低賃金労働者の割合が減少
―最低賃金の引上げが影響
2月8日発表の連邦統計局資料によると、2023年4月の時点で、雇用労働者の6人に1人(16.3%)が、低賃金で働いていた。前回(22年4月)の19.1%から2.8ポイント減少したが、この要因について統計局は、22年1月から10月にかけて最低賃金時給が9.82ユーロから12ユーロへ上昇した影響を指摘している。
宿泊・飲食サービス業労働者の半数は低賃金
低賃金労働者とは、雇用労働者全体の賃金中央値の3分の2未満の賃金で働く者を指し、操業短縮手当(KUG(注1))のみを受け取る労働者は含まない。2023年4月の時点で640万人が低賃金で働いていたが、前回(22年4月)の750万人から110万人減少し、全労働者に占める割合も19%から16%に低下した。
産業ごとの低賃金労働者の割合は、図表1の通りである。「宿泊・飲食サービス業」では、労働者の半数以上の50.7%が低賃金で働いており、「農林水産業(42.6%)」、「芸術・娯楽・レクリエーション(36.0%)」でも4割前後の労働者が低賃金であった。逆に、低賃金労働者の割合が少ないのは、「公務・防衛・社会保障事業(4.2%)、「金融・保険業(6.4%)」、「上下水道、廃棄物処理(7.2%)」となっていた。
図表1:低賃金労働者の割合(産業別) 2022年、2023年
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出所:Destatis(2024).
女性労働者の19%が低賃金
男女別に見ると、女性のほぼ5人に1人(19%)が低賃金で働く一方で、男性は7人に1人(13%)のみで、男女差が見られた。なお、前回(2022年4月)との比較では、低賃金で働く女性の割合が4ポイント減少(23%から19%)した一方で、男性は3ポイント減(16%から13%)にとどまった。
低賃金労働者の4人に1人が最低賃金で働く
2023年4月時点で、法定最低賃金時給の12ユーロで働いていた労働者は240万人で、雇用労働者全体の6.2%であった。低賃金労働者のうち、4人に1人(26.6%)は最低賃金で働いていた。他方、フルタイム労働者のうち最低賃金時給で働く人の同割合はわずか1.4%だった。
このほか同時期に、法定最低賃金を下回る金額で働いていた者は100万人(2.6%)であったが、これが最低賃金義務違反によるものか、インターンシップなど最低賃金適用除外の雇用関係によるものかの区別はされていない。
注
- 操業短縮手当(Kurzarbeitergeld, KUG)とは、景気後退等により、報酬の支払い停止を伴う顕著な休業(時間単位のものを含む。以下同じ)があり、その旨が連邦雇用エージェンシーへ事前に届け出られていた場合に、当該休業を余儀なくされた労働者について、当該休業により減少した賃金の一部を助成する制度。2020年のコロナ禍による操業短縮に関しては特例制度が設けられた。(本文へ)
参考資料
参考レート
- 1ユーロ(EUR)=163.45円(2024年4月1日現在 みずほ銀行ウェブサイト)
2024年4月 ドイツの記事一覧
- 「AIスタジオ」開設 ―職場のAI活用への労働者関与支援、連邦労働社会省など
- 指導的地位にある女性の比率 ―監査役35.5%、取締役10.3%
- 低賃金労働者の割合が減少 ―最低賃金の引上げが影響
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