男女賃金格差が06年の統計開始以来、最大の改善

カテゴリー:労働条件・就業環境

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  • 国別労働トピック:2025年5月

2024年の男女間の賃金格差(未調整)は16%で、2006年の統計開始以来、最も小さい水準となった。ただし、職種や勤務時間、保有資格などの要因を考慮した「調整後」の賃金格差は6%で、前年と変わらなかった。連邦統計局は、この結果について、依然として男女間に賃金格差が存在していると指摘している。

主な改善要因は女性の月収増加

連邦統計局(Destatis)は毎年、男女の賃金格差に関する数値を公表している。これは、賃金格差の「見える化」を通じて、労働市場における男女平等の実現を目指す取り組みの一環である。2024年における女性の平均時給は22.24ユーロで、男性の26.34ユーロに比べて4.1ユーロ(16%)低かった。前年と比較すると、調整前の賃金格差は2ポイント縮小し、2006年の統計開始以来、最も大きな改善が見られた(図表1)。

図表1:ドイツの男女賃金格差の推移(2006年、2014~2024年)
画像:図表1

出所:Destatisをもとに作成

この格差の縮小は主に、女性の月収(特別手当を除く)の増加によるものである。2024年における女性の月収は、前年の平均2,633ユーロから2,851ユーロへと約8%増加した。一方、男性の月収は3,873ユーロから4,078ユーロへと、約5%の緩やかな増加にとどまった。

資格・職歴を同一にした調整後の格差は6%のまま

他方、同等の資格・職業経験・雇用歴を有する女性は前年と変わらず、依然として男性よりも1時間あたり平均6%低い賃金しか得ていない。

未調整の男女間の賃金格差のうち、推計モデルで使用されている特性によって賃金格差の約63%が説明可能であり、時給換算では差額4.10ユーロのうち2.58ユーロに相当する。具体的には、女性が男性よりも賃金の低い職業や産業に従事している傾向や、女性の方がパートタイム勤務の比率が高いといった雇用形態の違いがその要因として挙げられる。

一方、残る37%(4.10ユーロのうち1.52ユーロ)の賃金格差は、推計モデルで使用されている特性では説明ができない。この「説明できない差異」が、調整後の男女賃金格差である6%に相当する。すなわち、仕事内容、資格、職歴が同等であるにもかかわらず、「説明できない差異」によって、2024年の女性の時給は、男性より平均6%低かったことになる。

なお、妊娠・出産・家族介護などによる雇用の中断といった、賃金に影響を及ぼしうる追加要因を分析に組み込んだ場合、この格差はさらに縮小する可能性がある。そのため、連邦統計局は、調整後の男女賃金格差を、女性に対する賃金差別の「上限」として理解すべきであると結論づけている。

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