■□――【メールマガジン労働情報/No.1985】
6月の実質賃金、前年同月比1.1%増で27カ月ぶりのプラス/毎勤統計速報 ほか
―2024年8月7日発行――――――――――――――□■
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本号の主な内容
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【行政】過労死防止大綱の改定、閣議決定/政府 ほか
【統計】6月の実質賃金、前年同月比1.1%増で27カ月ぶりのプラス/毎勤統計速報 ほか
【労使】「対話と学び合い」と「たたかう労働組合のバージョンアップ」の発展で要求実現をはかる/全労連定期大会 ほか
【企業】奨学金代理返還制度の導入/綜合警備保障(ALSOK) ほか
【イベント】講座「転機・危機を支えるキャリアコンサルタントとして活躍しよう!」/日本女性学習財団
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【JILPTからのお知らせ】
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◇「最近の統計調査結果から」(2024年7月)
官公庁から最近発表された労働統計等をご紹介しています。
https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/saikin/2024/202407.html
https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/saikin/2024/documents/202407.pdf
★2024年度・第72回「東京労働大学講座専門講座」(9月開講、通学・会場開催)受講者募集中!
<人事管理・労働経済コース> 9月3日(火)~11月26日(火)(15講義日)
<労働法コース> 9月6日(金)~11月28日(木)(15講義日)
会場 :ビジョンセンター赤坂(永田町)/東京都千代田区
講義時間:午後6時30分~8時10分(100分)
受講料 :1コースにつき45,000円(税込)
https://www.jil.go.jp/kouza/senmon/index.html
★労働政策フォーラム(オンライン開催)申込受付中!
「ICTの発展と労働時間政策の課題─『つながらない権利』を手がかりに─」
第1部(研究報告) 8月30日(金)~9月5日(木) *オンデマンド配信
第2部(パネル討論)9月5日(木)14時30分~17時00分 *ライブ配信
https://www.jil.go.jp/event/ro_forum/20240905/index.html
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【行政】
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●過労死防止大綱の改定、閣議決定/政府
政府は2日、「過労死等の防止のための対策に関する大綱」の改訂版を閣議決定した。大綱は、社会経済情勢の
変化等を踏まえ、3年ごとに改定される。変更のポイントは、2024年4月に全面適用された時間外労働の上限
規制の遵守徹底、過労死等を繰り返し発生させた企業に対する再発防止の指導強化(改善計画の策定等)、
フリーランス等の対策強化、など。過労死ゼロを目指し、週労働時間、勤務間インターバル制度、年次有給休暇
およびメンタルヘルス対策等について数値目標を設定し(概要p.9)、公務員についても、各職種の勤務実態に
応じた実効ある取組を推進するとしている。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_41932.html
▽概要
https://www.mhlw.go.jp/content/11201000/001282630.pdf
●労働基準関係法制の研究会を開催、労働時間制度など議論/厚労省
厚生労働省は7月31日、第10回労働基準関係法制研究会を開催した。議題は「労働時間、休憩、
休日及び年次有給休暇について」。課題として、最長労働時間規制、労働からの解放の規制、割増
賃金規制をあげ、最長労働時間規制では管理監督者等の適用除外やみなし労働時間制との関係、
テレワーク等の柔軟な働き方に適切な労働時間制度の検討も必要ではないかとした。議論の際、
諸外国の法制度等の参考として、JILPTの研究成果が多数活用された。同研究会は、「新しい時代の
働き方に関する研究会」報告書と働き方改革推進法の施行状況を踏まえた労働基準関係法制の
法的論点の整理等を目的として、2024年1月から検討を重ねている。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_41937.html
(活用されたJILPT研究成果)
▽労働政策研究報告書No.219『諸外国における雇用型テレワークに関する法制度等の調査研究』
https://www.jil.go.jp/institute/reports/2022/0219.html
▽労働政策研究報告書 No.209『第四次産業革命と労働法政策―“労働4.0”をめぐるドイツ法の
動向からみた日本法の課題』
https://www.jil.go.jp/institute/reports/2021/0209.html
▽資料シリーズNo.248『諸外国の労働時間法制とホワイトカラ―労働者への適用に関する調査
―アメリカ、ドイツ、フランス、イギリス―』
https://www.jil.go.jp/institute/siryo/2022/248.html
▽資料シリーズNo.283『諸外国の労働時間法制とホワイトカラー労働者への適用に関する調査
―カナダ、アイルランド、EU指令、韓国―』
https://www.jil.go.jp/institute/siryo/2024/283.html
▽資料シリーズNo.282『諸外国における勤務間インターバル制度等の導入および運用状況に関する調査
―フランス、ドイツ、イギリス、アメリカ―』
https://www.jil.go.jp/institute/siryo/2024/282.html
●民間主要企業春季賃上げ率5.33%/厚労省集計
厚生労働省は2日、2024年「民間主要企業春季賃上げ要求・妥結状況」を公表した。
平均妥結額は1万7,415円で、前年(1万1,245円)比6,170円の増、コロナ禍前の2019年(6,790円)と比べ
1万625円の増加。賃上げ率5.33%で、前年(3.60%)比1.73ポイント増、2019年(2.18%)と比べ3.15ポイント
の増。賃上げ額、賃上げ率はともに前年、2019年を大きく上回った。集計対象は資本金10億円以上かつ従業員
1,000人以上の労働組合のある企業348社。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_41871.html
●2023年の賃金不払に対する監督指導結果/厚労省
厚生労働省は2日、2023年(1月~12月)に賃金不払が疑われる事業場に対する労働基準監督署の監督指導の
結果を公表した。賃金不払事案の件数は2万1,349件、対象労働者数18万1,903人、金額101億9,353万円。
そのうち監督署の指導により使用者が賃金を支払い、解決されたのは、2万845件(97.6%)、17万4,809人
(96.1%)、92億7,506万円(91.0%)。業種別の監督指導状況は、件数では最多が商業の4,407件(21%)で、
次いで製造業の4,174件(19%)、保健衛生業3,261件(15%)。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_41907.html
▽別紙・監督指導結果等
https://www.mhlw.go.jp/content/11202000/001283001.pdf
●「ろうきょうオンラインセミナー」開催/厚労省
厚生労働省は9月から2025年2月にかけて、「ろうきょうオンラインセミナー」全6回を開催する。
労働者協同組合(ろうきょう)は、労働者が組合員として出資し、その意見を反映して、自ら従事する
法人制度で、22年の法人制度開始後、成年後見支援、高齢者介護など様々な事業が行われ、多様な事業分野で
新しい働き方を実現している。セミナーでは、労働者協同組合の活用法から、労働者協同組合の設立手順、
設立後の実務等を解説。事例紹介を通じ、各団体の取組内容や組織運営で工夫している点等を伝える。
参加費無料、要事前申込。現在は、9月28日(土)の第1回セミナーの参加者を募集中。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_41649.html
●つばめ交通不当労働行為再審査事件で初審命令を維持/中労委
中央労働委員会は7月20日までに、組合員の同僚への暴言に対する懲戒処分や会社に無断で組合チラシ等を
貼付した行為への懲戒処分など、会社が4回の懲戒処分を行ったこと等が不当労働行為であるとして
救済申立てがあった事件の再審査事件において、いずれの処分等も会社に不当労働行為意思や組合弱体化の
企図があったとは認められず不当労働行為には当たらないとして、初審命令を維持し再審査申立てを棄却した。
https://www.mhlw.go.jp/churoi/futouroudou/dl/r060723-1.pdf
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【統計】
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●6月の実質賃金、前年同月比1.1%増で27カ月ぶりのプラス/毎勤統計速報
厚生労働省は6日、6月の「毎月勤労統計調査」結果(速報、事業所規模5人以上)を公表した。
現金給与総額指数を消費者物価指数で割った実質賃金は、前年同月比1.1%増(5月は同マイナス1.3%)で、
27カ月ぶりにプラスとなった。現金給与総額は、就業形態計で前年同月比4.5%増の49万8,884円、うち
一般労働者が同4.9%増の66万4,455円、パートタイム労働者が同5.7%増の12万1,669円。
きまって支給する給与は同2.3%増、特別に支払われた給与は同7.6%増(いずれも就業形態計)。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r06/2406p/dl/pdf2406p.pdf
▽統計表等
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r06/2406p/2406p.html
●勤労者世帯の実収入、前年同月比実質3.1%増で2カ月連続の増加/家計調査報告
総務省は6日、6月の「家計調査報告」を公表した。二人以上世帯の1世帯当たりの消費支出は28万888円、
実質で前年同月比1.4%減少。前月比(季調値)は0.1%の増加。支出項目別でのマイナス寄与は、
住居(マイナス1.91%)、光熱・水道(同0.52%)、交通・通信(同0.51%)など。プラス寄与は、
家具・家事用品(0.99%)、食料(0.46%)など。
勤労者世帯の実収入は、1世帯当たり95万7,457円(前年同月比で実質3.1%増)で2カ月連続の実質増加。
https://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/tsuki/index.html
▽報道発表資料
https://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/tsuki/pdf/fies_mr.pdf
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【労使】
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●「対話と学び合い」と「たたかう労働組合のバージョンアップ」の発展で要求実現をはかる/全労連定期大会
全労連(小畑雅子議長、68万3,000人)は7月25日から3日間、都内でオンライン併用の定期大会を開き、
今後2年間の運動方針を決めた。方針は、(1)賃上げ・労働時間短縮、最低賃金、社会的な賃金闘争、
労働基準法の骨抜きを許さない(2)「公共の再生」で持続可能な地域循環型の経済・社会の確立、
新自由主義経済の転換をせまる(3)平和と憲法を守る、憲法をいかす政治への転換をはかる――の
3つの要求の柱を提起。その実現に向けて、「対話と学び合い」と「たたかう労働組合のバージョンアップ」
のさらなる発展などを打ち出している。役員改選では、小畑議長が退任。新議長に秋山正臣副議長が就任した。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/kokunai/topics/mm/20240807.html
●2024年大手企業賃上げは平均1万9,210円、5.58%/経団連調査
経団連は5日、2024年春季労使交渉・大手企業業種別妥結結果(加重平均)の最終集計を公表した。
従業員数500人以上の主要22業種244社を対象に実施、回答が示されたのは22業種186社。うち平均金額が
不明等の51社を除く135社の総平均(加重平均)は1万9,210円(5.58%)。昨年の1万3,362円(3.99%)を
額で5,848円、率で1.59ポイント上回った。業種別では、製造業1万9,636円(5.79%)、非製造業1万7,969円(5.01%)。
https://www.keidanren.or.jp/policy/2024/056.pdf
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【企業】
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●奨学金代理返還制度の導入/綜合警備保障(ALSOK)
綜合警備保障(ALSOK)は7月31日、入社5年目までの若手社員を対象とした「奨学金代理返還制度」を
10月より導入すると発表した。貸与奨学金を返還する社員を対象に、期間は最長5年間、月額最大1.8万円、
5年間で最大108万円を代理返還する。新卒社員に限らず、通年採用社員や一定条件を満たす既存社員も対象。
同社の未来を担う人財である若手社員支援を目的として制度を導入するとしている。
https://www.alsok.co.jp/company/news/news_details.htm?cat=2&id2=1322
●早期退職、700名を募集/住友ファーマ
住友ファーマは7月31日、厳しい経営業績が続いていることを踏まえ、抜本的な事業構造改革の一環として
早期退職者募集を実施すると発表した。対象者は40歳以上かつ勤続5年以上の社員で、募集人員は約700名。
通常の退職金のほか退職特別加算金を支給。希望者には再就職支援を行う。退職日は2024年11月30日。
https://www.sumitomo-pharma.co.jp/news/assets/pdf/ne20240731.2.pdf
●希望退職制度を実施/田辺三菱製薬
田辺三菱製薬は7月29日、希望退職制度を実施すると発表した。対象者は45歳以上かつ勤続5年以上の
従業員。募集人数は特に定めていない。退職日は2024年12月31日。通常の退職金に割増退職金を加算支給し、
希望者には再就職支援サービスを提供する。同社は、グローバル市場で成長する企業をめざし、「成長戦略
実行に必要なケイパビリティを持つ人員」の配置、「専門性の高い人材、多様な人材が活躍できる組織」の
実現に向けた人材ポートフォリオの見直しを加速させるため、同制度の実施を決定したとしている。
https://www.mt-pharma.co.jp/news/assets/pdf/MTPC240729.pdf
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【イベント】
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●講座「転機・危機を支えるキャリアコンサルタントとして活躍しよう!」/日本女性学習財団
日本女性学習財団は8月24日(土)、「転機・危機を支えるキャリアコンサルタントとして活躍しよう!
~世界的潮流「社会正義」から、強みと自信と未来をみつける~」をオンラインで開催する。
キャリア支援に必要な「社会的正義」の講義とセルフワークでキャリア支援者の強みと自信につなげる。
参加費1,000円。定員30名、先着順。
https://jawe240824.peatix.com/