サプライチェーンにおける労働搾取排除に向けた「評価ツール」を公開
 ―連邦労働省

カテゴリー:労働条件・就業環境

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  • 国別労働トピック:2026年4月

連邦労働省は4月8日、企業のサプライチェーン(供給網)における労働者の搾取を防ぐための4種類の「自己評価ツール」を公開した。世界各国の重大なビジネスにおける労働違反関連のリスクの情報を提供するモバイルアプリや、労働搾取に関与するリスクがある輸入品をまとめて調べられるダッシュボード(さまざまなデータをわかりやすい形で整理して提示できる仕組み)、製品別のリスクを可視化したポータルサイト、などを設けた。同省はこれらのツールを提供することで、「米国企業のサプライチェーンを強化し、ブランドを保護し、海外での労働虐待による不公正競争から米国労働者を守る」としている。

4種類のツールを提供

連邦労働省が4月8日発表したサプライチェーンにおける労働者の搾取を防ぐための「評価ツール」は、「LaborShield」「ImportWatch」「SourcingStrong」「Supply Chain Traceability Portal」の4種類である(注1)図表1参照)。

図表1:サプライチェーンにおけるの労働者搾取を排除するための「評価ツール」
評価ツール名 種類 主な内容
LaborShield新しいウィンドウ モバイルアプリ 145カ国以上の重大な労働違反に関する情報を提供。
ImportWatch新しいウィンドウ ダッシュボード 連邦労働省や国勢調査局などのデータを統合し、米国の輸入業者にとってリスクの高い商品の警告リストを作成。
SourcingStrong新しいウィンドウ ポータルサイト サプライチェーン管理に役立つサプライヤー評価や法的チェックなどの実務的な指針を提供。
Supply Chain Traceability Portal新しいウィンドウ ポータルサイト 製品別の搾取リスクを可視化し、サプライチェーンにおける潜在的なリスクを特定。

出所:連邦労働省

LaborShield」は、145か国以上における重大な労働違反に関する情報を提供するモバイルアプリである。各国ごとに、①強制労働や児童労働で生産された製品がないか、②強制労働に対抗するための法律やその執行力があるか、③人権侵害が特定された場合の緩和策、などを調べられる。これにより、企業がサプライチェーンにおいて問題が発生する可能性のある場所を正確に把握し、「労働搾取リスク」への関与を事前に防止することに役立てる。

ImportWatch」では、①連邦労働省作成の「児童労働及び強制労働による生産品リスト」及び「強制または年季奉公の児童労働による生産品リスト」と②それらに含まれる商品、製品の米国際貿易委員会(ITC)による関税率表(HTS)、③国勢調査局による米国の輸入品データ、などの統計類を組み合わせて集計・整理することにより、「労働搾取リスク」の高い品目の警告(Red-flag)リストを作成できる。国や品目ごとに、リスクが生じた年や労働搾取の形態、該当する品目の米国への輸入額などを表示する機能がある。

SourcingStrong」は、サプライチェーン管理に役立つサプライヤー評価や法的チェックなどの実務的な指針を掲載するポータルサイトである。企業が強制労働排除に向けたデューデリジェンス(注意義務)システムを構築するために、①ステークホルダーとの関わり、②リスクと影響の評価、③行動規範の作成、④サプライチェーン全体のコミュニケーションと研修、⑤監視・苦情処理、⑥違反の是正、⑦独立審査・第三者による検証、⑧公開報告、に関する情報を提供している。

Supply Chain Traceability Portal」は、製品別の搾取リスクを地図上で可視化し、サプラチェーンにおける潜在的なリスクを特定できるポータルサイトである。例えば、「リチウムイオン電池」「パーム油製品」「太陽光製品」「アルミニウム製品」「カカオ製品」などについて、強制労働、児童労働に関する個別の情報をまとめて掲載している。

サプライチェーンにおける「搾取リスク」排除を支援

提供を始めた4種類の評価ツールについて、連邦労働省は「米国企業のサプライチェーンを強化し、ブランドを保護し、海外での労働虐待による不公正競争から米国労働者を守る」としている。

また、チャベスデリマー労働長官(当時)は、これらのツールについて「米国企業が(労働搾取の)リスクを特定して排除し、グローバルなサプライチェーンを強化するとともに、より優位な立場で国際経済に参加していくために必要な重要な資源を提供するものだ」と説明している。

参考資料

  • 日本貿易振興機構、連邦労働省、各ウェブサイト

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