若者のキャリア形成と就職:韓国
若者のキャリアと就職
—アジアでは—

韓国の場合

韓国は日本をしのぐ学歴社会と言われ、大学進学率も近年急上昇し、現在(2004年)80%を超えている。普通高校に限らず実業高校の卒業生も大学を目指す者が急増しており、その進学率は60%を超えている。こうした進学率の上昇に伴い増加する高学歴者は、就職の際厳しい現実に直面することとなる。

教育及び人的資源開発部の調査(全国大学363校及び大学院139校の学生を対象)によれば、2005年及び2006年に卒業した学生のうち、正社員などの正規労働者として就職した者は大学卒業生のうち半数以下(49.2%)であった。修士号取得者、博士号取得者についてもともに約63%となっている。

このように、大卒と言えども正社員として就職できる者は約半数という現実にある。希望する安定的な就職先を確保できなかった者は引き続き就職活動を続けることとなる。企業側も学卒採用を重視しているものの、採用は定期採用よりは随時採用が一般的であるため就職活動を常に行うことができるが、競争はかなり厳しい。民間のあるリクルート情報企業の調査(2006年4月)では、2005年の大学新卒者の約4割が現在も仕事を探しているという結果であった。高学歴者が望む「高い給与のホワイトカラー」の就職はますます難しくなっている。大卒者同士が限られたホワイトカラー職を目指し激しい競争をしている状況にある。民間部門の就職状況が厳しいこともあり、大学生など若年者の公務員希望者が急増している。市役所なのど職員募集はいずれも高倍率で、自治体の募集には150倍を超える応募があり話題となった。

一方、韓国の社会問題となっている「格差」、「二極化」問題は高学歴者間でも起こっており、近年大卒者がその学歴に相応しい仕事に就くことができず、低賃金やパートタイマーとして働く者が増加している。

年々増加する大卒人材について、経営者側からは「大卒者のうち企業が求める知識や技術を身に付けている者は少ない。」と冷ややかな声も出ている。大学入学者の急増に対し受け入れる大学側の「教育の質」が追いついていないと指摘する向きもみられる。

こうした供給過多の大卒者の採用に際し、企業側はどういう点を見て、「優秀な」人材を選んでいるのだろうか。IT先進国ならではの韓国で最近企業の人事担当が使っている面白い方法があるので紹介する。

採用にあたって応募者のブログをチェック

韓国は世界でも有数のインターネット先進国で、ネット利用者は人口の70%を超えている。ブログもオンライン文化の中で重要な部分を占めており、個人がブログを持つことは一般的となっている。オンライン求職サイト運営企業の「キャリア」が、243の韓国企業の採用担当に行った調査によれば、3割以上の企業が応募者の能力評価の一環として、このブログをはじめ応募者自身が作成したウェブサイトを見ているということであった。業種では当然IT関連企業の方が応募者のウェブサイトへの関心を示している。また、大企業より中小企業の方がブログに強い関心を示している。ブログ内容を見ることで「履歴書に書かれた資格などの記載よりも、自分達が採用しようする人物の人となりを理解し、能力を評価するのに有効な手段となり得る」というものである。

2006年12月 フォーカス: 若者のキャリア形成と就職

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