■□――【メールマガジン労働情報/No.2045】
労働条件分科会「組織再編に伴う労働関係の調整に関する部会」を開催/厚労省 ほか
―2025年3月28日発行――――――――――――――□■
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本号の主な内容
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【行政】労働条件分科会「組織再編に伴う労働関係の調整に関する部会」を開催/厚労省 ほか
【統計】新卒者の採用内定状況、「採用計画数に達していない」が最多/労働経済動向調査 ほか
【労使】「企業におけるグローバルタレントマネジメントに関する事例集」を掲載/経団連
【企業】空港地上業務にカスハラ指針 組織的に対処―グランドハンドリング協会
【海外】失業率の「低下」と求職者数の「増加」/フランス ほか
【法令】労働関係法令一覧(2025年2月公布分)
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【JILPT研究成果情報】
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◇調査シリーズNo.251『同一労働同一賃金の対応状況等に関する調査(企業調査)』
「同一労働同一賃金ルール」施行後の対応状況を把握するため、中小企業および大企業を対象にアンケート調査
を実施しました。パート・有期社員または正社員の待遇の見直しを行った企業のうち、パート・有期社員の
「基本給」を拡充した割合は、中小企業で約6割、大企業で約4割、「基本給の昇給の仕組み」ではそれぞれ
約4割と約3割、「賞与」は両者とも約4割、「退職金」は両者とも約1割、などが分かりました。調査では、
同ルールへの対応の有無や内容をはじめ、待遇差の変化の程度や、対応に当たっての企業の抱える課題も含め、
対応状況を詳細に把握しました。
https://www.jil.go.jp/institute/research/2025/251.html
◇調査シリーズNo.252『同一労働同一賃金の対応状況等に関する調査(労働者Webアンケート調査)結果』
「同一労働同一賃金ルール」施行前後における労働者の待遇や納得性の変化等について把握するため、
パート・有期雇用労働者および派遣労働者を対象にWebアンケート調査を実施しました。施行後、自身に
新たに支給・適用された待遇や労働条件が「あった」と回答したのは約3割。また、施行以前から支給・適用
されていた待遇や労働条件が、「施行後に増額・改善された」のは1割以上。個別項目では、「賞与・ボーナス」
「定期的な昇給制度」「通勤手当」「時間外・深夜休日手当」などで割合が高くなっています。調査では、
施行法の認知度、勤め先や仕事の満足度、職務が同じ正社員と比較して納得できない待遇や労働条件、正社員
として働きたい希望など、多岐にわたる項目を調査し状況を把握しました。
https://www.jil.go.jp/institute/research/2025/252.html
◇労働政策研究報告書No.232『新興感染症と職場における健康保護をめぐる法と政策
―コロナ禍(COVID19-Pandemic)を素材とした日・独比較―』
https://www.jil.go.jp/institute/reports/2025/0232.html
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【JILPTからのお知らせ】
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★当メールマガジン・読者アンケートご協力のお願い(回答期限3月31日)
今後の編集の参考とするため、ぜひ率直なご意見・ご感想をお寄せいただければ幸いです。
まだ回答されていない方は、何卒ご協力くださいますようお願い申し上げます。
★2026年度 職員(事務職員)募集について
https://www.jil.go.jp/information/koubo/shokuin/2025/index.html
◇新刊のご案内
『新時代のキャリアコンサルティング[増補版]―現在と未来、理論と実践をつなぐ新たな架け橋―』
本書は、新旧のキャリア理論、カウンセリング理論を網羅し、実践との結びつきを意識して紹介した一冊です。
今回、9年ぶりに改訂した[増補版]では、キャリア理論とカウンセリング理論それぞれ12項目、あわせて24項目を
追加し、伝統的・基礎的な理論を拡充しつつ、新たな内容も網羅しています。キャリアカウンセラーや職業相談、
学校でキャリア教育に携わる方などどなたでも幅広く活用できる標準的な内容となっています。
https://www.jil.go.jp/publication/ippan/shinjidai2025.html
▽JILPTウェブサイト上での刊行物購入方法を、より便利にお使いいただけるよう変更しました!
(新たに アマゾンPay でのお支払いも可能になりました。)
https://www.jil.go.jp/publication/index.html
◇『日本労働研究雑誌』2025年4月号を刊行しました! 特集「その裏にある歴史」
https://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2025/04/index.html
◇『ビジネス・レーバー・トレンド』4月号を公開しました! 「シニア層が活躍する就労機会の拡大に向けて」
https://www.jil.go.jp/kokunai/blt/backnumber/2025/04/index.html
◇英文ジャーナル『Japan Labor Issues』(電子版)2025年春号を公開しました!
本号では、論文特集のIIとして、「就業中断女性の女性活躍への道筋──中高年期の女性の自律的・主体的な
能力開発意欲に注目して」、「障害者雇用政策の対象となる障害者層の比較――日本・フランス・ドイツ」を
お届けします。判例解説では、有期労働契約の更新について5年を上限と定めた場合、無期契約に転換する
権利が発生する5年目において契約更新を拒否することは許されるかが争われた事件を取り上げます。
その他、日本企業における能力開発とキャリア形成に関する論考、2024年版労働経済白書の解説を掲載。
https://www.jil.go.jp/english/jli/index.html
★25年度「東京労働大学講座・総合講座」(5月開講、オンライン開催)募集開始!
<人事管理・労働経済>部門 5月7日(水)~7月4日(金)(17講義日+試験)
<労働法> 部門 7月10日(木)~8月29日(金)(14講義日+試験)
開催方式:オンライン開催(ライブ配信)※オンデマンド配信ではありません。
配信方法:Zoomウェビナー利用
講義時間:午後6時30分~8時30分まで(120分)
受講料 :1部門につき35,000円(税込)、2部門受講は58,000円(税込)
https://www.jil.go.jp/kouza/sogo/index.html
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【行政】
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●労働条件分科会「組織再編に伴う労働関係の調整に関する部会」を開催/厚労省
厚生労働省は25日、労政審労働条件分科会「組織再編に伴う労働関係の調整に関する部会」を開催した。
有形資産に乏しいスタートアップや事業承継を検討する企業の資金調達を円滑化する「事業性融資の推進等に
関する法律」 (2024年6月公布)の付帯決議で、「事業譲渡又は合併を行うに当たって会社等が留意すべき
事項に関する指針」について必要な見直しを行うこと、企業組織の再編に伴う労働者保護に関する諸問題の
実態を把握し、必要に応じ立法上の措置を講ずること、とされたことによる。25年度には組織再編を経験した
スタートアップ企業についての調査報告や労使関係団体、有識者等のヒアリング、海外を含む実態把握を行い、
26年度にそれらを踏まえ、企業組織の再編に伴う労働者保護に関する諸問題について議論する予定。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_55474.html
▽「事業性融資の推進等に関する法律」の成立について
https://www.mhlw.go.jp/content/11201250/001275126.pdf
●4月からの主な制度変更/厚労省
厚生労働省は4月からの主な制度変更についてHPで広報している。雇用・労働関係では、子の出生後の
一定期間内に両親がともに14日以上の育児休業を取得した場合に、既存の育児休業給付と合わせて休業開始前
の手取り10割相当を支給する「出生後休業支援給付金」や、子が2歳未満の期間に時短勤務を選択した場合に、
時短勤務時の賃金の10%を支給する「育児時短就業給付金」の創設、自己都合離職者の失業給付の制限期間の
2カ月から1カ月への短縮、高年齢雇用継続給付の給付率の15%から10%への引き下げ、雇用保険料率の改定
(労働者負担:5.5/1,000、事業主負担:9/1,000、全体で14.5/1,000)など。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_51380.html
●「職業情報提供サイト(job tag)」等のリニューアル/厚労省
厚生労働省は、職業情報提供サイト(job tag)及び職場情報総合サイト(しょくばらぼ)をリニューアル
した。job tagは、500を超える職業についての職業情報を「見える化」し、求職者等の就職活動や企業の
採用活動、人材育成等を支援するウェブサイトで、サイト機能を紹介する使い方動画を追加し、各職業の
賃金情報を拡充。しょくばらぼは、企業の職場情報を求職者、学生等に総合的・横断的に提供するサイトで、
掲載対象企業の拡大や提供項目を追加した。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_54345.html
▽職業情報提供サイト(job tag)
https://shigoto.mhlw.go.jp/User/
▽職場情報総合サイト(しょくばらぼ)
https://shokuba.mhlw.go.jp/
●「働き方改革の実現に向けた効率的な建設工事の促進事業」のモデル事業の事例集を作成/国交省
国土交通省は24日、「働き方改革の実現に向けた効率的な建設工事の促進事業」のモデル事業の成果を
まとめた事例集を公表した。建設業では罰則付き時間外労働上限規制が2024年4月に適用され、一層の効率化
と生産性向上が急務となるなかで、建設現場では効率的な工事が必ずしも実施されていないとして、効率的な
工事実施に向けた課題の実践的解決のためにモデル事業を実施し、その成果を取りまとめたもの。また、事例集
の普及を図るため、モデル事業実施動画及びパンフレットを作成した。
https://www.mlit.go.jp/report/press/tochi_fudousan_kensetsugyo13_hh_000001_00282.html
▽詳細(事例集、広報動画等)
https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/const/tochi_fudousan_kensetsugyo_const_fr1_000001_00074.html
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【統計】
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●新卒者の採用内定状況、「採用計画数に達していない」が最多/労働経済動向調査
厚生労働省は25日、「労働経済動向調査(2025年2月)」結果を公表した。2月1日現在の労働者の過不足
判断DI(不足-過剰)は、正社員等がプラス48ポイント、パートタイム労働者が同30ポイントで、引き続き
「不足」超過。産業別にみると、正社員等は「学術研究、専門・技術サービス業」「建設業」「医療、福祉」
「運輸業、郵便業」などで人手不足感が高くなっている(概況p.5)。
2025年新卒者の採用内定状況について、いずれの学歴も「採用計画数に達していない」とする事業所の割合が
最も多くなった。また、企業規模が比較的小さい事業所において「達していない」事業所割合が高い傾向となった(同p.13)。
調査は、主要産業の30人以上規模の民営事業所3,059事業所(有効回答2,996事業所)からの回答による。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/keizai/2502/
▽報道発表資料
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/keizai/2502/dl/6siryo.pdf
▽概況
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/keizai/2502/dl/7roudoukeizaidouko.pdf
●海外現地法人の売上高3.3%減、4期連続のマイナス/経産省調査
経済産業省は26日、2024年10~12月の「海外現地法人四半期調査」の結果を公表した。売上高(全地域合計)は、
前年同期比3.3%減で4期連続のマイナス。特に輸送機械(5.9%減)が減少した。化学(4.6%増)、はん用等機械
(1.2%増)、電機機械(0.4%増)はいずれも増加。地域別では、中国(9.7%減)や北米(3.3%減)などで減少(概要p.5)。
従業員数(全地域)は403.8万人。中国やASEAN10の輸送機械などの減少により、同2.8%減少で9期連続のマイナス(同p.8)。
https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/genntihou/result-1.html
▽調査結果の概要(ダウンロード)
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/file-download?statInfId=000040263366&fileKind=2
●1月の基調判断は「下げ止まりを示している」で据え置き/景気動向指数の改訂状況
内閣府は26日、1月の「景気動向指数・速報からの改訂状況」を公表した。
景気の現状を示す「一致指数」は前月差0.1ポイント上昇の116.1(速報値116.2)で、2カ月連続の上昇。
基調判断は、「景気動向指数(CI一致指数)は、下げ止まりを示している」で、前月から据え置き。
https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/di/202501rsummary.pdf
▽統計表
https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/di/di.html
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【労使】
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●「企業におけるグローバルタレントマネジメントに関する事例集」を掲載/経団連
経団連は18日、「企業におけるグローバルタレントマネジメントに関する事例集」をホームページに掲載した。
グローバルレベルでの賃金・等級・報酬制度の共通化、グローバルレベルでの配置転換、グローバル経営人材
の育成(サクセッションプラン)、グローバルタレントマップによる人材の見える化、デジタル技術を活用した
人事システム(ソフトウェア)の共通化――など、自社の課題を踏まえながら、段階的に優先順位を定め、
取組を強化・推進している4社の事例を紹介している。
https://www.keidanren.or.jp/policy/2025/018.html
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【企業】
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●空港地上業務にカスハラ指針 組織的に対処―グランドハンドリング協会
空港で航空機の誘導や旅客案内などの地上業務を手掛ける事業者が主に加盟する「空港グランドハンドリング
協会」は27日、顧客による迷惑行為「カスタマーハラスメント(カスハラ)」への対策指針を策定したと発表
した。カスハラと判断した場合、要求には応ぜず対応を中止し、組織的に対処する。
指針は同協会による実態調査を踏まえて策定。顧客らからの暴言や容姿に対する侮辱発言、写真や動画の
無断撮影といった行為をカスハラと定義した上で、判断の目安や状況に応じた対応のポイントなどを明記、
実用的な内容となっている。
同協会の服部茂代表理事は「カスハラの対応力向上と従業員の心理的安全性を高める一助にしてほしい」と
話した。航空業界では昨年、全日本空輸と日本航空が共同でカスハラへの対応方針を策定している。
(時事通信)2025年3月27日 ※リンク先なし
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【海外】
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●国別労働トピック/JILPT
<フランス>
▽失業率の「低下」と求職者数の「増加」
国立統計経済研究所(INSEE)の発表によると、2024年第4四半期の失業率は、前期比0.1ポイント低下し、
7.3%となった。同期はオリンピック後の経済の低迷が顕在化するなか、各社から事業所閉鎖の方針発表が相次ぎ、
失業率の悪化が見込まれたが、その見方を覆す結果だった。ただ、INSEEによるILO基準の「失業率」とは別に、
フランス・トラバイユ(公共職業安定機関)の発表する「求職者数」は増加しており、失業率とは異なる傾向を
示している。また、INSEEやフランス銀行の将来予測では、2025年から2026年にかけて失業率が7.5~8%に上昇
する恐れがある。そのため今回INSEEによって発表された失業率の低下は、経済情勢の好転を示すものではなく、
慎重に受け止めるべきであるとの見方が多い。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2025/03/france_01.html
<韓国>
▽韓国の2024年の1人当たり国民総所得が世界6位に―前年の世帯平均所得は6.3%の大幅増
韓国銀行は3月5日、「国民所得統計」を発表した。それによると、2024年の1人当たり国民総所得(暫定値)は
前年比1.2%増の3万6,624ドルと、世界6位の水準となった。また、韓国統計庁の「2024年家計金融福祉調査」
によると、2023年の世帯平均所得は前年比6.3%増と大きく増加するなど、韓国の所得の好調さを統計が裏付けている。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2025/03/korea_02.html
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【法令】
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●労働関係法令一覧(2025年2月公布分)
https://www.jil.go.jp/kokunai/mm/hourei/202502.html