メールマガジン労働情報 No.1986

■□――【メールマガジン労働情報/No.1986】

国家公務員の初任給を大幅引き上げ、約30年ぶりの高水準/人事院勧告 ほか

―2024年8月9日発行――――――――――――――□■

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  本号の主な内容
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【行政】国家公務員の初任給を大幅引き上げ、約30年ぶりの高水準/人事院勧告 ほか
【統計】7月の街角景況感、2カ月連続の上昇/景気ウォッチャー調査 ほか
【労使】夏季賞与・一時金の妥結状況を発表/経団連
【企業】定年後の新たな継続雇用、週3日勤務や転籍制度を導入/大東建託 ほか
【海外】搾取的なゼロ時間契約の禁止など―新政権の法制度改革プラン/イギリス ほか
【イベント】大会開催/日本キャリアデザイン学会 ほか

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【JILPTからのお知らせ】
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☆「メールマガジン労働情報」は8月14日(水)と16日(金)の配信をお休みします。
 次の配信は8月21日(水)です。

★2024年度・第72回「東京労働大学講座専門講座」(9月開講、通学・会場開催)受講者募集中!
<人事管理・労働経済コース> 9月3日(火)~11月26日(火)(15講義日)
<労働法コース> 9月6日(金)~11月28日(木)(15講義日)
会場  :ビジョンセンター赤坂(永田町)/東京都千代田区
講義時間:午後6時30分~8時10分(100分)
受講料 :1コースにつき45,000円(税込)
https://www.jil.go.jp/kouza/senmon/index.html

★労働政策フォーラム(オンライン開催)申込受付中!
「ICTの発展と労働時間政策の課題─『つながらない権利』を手がかりに─」
第1部(研究報告) 8月30日(金)~9月5日(木) *オンデマンド配信
第2部(パネル討論)9月5日(木)14時30分~17時00分  *ライブ配信
https://www.jil.go.jp/event/ro_forum/20240905/index.html

◇「最近の統計調査結果から」(2024年7月)

官公庁から最近発表された労働統計等をご紹介しています。
https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/saikin/2024/202407.html
https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/saikin/2024/documents/202407.pdf

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【行政】
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●国家公務員の初任給を大幅引き上げ、約30年ぶりの高水準/人事院勧告

人事院は8日、2024年度の国家公務員の勤務時間と給与の改定について、国会及び内閣に勧告を行った。
月例給では平均2.76%、1万1,183円増の約30年ぶり高水準ベースアップ。採用市場での競争力向上のため、
初任給を、高卒:12.8%・18万8,000円、大卒一般職:12.1%・22万円、大卒総合職:14.6%・23万円と
大幅に引き上げる。賞与は、年間4.6か月(0.1か月増)。このほか、通勤手当等の支給限度額を月15万円に
引き上げ、新幹線通勤等の要件を緩和。配偶者手当の廃止と子に係る手当の増額などを盛り込んだ。
https://www.jinji.go.jp/seisaku/kankoku/archive/r6/r6_top.html

●「デフレ脱却への歩みは着実に進んでいる」/経済財政白書

内閣府は2日、「2024年度の年次経済財政報告(経済財政白書)」を公表した。
現下の経済情勢の詳細レビューと、物価・賃金動向についての様々な指標に基づく広範な分析を行い、
「デフレ脱却に向けた歩みは着実に進んでいる」と指摘。人手不足に対する省力化投資の効果や課題、
企業と職種をまたいだ円滑な労働移動など、経済全体としての生産性が向上するための課題等について
分析。更に、家計部門に蓄積された金融資産、住宅資産、高齢者が培ってきた知識・経験といった
有形・無形のストックをいかに有効に活かし、豊かさを感じられる経済につなげていけるか議論している。
https://www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je24/index_pdf.html
▽説明資料
https://www5.cao.go.jp/keizai3/2024/0802wp-keizai/setsumei00.pdf

●高齢社会対策大綱の改定に向け、報告書をとりまとめ/内閣府

内閣府は5日、「高齢社会対策大綱の策定のための検討会」報告書を公表した。同大綱は、政府が推進する
高齢社会対策の指針として定めるもので、おおむね5年を目途に見直すこととされている。
報告書の第2部「生涯を通じて活躍できる環境の整備」の「企業等における就労の促進」(p.6~)では、
年齢ではなく経験やスキルに基づいて職員を配置し、仕事内容や働きぶりに合わせた賃金体系等、
アウトプットに基づく評価や処遇の仕組みを整えることが必要、などと指摘。「就労に関する制度整備や
取組強化」(p.7~)では、在職老齢年金制度について、「高齢期の人の就労意欲への影響も指摘されており、
就労促進等の観点からの見直しの検討が必要」などと記している。
https://www8.cao.go.jp/kourei/taikou-kentoukai/index.html
▽報告書
https://www8.cao.go.jp/kourei/taikou-kentoukai/pdf/houkoku_r06.pdf

●「AIで変わる労働市場」を特集、職業・タスクの補完と代替を分析/内閣府

内閣府は今般、報告書「世界経済の潮流 2024年I」を公表した。「AIで変わる労働市場」を特集。
AIが持つ人のタスクを「代替」する機能と「補完」する機能の視点から、各職業への影響を確認し、
労働者の属性(教育水準、性別、年齢)に応じてAIによる職業の補完や代替の度合いの違いを分析。
各国におけるAI活用に向けたリスキリングの取組みや、AIに代替されない能力を身に付けるために
必要な教育についても整理・紹介している。
https://www5.cao.go.jp/j-j/sekai_chouryuu/sh24-01/sh24.html
(活用されたJILPTの研究成果)
▽資料シリーズ No.101
『職業分類の改訂記録―厚生労働省編職業分類の2011年改訂―』
https://www.jil.go.jp/institute/siryo/2012/101.html

●価格交渉フォローアップ調査結果の企業リストを公表/中企庁

中小企業庁は2日、「価格交渉促進月間(2024年3月)フォローアップ調査結果2(企業リスト)」を
公表した。企業リストは、フォローアップ調査において、10社以上の回答者(受注側中小企業)から
「主要な取引先」として挙げられた発注側企業290社について、受注側中小企業からの価格交渉や価格転嫁の
回答状況を点数化し、4区分にランク付けしたもの。同庁は「企業リストの公表を通じて、発注側企業に
おいて、より一層の自発的な取引慣行の改善がなされることを目的とするもの」としている。
https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/torihiki/follow-up/dl/202403/result_02.pdf
▽各回調査の結果
https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/torihiki/follow-up/index.html

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【統計】
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●7月の街角景況感、2カ月連続の上昇/景気ウォッチャー調査

内閣府は8日、全国の商店主やタクシー運転手などに街角の景況感をたずねた2024年7月の「景気ウォッチャー
調査」結果を公表した。3カ月前と比較した景気の現状判断DI(季調値)は、前月差0.5ポイント上昇の47.5
で、2カ月連続の上昇。雇用関連DIは同0.9ポイントの上昇、家計動向関連、企業動向関連も上昇。
先行き判断DI(同)は、前月差0.4ポイント上昇の48.3。今回の結果について、「景気は、緩やかな回復基調
が続いているものの、このところ弱さがみられる。先行きについては、価格上昇の影響等を懸念しつつも、
緩やかな回復が続くとみている」としている。
https://www5.cao.go.jp/keizai3/2024/0808watcher/menu.html

●6月の基調判断は「下げ止まりを示している」で据え置き/景気動向指数速報

内閣府は7日、2024年6月の「景気動向指数(速報)」を公表した。景気の現状を示す「一致指数」は113.7
で、前月と比較して3.4ポイント低下し、4カ月ぶりの低下。マイナスに寄与したのは「生産指数(鉱工業)」
「鉱工業用生産財出荷指数」「商業販売額(卸売業)」「耐久消費財出荷指数」など。プラス寄与は
「 商業販売額(小売業)」「輸出数量指数」など。一致指数の基調判断は「下げ止まりを示している」で、前月から据え置き。
https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/di/di.html
▽概要
https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/di/202406psummary.pdf

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【労使】
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●夏季賞与・一時金の妥結状況を発表/経団連

経団連は7日、2024年夏季賞与・一時金の大手企業業種別妥結結果(加重平均)の最終集計を発表した。
妥結額平均は94万1,595円で、前年比4.23%増。業種別平均は、製造業98万6,369円(同3.55%増)、
非製造業83万6,150円(同7.57%増)。従業員500人以上の主要22業種大手244社を対象に、
平均額が分かる156社について集計している。
https://www.keidanren.or.jp/policy/2024/057.pdf

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【企業】
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●定年後の新たな継続雇用、週3日勤務や転籍制度を導入/大東建託

大東建託は5日、定年を迎えた従業員の柔軟な働き方を支援するため、9月1日より、全職種を対象に
定年後の継続雇用制度を改定し、週休3日の「短縮勤務制度」と、介護・看護・保育・障がい事業を
展開するグループ会社への「転籍制度」を導入すると発表した。同社は60歳定年制で、勤務継続には
週5日のフルタイム勤務のみの「定年延長」と「再雇用」の2種類の雇用形態があるが、今回「再雇用」
の従業員を対象に、短縮勤務と転籍制度を導入し、定年後の多様な働き方を可能とするとしている。
https://www.kentaku.co.jp/corporate/pr/info/2024/release_retire_240805.html

●早期希望退職者の募集を実施/協和キリン

協和キリンは1日、早期希望退職者の募集を行うと発表した。対象者は、研究本部、生産本部などの
一部組織の30歳以上かつ勤続3年以上の経営職・一般職・再雇用社員。募集人員は特に定めていない。
退職日は2024年12月31日。通常の退職金に割増退職金を加算し、希望者には再就職支援を行う。
同社は、重点領域の取組みを強固とするため、グローバルでの研究体制への移行を進めていくとし、
自社における業務の大幅な縮小や関連プロジェクトの中止等を計画している。
https://www.kyowakirin.co.jp/pressroom/news_releases/2024/pdf/20240801_01.pdf

●大ガス、社内副業を解禁=「イカスキル」、キャリア形成支援

大阪ガスが、社内で他部署との兼業を認める「社内副業」を解禁することが7日、明らかになった。
社員のキャリア形成支援強化の一環で、早ければ今秋にも導入する。社内インターンシップ制度も導入し、
社員の持つ能力を最大限活用したい考えだ。社内副業制度は、「生かす」と「スキル」を組み合わせた
「イカスキル」と命名。特定の能力や経験が必要とされる業務について、該当する資格などを持っていれば
他部署でも兼業に応募できるようにする。10月以降に開始する。(時事通信)2024年8月7日
https://www.jil.go.jp/kokunai/mm/kiji/20240809.html

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【海外】
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●国別労働トピック/JILPT

<イギリス>
▽搾取的なゼロ時間契約の禁止など―新政権の法制度改革プラン

7月に成立した労働党政権は、労働者の権利保護の強化に向けた法制度の改革プラン「働く人々のための
ニューディール」を打ち出しており、搾取的なゼロ時間契約の禁止や、就業初日からの各種の権利付与、
生活費を考慮した最低賃金など、多岐にわたる内容の実施に意欲を示している。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2024/08/uk_01.html

▽外国人季節労働者の受け入れ制度を延長

政府は5月、現在臨時の制度として実施している外国人季節農業労働者の受け入れについて、2029年まで
延長する方針を示した。従来からの人手不足に加え、EU離脱やコロナ禍などで域内からの農業労働者が減少
していることもあり、EU域外の新たな送り出し国からの受け入れが拡大しているが、受け入れをめぐっては、
搾取的な状況も指摘されている。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2024/08/uk_02.html

▽大卒外国人の滞在延長制度をめぐる議論

大学等の留学生に対して、卒業後に一定期間の滞在延長を認める制度について、諮問機関が報告書を公表した。
政府が外国人の流入削減策の一環として、同制度の利用状況や影響について検証を求めていたものだが、
報告書は、概ね目的に適った実施状況であるとして現行制度の維持を提言するとともに、留学生の募集段階での
改善や、データ整備・共有を通じた監視強化などを求めている。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2024/08/uk_03.html

<OECD>
▽気候変動対策「ネットゼロ」が労働市場に与える影響を分析―OECD雇用見通し2024

経済協力開発機構(OECD)は7月9日、「OECD雇用見通し2024:ネットゼロへの移行と労働市場
(The Net-Zero Transition and the Labour Market)」と題する報告書を発表した。それによると、OECD諸国の
労働市場はここ数年、力強さを取り戻し、インフレが沈静化し経済成長が鈍化する中でも、多くの国で
歴史的に高い雇用水準と低い失業率を記録している。また今年の報告書では、温室効果ガスの排出量ゼロを
めざす「ネットゼロ」政策が、世界の労働市場に与える影響についても分析。縮小が見込まれる高排出部門
から円滑に労働移動できるよう、政策支援が必要だと指摘した。(JILPT調査部)
https://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2024/08/oecd_01.html

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【イベント】
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●大会開催/日本キャリアデザイン学会

日本キャリアデザイン学会は8月31日(土)、9月1日(日)、第20回大会を千代田区で開催する。
同学会は設立20周年の節目を迎える。今回の大会テーマは「キャリアデザインの潮流:
10年間を振り返り、今後を展望する」で、この10年間のキャリアの変遷について理解を深める。
参加費は非会員8,000円。要事前申込、申込期限8月27日(火)まで。大会当日の参加受付は行わない。
https://career-design.org/conference/nationwidetokyo0/

●テレワークセミナー/東京テレワーク推進センター

東京テレワーク推進センターは8月27日(火)にセミナー「テレワーク標準時代の会議マネジメント術」を
オンライン及び会場(文京区)で開催する。「量と質を改善する会議術」についてデータを元に具体的に
解説する。参加無料、要事前申込。定員はオンライン100名、会場先着20名。
https://tokyo-telework.metro.tokyo.lg.jp/seminarevent