韓国の2024年の1人当たり国民総所得が世界6位に
 ―前年の世帯平均所得は6.3%の大幅増

カテゴリー:労働条件・就業環境統計

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  • 国別労働トピック:2025年3月

韓国銀行は3月5日、「国民所得統計」を発表した。それによると、2024年の1人当たり国民総所得(GNI、暫定値)は前年比1.2%増の3万6,624ドルと、世界6位の水準となった。また、韓国統計庁の「2024年家計金融福祉調査」によると、2023年の世帯平均所得は前年比6.3%増と大きく増加するなど、韓国の所得の好調さを統計が裏付けている。

1人当たり国民総所得は3万6,624ドルで2年連続の増加

2024年の1人当たりGNIは2年連続で増加の3万6,624ドルで、人口5,000万人以上の国の中で、アメリカ、ドイツ、イギリス、フランス、イタリアに次いで6番目の水準となった。2014年に3万798ドルと初めて3万ドル台に乗り、その後も着実に増加を続け、2021年には3万7,898ドルを記録した。2022年は急激なウォンの下落の影響で3万5,000ドル台となったが、2023年以降は回復し、3万6,000ドル台で推移している(図1)。

図1:韓国1人当たりGNIと増加率(2021~2024年)
画像:図1

出所:韓国銀行資料より作成

前年はウォン安・ドル高が進んだため、ドル基準では為替の影響が大きく出たが、名目国内総生産(GDP)の成長が寄与し、増加が続いた。GNIはウォン基準では4,995万5,000ウォンで、前年比5.7%増加した。

2024年のGDPは2,549兆1,000億ウォンで、前年比6.2%増加、ドル基準では1兆8,689億ドルで、同1.6%増加した。

韓国銀行は、「1人当たりGNIは、台湾と日本を上回る水準になっている。為替の状況にもよるが、数年以内に4万ドルを達成するだろう」とコメントしている。

2023年の平均世帯所得は6.3%増、2011年以降で最大の増加

韓国統計庁が2024年12月9日に発表した「2024年家計金融福祉調査」によると、2023年の全世帯の平均所得は7,185万ウォンで、前年(6,762万ウォン)から6.3%増加した。増加幅は、2011年の統計開始以来、最も大きかった。また、可処分所得は5,864万ウォンで、前年比7.0%増加した。

所得を項目別にみると、「勤労所得」「事業所得」「財産所得」はいずれも増加し、特に「財産所得」の増加幅が大きかった。

世帯所得の中で最も割合が高い「勤労所得」は4,637万ウォン(前年比5.6%増)で、全体の64.5%を占める。「事業所得」は1,272万ウォン(同5.5%増)で17.7%だった。「財産所得」は559万ウォンで、前年比28.1%増と大幅に増加した。年金や保険などの「公的譲渡所得」は613万ウォン(同1.9%減)だった(図2)。

図2:世帯所得の項目別割合 (単位:%)
画像:図2

出所:韓国統計庁(2024)より作成

年齢層別に明暗、40代以降は増加するも30代では減少

所得を世帯主の年齢層別にみると、40代が最も多く9,083万ウォン、次いで50代が8,891万ウォン、30代が7,199万ウォン、29歳以下が4,720万ウォンとなっている(図3)。

前年比の増加率をみると、中高年層で増加が目立つ。60歳以上が10.0%と高く、次いで40代(8.2%)、50代(5.8%)が続く。一方で30代は0.6%減少した。30代と29歳以下をあわせた「39歳以下」でみると、1.1%増にとどまり、2015年(1.0%増)以来の低い水準となった。この増加幅は、2023年の物価上昇率(3.6%)の3分の1以下だった。年齢層別に明暗が分かれる状況となっている。

図3:年齢層別にみた世帯所得の状況(2022、2023年)(単位:万ウォン)
画像:図3

資料出所:韓国統計庁(2024)より作成

世帯主の従業上の地位別にみると、正社員世帯の世帯収入は9,144万ウォンで、うち「勤労所得」は7,842万ウォンだった。自営業者世帯の世帯収入は7,769万ウォンで、うち「事業所得」は4,680万ウォンとなっている。

所得分配指標をみると、所得格差を示すジニ係数は0.323で、前年比でわずかに改善している。相対的貧困率は14.9%で、前年と変わっていない。

参考資料

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