「登録見習い制度」の利用拡大に向け、実施要件を緩和
 ―連邦労働省

カテゴリー:人材育成・職業能力開発

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  • 国別労働トピック:2026年4月

連邦労働省は3月9日、事業主などが行うOJTとOff-JTを組み合わせた職業訓練に助成金を提供する「登録見習い制度(Registered Apprenticeships)」の利用拡大に向けたガイダンス(以下「新ガイダンス」)を発表した。見習いに要する最低期間の要件などを緩和している。トランプ政権は同制度の強化をはかる方針を掲げており、2025年4月23日には、制度の拡大と柔軟化を目的とする大統領令を発令。2026年2月13日には関連組織等に対して、総額1億4,500万ドルの資金を提供すると発表している。

「登録見習い制度」とは

「登録見習い制度」は、事業主や事業主団体、労働組合などが共同でOJTとOff-JTを組み合わせて実施する職業訓練に対して、連邦政府や州政府の機関が登録し、WIOA(労働力革新・機会法)に基づく資金を投入して支援する仕組みである。訓練生は16歳以上を対象とし、訓練期間中は賃金を支給する。

訓練方式は「時間方式」「能力(コンピテンシー)方式」「(時間と能力を組み合わせた)ハイブリッド方式」の3つのタイプを設けている。訓練期間は原則として最低2,000時間(時間方式の場合)または12カ月間(能力方式の場合)とし、うち144時間は座学の訓練とすることを推奨している。修了者には連邦・州政府機関により、全米で適用される修了証明書を授与する(注1)

トランプ大統領による拡大方針

トランプ政権は「米国を再び熟練労働者の国に(Make America Skilled Again、MASA)」の方針を掲げ、その政策のひとつとして、「登録見習い制度の強化」をあげている(注2)

トランプ大統領は2025年4月23日、「将来の高収入・熟練技能職に向けた米国人の育成」と題する大統領令を発令(注3)。この中で、労働長官らに対して、「高成長・新興分野」を中心に、新規登録見習者数を100万人以上にするための計画策定を求めた。新ガイダンスは、こうした計画を具体化するものだ。なお、2026年3月18日現在、全米で約70万人が登録見習い制度に参加している(注4)

新ガイダンスの主な内容

新ガイダンス(注5)では、プログラムの実施者(事業主等)が、実施主体に合った見習い制度をより柔軟に設計、実施できるようにした。例えば、「能力方式」は最低12カ月間としていた訓練期間の要件を撤廃。能力の程度や技能の習熟度に応じて、訓練期間を自由に設定しやすくした。「時間方式」及び「ハイブリッド方式」の訓練期間は、これまで「2,000時間の25%の範囲で増減可能」としていたが、登録機関による承認を条件に、「25%」という制限をなくした。

また、新規の見習いプログラムの実施について、事務局への申請から登録まで30日間との期限を設け、手続きの迅速化をはかることとした。

なお、連邦労働省は2月13日、1億4,500万ドルの資金を登録見習い制度の関連組織等に提供すると発表した(注6)。4年間に最大5件のプログラムに資金提供する。1件あたりの助成額は1,000~4,000万ドルになる見込み。対象とする産業として、「造船・防衛」「人工知能(AI)」「半導体」「原子力エネルギー」「情報技術」「ヘルスケア」「運輸」「情報通信」をあげ、これらの分野における見習い制度の拡大をめざしている。

参考資料

  • 厚生労働省(日本)「2024年海外情勢報告(アメリカ合衆国)」
  • ブルームバーグ通信、ホワイトハウス、連邦労働省、各ウェブサイト

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