労働政策研究報告書 No.155
東日本大震災と職業能力開発施設
―被災対応から復旧・復興までの記録―
(JILPT東日本大震災記録プロジェクト取りまとめ No.2)

平成25年3月21日

概要

研究の目的

東日本大震災(以下「大震災」という。)の被災地域を中心にポリテクセンター等の職業能力開発施設(以下、「センター」という。)の被災の状況と被災対応及び現在までに行った被災後の復旧・復興への取り組みについて記録すること。

研究の方法

ヒアリング調査及びアンケート調査

主な事実発見

被災地域の9つのセンターでは、大震災発生時に計1,000人以上の人々が活動していた。地震や津波による建物や施設設備の被害は大きかったが、人的被害は防ぎ通した。 人的被害を抑え、職業訓練の早期再開を実現させた主な要因は、センターが実践的な職業技能・技術を指導する場であり、人的、物的資源が備わっていたことである。大震災が発生した当時、センターで職業訓練を受講中であった者(当時の訓練生)と、企業等で働いておりセンターの訓練生でなかった者では被災による困難や負担の内容に違いがあり、当時の訓練生の方が情報を的確に得て落ち着いて行動していた様子がある。当時の訓練生は具体的な被災対応がものづくりの専門的技術・技能によって処理されることを目の当たりにし、合理的な集団行動の指導を受けて避難していたことが反映していると思われる。また、大震災前に決まっていた就職について内定取消等はほとんどなく、センターの就職率は大震災後2ヶ月ほどで例年並みに回復した。

図表

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政策的インプリケーション

  1. ものづくりの技能が社会の安全・安心の確保に重要かつ不可欠。
  2. センターが離職者訓練として瓦礫処理のための建設重機の操作訓練や除染特別教育を実施することは、地域の早期復興と失業者の再就職促進の効果があると期待される。
  3. 原発関係被災者については賠償金の効果を考慮しつつ再就職意欲の喚起方策を早急にたてる必要があること。

政策への貢献

離職者訓練を通じた大震災後の被災地の復旧・復興の方策を示唆。

本文

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研究の区分

プロジェクト研究「非正規労働者施策等戦略的労働・雇用政策のあり方に関する調査研究」

 サブテーマ「東日本大震災からの復旧・復興と雇用・労働に関するJILPT調査研究プロジェクト(震災記録プロジェクト)」

研究期間

平成24年度

執筆担当者

奥津 眞里
労働政策研究・研修機構特任研究員
古俣 誠司
労働政策研究・研修機構臨時研究協力員

関連の研究成果

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