2025年の「大規模労働争議」は30件
 ―労働統計局集計

カテゴリー:労使関係労働条件・就業環境統計

アメリカの記事一覧

  • 国別労働トピック:2026年3月

米労働統計局(BLS)が2月20日に発表した2025年の大規模労働争議(1,000人以上が参加する大規模なストライキ等)は30件で、前年の31件とほぼ同水準だった。大規模労働争議の参加者数は約30万6,800人で、前年より3万5,300人増加した。労働損失日数は約199万1,200日で、前年の336万4,100日から減少している。

過去20年間の平均は約18件

BLS集計の「大規模労働争議」は、労働組合によるストライキのほか、経営側のロックアウトに伴う作業停止を含む。また、作業停止を行った人数が1,000人以上規模の争議を「大規模労働争議」と定義している。

BLSによると、米国では2025年に大規模労働争議が30件発生した(図表1(注1)。1950年代や70年代は400件を超えたこともあったが、1980年代半ば以降は100件を下回っている。過去20年間(2006~25年)の年間平均件数は17.8件となっている。

図表1:大規模労働争議の発生件数と参加人数の推移(1947-2025年)
(単位:左軸=件、右軸=千人)
画像:図表1

出所:連邦労働省労働統計局ウェブサイトより作成

2025年における大規模労働争議の参加者数は約30万6,800人で、前年より3万5,300人増加した。2018年以降は、2020年からのコロナ禍による落ち込みを除くと、それ以前(2000~2010年代半ば)に比べて高い水準となっている。

2025年の大規模労働争議参加者を業種別に見ると、「サービス業」が約30万600人と大半を占めた。このうち「教育・医療サービス部門」が約19万6,500人、「公共行政部門」が約8万2,300人、「その他サービス部門」が約2万1,800人となっている。

主な大規模争議

2025年に発生した主な大規模争議としては、①ロサンゼルス郡(約5万人参加、国際サービス従業員労組=SEIUが組織、3日間、2025年4月)、②カリフォルニア大学・カリフォルニア大学健康システム(約4万人参加、全米州都市労働組合=AFSCMEが組織、2日間、2025年11月)など、自治体や大学での争議が目立つ。

①ロサンゼルス郡の争議は、郡当局とSEIU721支部との間の労働協約改定交渉が難航し、また、この間に組合員監視などの不当労働行為が行われたとして、2025年4月28~30日の3日間にわたってストライキが行われた。ストには郡のソーシャルワーカーや公衆衛生・メンタルヘルスケア専門家、公園・レクリエーションスタッフらが参加した。その後、郡当局とSEIU721支部は暫定合意に達し、新たな労働協約において、(1)承認時に5,000ドルのボーナス支給、(2)協約2年目の2026年10月に2%の生活費調整(COLA)適用と2,000ドルのボーナス支給、(3)協約3年目の2027年10月に5%のCOLA適用、を盛り込んだ(注2)

②カリフォルニア大学・カリフォルニア大学健康システムの争議では、同大学の10キャンパスおよび5つの医療センターにおいて、1年間にわたり労働協約が結べない状態になっていた。新たな協約締結について交渉する中で、AFSCME3299支部は住宅価格の高騰やインフレを背景にした賃金の引き上げや人手不足の解消、職場環境の改善などを求めてストライキを実施。組合側は経営側の不誠実な交渉姿勢も批判した。ストライキには患者ケアアシスタント、病院技術者、食品サービス従業員らが参加した。ストライキは予定していた日数で終えたものの、その後も労使交渉が続いている。

「労働損失日数」は約200万日

2025年の労働損失日数は約199万1,200日で、前年の336万4,100日から減少した(図表2)。

図表2:労働損失日数の推移(1947-2025年) (単位:千日)
画像:図表2

出所:連邦労働省労働統計局ウェブサイトより作成

2025年1月1日以降に始まった労働争議のうち、とくに労働損失日数が多かったのは、③ボーイング社(約3,200人参加、国際機械工・航空宇宙労組=IAMが組織、2025年8~11月、23万400日)、④ニューヨーク州矯正・コミュニティ監督局(約1万4,300人参加、ニューヨーク州矯正官および警察官慈善協会=NYSCOPBA /New York State Correctional Officers and Police Benevolent Associationが組織(違法スト)、2025年2~3月、21万4,500日)、⑤オレゴン州プロビデンス病院(約5,000人参加、オレゴン看護師協会=ONA/Oregon Nurses Associationが組織、2025年1~2月、15万5,000日)などである。

③はボーイング社防衛部門のセントルイス工場(ミズーリ州)などでの労働協約改定交渉をめぐり、ストライキに至った案件である。ストは2005年8月4日に始まり、11月13日まで続いたが、今後5年間の労働協約期間において、平均賃金を24%引き上げることや、協約締結に伴う一時金として6,000ドルを支給することなどで合意している。

④はニューヨーク州の刑務官が危険な労働環境の改善、人手不足の解消、賃金の引き上げなどを求めたもので、州内各地の刑務所でストライキが発生した。ニューヨーク州の刑務官には争議権が認められていない。刑務官らを組織するNYSCOPBAもストの実行を認めない中で、組合員がストライキを強行し、違法ストとなった。州知事は州兵を動員して、ストライキ中の職員に代わって警備などの業務に対応した。その後、州当局とNYSCOPBAは労働条件の改善等で暫定合意。これにより多くの刑務官は職場復帰したが、現地報道によると、復帰を拒んだ刑務官ら2,000人以上が解雇されている。その他、違法ストを行った者には、減給などの処分が下されたとみられる。

⑤はオレゴン州のプロビデンス・ヘルス&システムズ傘下の8病院において、看護師らが労働条件の改善などを求めてストライキに至ったものである。看護師らを組織するONAによると、スト後の交渉の結果、新たな労働協約期間中に20~42%の賃上げ(承認時に16~22%の賃上げ)を行うことや、看護師の負荷軽減・患者ケア向上のための人員配置、2病院の看護師に対する2,500ドルのボーナス支給、休憩や食事をとらなかった者にその代償として1時間分の賃金を与えること、などで合意している(注3)

小規模を含む争議は約300件

米コーネル大学産業・労使関係研究所(ILR)では、BLS統計の集計対象外となっている1,000人未満規模の労働争議の状況を把握するため、インターネットやSNS、ニュース記事、各種データベースなどの情報を収集・確認・分析し、小規模を含む争議の件数をとりまとめている。

ILRがこのほど発表した集計結果(注4)によると、2025年の労働争議(作業停止)の発生件数は303件(ストライキ298件、ロックアウト5件)で、前年の359件(ストライキ356件、ロックアウト3件)から56件減少している。

また、2025年の争議参加人員は約29万人で、前年の約29万3,500人からほぼ横ばいだった。ストライキの総日数は約415万日で、前年の約533万日から118万日程度減っている。

業種別に見ると、ストライキの件数が最も多かったのは「宿泊・飲食サービス業」で19.5%を占めた。一方、参加者数は「ヘルスケア・社会支援」が40.3%にのぼり、「公共行政」が29.6%で続いている。

参考資料

  • オレゴン看護師協会、経済政策研究所(EPI)、コーネル大学産業・労使関係研究所、ブルームバーグ通信、ロサンゼルス郡、ロイター通信、連邦労働省、各ウェブサイト

参考レート

2026年3月 アメリカの記事一覧

関連情報