できる標準的な内容となっています。
https://www.jil.go.jp/publication/ippan/shinjidai2025.html

★25年度「東京労働大学講座・総合講座」(5月開講、オンライン開催)募集開始!

<人事管理・労働経済>部門 5月7日(水)~7月4日(金)(17講義日+試験)
<労働法> 部門      7月10日(木)~8月29日(金)(14講義日+試験)
開催方式:オンライン開催(ライブ配信)※オンデマンド配信ではありません。
配信方法:Zoomウェビナー利用
講義時間:午後6時30分~8時30分まで(120分)
受講料 :1部門につき35,000円(税込)、2部門受講は58,000円(税込)
https://www.jil.go.jp/kouza/sogo/index.html

★2026年度 職員(事務職員)募集について
https://www.jil.go.jp/information/koubo/shokuin/2025/index.html

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【行政】
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●中小企業・小規模事業者の価格転嫁、生産性向上など議論/新しい資本主義実現会議

政府は3月28日、新しい資本主義実現会議を開催し、価格転嫁・官公需、生産性向上、事業承継・M&A等の
経営基盤の強化などについて議論した。首相は議論を踏まえ、「我が国の雇用の7割を占める中小企業・
小規模事業者が、『コストカット型』経営から『成長型』経営へと変革を進めることができるよう集中的に
取り組む」として、深刻な人手不足に直面し、最賃引上げによる影響も見込まれるサービス業等の12業種に
ついては、業種別「省力化投資促進プラン」を5月目途に策定し、2029年までの5年間を集中取組期間として
業種ごとに生産性向上の目標を定め、支援体制の整備に取り組む、などと述べた。
https://www.kantei.go.jp/jp/103/actions/202503/28shihon.html
<資料>
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_sihonsyugi/kaigi/dai32/gijisidai.html

●フリーランス法施行後、45事業者に「取引条件の明示義務違反」等で指導/公取委

公正取引委員会は3月28日、「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(フリーランス新法・
2024年11月施行)に基づき、45名の事業者に対して、契約書や発注書の記載、発注方法、支払期日の定め方等
の是正を求める指導を行ったと発表した。フリーランスとの取引が多いゲームソフトウェア業、アニメーション
制作業、リラクゼーション業、フィットネスクラブ業の事業者について集中的に調査を行った結果によるもの。
取引条件の明示義務の違反等、指導の対象となった事例を掲載している。
https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2025/mar/250328_FL.html

●「カスハラ対策企業マニュアル」スーパーマーケット業編を作成/厚労省

厚生労働省は今般、「業種別カスタマーハラスメント対策企業マニュアル(スーパーマーケット業編)」等を
作成した。スーパーマーケット業界におけるカスハラの実態調査や業界企業へのヒアリングを踏まえ、
カスハラに対する業界団体等の傘下企業の共通方針や、企業が取り組むべき対策を具体的に記載。また、
店舗等に掲示する周知用ポスターと研修動画も作成している。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_55395.html
▽「あかるい職場応援団」
https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/

●高年齢者雇用安定法Q&Aの改訂版を公表/厚労省

厚生労働省は3月31日付けで改訂した「高年齢者雇用安定法Q&A(高年齢者雇用確保措置関係)」をHPに
掲載している。1.継続雇用制度の導入、2.就業規則の変更、3.継続雇用先の範囲の拡大、について
Q&A形式で解説。また、「高年齢者雇用安定法の改正~70歳までの就業機会確保~」として、事業主の
努力義務となった70歳までの就業機会確保措置についても、パンフレット等を掲載している。
▽高年齢者雇用安定法Q&A
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/koureisha/topics/newpage_55003.html
▽高年齢者雇用安定法の改正~70歳までの就業機会確保~
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/koureisha/topics/tp120903-1_00001.html

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【統計】
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●2月の完全失業率2.4%、前月比0.1ポイント低下/労働力調査

総務省は1日、2025年2月の「労働力調査(基本集計)」を公表した。完全失業率(季調値)は2.4%で、
前月比0.1ポイント低下。完全失業者数は165万人で前年同月比12万人減少。就業者数は6,768万人(同40万人増)
で31カ月連続の増加。雇用者数は6,152万人(同64万人増)で、36カ月連続の増加。うち、正規従業員数は
3,644万人(同27万人増)で16カ月連続の増加、非正規従業員数は2,147万人(同13万人増)で、2カ月連続の増加。
https://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/tsuki/index.html
▽概要
https://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/tsuki/pdf/gaiyou.pdf

●2月の有効求人倍率1.24倍、前月比0.02ポイント低下/一般職業紹介状況

厚生労働省は1日、2025年2月分「一般職業紹介状況」を公表した。有効求人倍率(季調値)は1.24倍で、
前月比0.02ポイント低下。新規求人倍率(同)は2.30倍で、同0.02ポイント低下した。新規求人(原数値)
は、前年同月比で5.9%減。産業別では、宿泊業・飲食サービス業(17.6%減)、生活関連サービス業・娯楽業
(10.5%減)、建設業(9.1%減)、製造業(6.5%減)など、11産業全てで減少した。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_56019.html

●業況判断DI、大企業で2ポイント低下、非製造業は2ポイント上昇/日銀短観

日本銀行は1日、3月の「全国企業短期経済観測調査」(短観)結果を公表した。
業況判断DI(「良い」-「悪い」)は、大企業製造業でプラス12(前回12月調査比2ポイント低下)、
非製造業でプラス35(同2ポイント上昇)。全産業・規模計でプラス15(同変化なし)。
雇用人員判断DI(「過剰」-「不足」)は、全産業・規模計でマイナス37(同1ポイント低下)。
不足超過は、大企業(マイナス28)より中堅(同38)、中小(同39)で、製造業(同23)より
非製造業(同46)で大きい(概要6頁)。
https://www.boj.or.jp/statistics/tk/tankan03a.htm
▽要旨
https://www.boj.or.jp/statistics/tk/yoshi/tk2503.htm
▽概要
https://www.boj.or.jp/statistics/tk/gaiyo/2021/tka2503.pdf

●2月の鉱工業生産2.5%上昇、基調判断は「一進一退」で据え置き/鉱工業指数速報

経済産業省は3月31日、2月の鉱工業生産・出荷・在庫指数(速報)を公表した。生産指数(季調値)は
前月比2.5%上昇の102.4で4カ月ぶりの上昇。業種別では、上昇は生産用機械工業、電子部品・デバイス
工業、化学工業(無機・有機化学工業・医薬品を除く)等、低下は輸送機械工業(自動車工業を除く)、
無機・有機化学工業、鉄鋼・非鉄金属工業等。出荷は前月比3.0%上昇の101.5で4カ月ぶりの上昇、
在庫は同1.7%低下の100.9で2カ月ぶりの低下、在庫率は同3.5%低下の102.8で3カ月連続の低下。
基調判断は、「生産は一進一退で推移している」で、前月から据え置き。
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result-1.html
▽概要
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result/pdf/press/b2020_202502sj.pdf

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【企業】
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●「奨学金返還支援制度」を導入/関東バス

関東バスは3月7日、日本学生支援機構の代理返還制度を活用した、社員の奨学金返還支援制度の導入を
発表した。対象は2月1日以降入社する社員からで新卒・中途を問わない。支援額は月額上限3万円、
期間は最長10年。同機構に毎月代理で返還する。社員がよりキャリアに集中できる環境を整え、社員の
経済的負担を軽減し、福利厚生の拡充を図ることが目的、としている。
https://www.kanto-bus.co.jp/news/detail.php?id=2CHBK5Z

●大和証券G、5%程度の賃上げ決定 転勤手当は最大35万円に

大和証券グループ本社は3月26日、6月からグループ全体で給与水準について5%程度の賃上げを実施すると発表
した。引き上げは4年連続。このほか、転居を伴う異動に対する手当を見直した。転勤手当を5万円増額し、最大
35万円支給する。帯同する家族への手当を新たに設け、中学生以上は1人10万円、小学生以下は5万円を支給する。
(時事通信 2025年3月26日 ※リンクなし)

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【海外】
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●フォーカス/JILPT

<ドイツ>
ドイツにおける高齢者の雇用延長へのアプローチ

人口動態の変化は、ドイツの労働市場に大きな課題を突きつけている。これから2035年までは、職業生活から
引退する人の数が、新たに労働市場に参入する人の数を大幅に上回る。外部からの移住と就業率の上昇がなければ、
労働供給は約700万人(潜在的労働力の約14%)減少する。このような事態は、特に高齢者と女性の就業参加の
増加と、純移動(転入から転出を差し引いた値)の改善によって緩和される可能性がある。あるいは、長時間
労働に興味はあるが実現できないパートタイム従業員や僅少労働者(ミニジョブ労働者)が労働時間の増加を
選ぶことで緩和されるかもしれない。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/labor_system/2025/03/germany.html

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【イベント】
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●セミナー「笑いが生み出す職場の活力~“笑う門”とワーク・エンゲイジメント~」/日本生産性本部

「健康いきいき職場づくりフォーラム」(事務局:日本生産性本部)は4月17日(木)、オンライン配信(ライブ)で、
セミナー「笑いが生み出す職場の活力~“笑う門”とワーク・エンゲイジメント」を開催する。
専門家による「笑いが職場の活力を生む?ワーク・エンゲイジメントとの意外な関係」についての話題提供や、
グループ討議(テーマ:自組織で笑いを増やし、ワーク・エンゲイジメントを高めるには)などを予定。
参加費(一般)8,250円。定員40名。要予約。
https://www.jpc-net.jp/seminar/detail/007242.html

●「知って役立つ!最新・労働法入門」/京都勤労者学園

(公社)京都勤労者学園は、5月から9月まで全8回(8月を除く、第2・4火曜)、「知って役立つ!
最新・労働法入門~雇う・雇われる人の日常に関わる大事なルール~」を京都市で開催する。単発受講、
Zoomによる聴講も可。働くすべての人に役立つ労働法の基礎を初心者にも分かりやすく解説。法改正の
ポイントや重要判例を学び、コンプライアンス対応にも活かせる。人事・総務担当者、起業を考えている人、
労働相談担当者に向く内容。受講料14,000円。
https://www.labor.or.jp/gakuen/archives/kyoto-school/roudouhounyumon