フィリピンの家事管理士100人が家庭へ派遣
 ―ソウル市政府の試験事業

カテゴリー:外国人労働者労働法・働くルール

韓国の記事一覧

  • 国別労働トピック:2024年9月

ソウル市と雇用労働部の試験事業に参加しているフィリピンの家事管理士100人が9月3日、ソウル市内の各家庭に派遣された。「外国人家事管理士試験事業」によるもので、家庭への派遣は今回が初めて。100人の年齢は24~38歳で、フィリピン政府が認定する家事代行の資格を取得している。8月7日に韓国入りし、1カ月にわたり子どもの世話や家事、韓国語、安全管理など160時間の研修を受けた。派遣期間は2025年2月までの6カ月を予定する。

ソウル市内700以上の家庭から派遣申し込み

ソウル市によると、今回の家事管理士派遣の対象は、12歳以下の子どもがいるソウル市内に在住する世帯。700を超える家庭から申し込みがあり、157世帯が選定され、最終的に142世帯に決定した。派遣先の内訳は、「共稼ぎ家庭」115世帯(81%)、「妊婦のいる家庭」12世帯(8.5%)、「子どもの多い家庭」11世帯(7.7%)、「母子・父子家庭」4世帯(2.8%)だった。ソウル市の担当者は、フィリピンの家事管理士が現場で支障なく業務を遂行できるよう支援するとしている。

超少子化対応で家事育児サービス需要が一層高まる

韓国は現在、非熟練外国人労働者に関して、送り出し国の政府と協定を結び、「雇用許可制(注1)」に基づく在留資格を付与し、公的管理のもとで働き手を受け入れている。

韓国では世界でも類を見ないほどの「超少子化」が進行しており、仕事と家庭の両立や女性のキャリア断絶防止のため、家事・育児サービスの需要が一段と高まっている。一方で、実際の家事・育児サービス従事者は、50歳以上が9割を超えるなど高齢化が進み、人数も減少が続いている(注2)

このため政府は、家庭内での家事・育児サービスの提供を、新たに雇用許可制(在留資格「非専門就業(E-9)」)の対象職種として容認することを検討しており、この試験事業の結果によって導入可否を決定するとしている。

政府認定機関を通して家事・育児サービスを通勤にて提供

事業は、政府の認定を受けたサービス提供機関が家事労働者(家事管理士)を雇用し、その機関と利用契約を締結した家庭に外国人労働者が通勤して家事・育児サービスを提供する方式。家事・育児サービスとは、「家事労働者法」に規定される、家庭内で生じる清掃、洗濯、台所仕事及び世帯構成員の保護・養育等の国民生活の維持及び管理に必要な業務を指す。ただし、世帯構成員の保護・養育については、満12歳以下の児童を対象とした育児関連サービスとしている。

ソウル市のガイドラインによると、今回の事業における家事管理士の業務範囲は育児と育児関連の家事などを基本とし、6時間以上サービスを利用する場合に限り、子どもの安全が確保される範囲内で簡単な掃除や親などの衣類の洗濯も可能だという。

今回、家事管理士には、最低賃金(2024年度は時給9,860ウォン)や雇用保険、健康保険などが適用される。このため、実際にサービスを利用できるのは裕福な家庭に限られるとの指摘もある。

なお、家事代行サービスを行う従業者にふさわしい名称について、昨年、「家事サービス総合支援センター(韓国家事労働者協会、全国雇用サービス協会)」が中心となり現場インタビューや調査を行っており、10,623人のうち4割以上(42.5%)が「家事管理士(管理人)」と回答した。雇用労働部はこの名称を使用するよう、国民に呼びかけている。

参考資料

参考レート

2024年9月 韓国の記事一覧

関連情報

GET Adobe Acrobat Reader新しいウィンドウ PDF形式のファイルをご覧になるためにはAdobe Acrobat Readerが必要です。バナーのリンク先から最新版をダウンロードしてご利用ください(無償)。