労働者の受け入れに向けてインドとのMOUに署名

カテゴリー:外国人労働者労働法・働くルール

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  • 国別労働トピック:2024年5月

台湾とインドは労働協力関係を強化するため長年にわたる協議を行い、2024年2月16日にオンラインでインドからの外国人労働者を受け入るための覚書(MOU)に署名した。両者は今後、MOUに基づく手続きに従って文書の交換を完了し、速やかに作業レベルの会議を開催する予定。受け入れ業種や外国人労働者の人数、雇用資格、募集方法などについて詳細な議論が行われる。

深刻な労働力不足

台湾では、少子高齢化の影響により、労働年齢人口、基幹労働力が急激に減少している。製造業、建設業、農業などの産業では労働力不足が深刻化しており、高齢者や障害者のケア需要も増加しているため、外国人労働者に対する需要が年々増加している。

現在、台湾で働く外国人労働者は主にベトナム、インドネシア、フィリピン、タイの4カ国から来ている。2024年4月末時点で、外国人労働者の総数は76万8,360人で、そのうちインドネシア人が28万1,368人と最も多く、次いでベトナム人が26万5,843人、フィリピン人が15万1,679人、タイ人が6万9,468人であった(他にマレーシア人が2人)。雇用主団体は長期にわたり、これら4カ国に依存するリスクを台湾当局に訴え、積極的に新興国から外国人労働者を受け入れる必要があると主張している。

台湾の労働部労働力発展署によると、インド人の海外就労者数はすでに1,800万人に達している。インド人労働者は質が安定しており、勤勉で評価も高いため、各国が積極的に採用を拡大しているという。

MOUの主な内容

MOUは駐インド台北経済文化センター(TECC)とインド台北協会(ITA)との間で締結された。MOUには全部で13項目があり、第2条で「受け入れる業種と人数」をTECCが自主的に決定することを明示している。また、外国人労働者の労働条件については、第3条で、外国人労働者が台湾滞在中に享受する権利を規定。労働条件、社会保険、医療、健康、衛生、賃金等において、台湾人労働者と同等の待遇を受けるとしている。

台湾の外国人労働者支援団体からは、台湾に来る外国人労働者が長期にわたって仲介業者によって搾取されているという批判が上がっている。この問題に対処するため、今回のMOUでは「外国人労働者の保護と雇用手続きの簡略化」(第5条)を初めて条文に明記した。そして、両者は仲介会社を通さない「直接雇用計画」(第8条)を推進し、対象とする職業の内容や、「直接雇用計画」のためのプロセス(具体的な窓口や選考メカニズム等)を決定することでも合意している。

外国人労働者(不法就労者)に関する収容、送還費等の問題については、第10条において、インド側(ITA)が支払いを促進することを明記している。

MOUの実施面に関しては、第11条において、双方の主管機関が「合同作業グループ」を組織し、人手不足の職種、業種、求められる技能、関連法規などを討議し、あらゆる困難な問題を解決することを規定している。毎年少なくとも1回の会議を開催することも定めた。

今回のMOUの有効期間は、署名日から有効で、期間は5年間。両者の合意により5年間延長することが可能となっている。

参考文献

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