2023年の最賃時給9620ウォン、5.0%の引き上げ

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  • 国別労働トピック:2022年8月

最低賃金委員会の議決に基づき、雇用労働部長官は8月5日、2023年の最低賃金額を決定した。金額は、時給9,620ウォン、現行比で5.0%の引き上げ(460ウォン増)となる。以下で主な内容を紹介する。

時給単位月額換算、全業種同一最低賃金額に決定

韓国では、雇用労働部長官の要請によって、最低賃金委員会が最低賃金額を審議・議決し、8月5日までに雇用労働部長官が告示する。今年、最低賃金委員会は、23年度の最低賃金決定までに8回の全体会議を開催した。

第3回の全体会議(6月9日開催)では、最低賃金額の単位について議論し、昨年と同様に、時給で決定し、月額を併記する(月209時間労働基準)ことを評決なしに決定した。
最低賃金の業種別区分適用の可否についても、第3回、第4回(6月19日開催)で議論した結果、昨年と同様に全業種で同一の最低賃金を適用することを決定した。

公益委員会単一案を可決

最低賃金委員会は、第5回(6月21日開催)以降に、具体的な最低賃金額について議論した(図表1)。

図表1:2023年度韓国最低賃金案 (ウォン、%)
区分 2022年度
最低賃金額
2023年最低賃金提示案 2023年度
最低賃金額
当初案 第1回修正案 第2回修正案 第3回修正案
労働者側 9,160 10,890 10,340 10,090 10,080 9620
(5.0%)
(18.9%) (12.9%) (10.1%) (10.0%)
使用者側 9,160 9,260 9,310 9,330
(0.0%) (1.1%) (1.6%) (1.86%)

注:()内は現行比引き上げ率

出所:韓国最低賃金委員会報道資料(2022年6月30日付)をもとに作成

第5回全体会議(6月21日)では、労使とも最低賃金案を提示しなかった。

第6回会議(6月23日)では、労使双方が「当初案」を発表した。労働者側は、時給10,890ウォン(現行比18.9%増)を要求し、使用者側は、現行凍結の9,160ウォンを要求した。

第7回(6月28日)では、労使双方が「第1回修正案」を提出した。労働者側は、10,340ウォン(同12.9%増)を要求し、使用者側は、9,260ウォン(同1.1%増)を要求した。

第8回(6月29日)では、はじめに労使双方が「第2回修正案」を提出し、労働者側は10,090ウォン(同10.1%増)、使用者側は9,310ウォン(同1.6%増)を要求した。さらに、「第3回修正案」として、労働者側は10,080ウォン(同10%増)、使用者側は9,330(同1.86%増)を要求した。しかしこれ以降、労使の差は縮まらず、修正案は提出されなかった。

そこで最低賃金委員会委員長は、公益委員会に審議促進区間を提示するよう要請し、労使双方に対して、この区間内で修正案を提出するよう要求した。公益委員会が示した審議促進区間は、上限額9,860ウォン(現行比7.6%増)、下限額9,410ウォン(2.7%増)であったが、労使は追加で修正案を提出せず、委員長は、公益委員単一案の提示を要請した。

公益委員会の単一案は、時給9,620ウォン(現行比5.0%、460ウォン増)、月額換算では、201万580ウォン(現行比9万6140ウォン増)であった(注1)。公益委員会単一案の提示後、民主労総(韓国全国民主労働組合総連盟)所属の労働者委員4名は反発して退場した。

これ以降、在籍委員27名のうち、23名の出席で表決にうつり、使用者委員全員(9人)は反発して退場し、公益委員9人と韓国労総(韓国労働組合総連盟)所属の労働者委員5人で議決した。その結果、賛成12名、反対1名、棄権10人で、公益委員単一案が可決された。

労使からの異議申し立ては承認されず

雇用労働部長官は8月5日、最低賃金委員会の議決のとおり2023年の最低賃金額を告示した。なお、過去の最低賃金額の推移は、図表2の通りとなっている。

雇用労働部は7月8日に最低賃金案を告示して以降、7月18日までを異議提起期間としており、この期間中、労働組合(民主労総)、使用者団体(韓国経営者総協会、中小企業中央会、小商工人連合会)から異議申し立てが行われたが、いずれも承認されなかった。

この最低賃金額は、2023年1月1日から1年間適用される。最低賃金案の影響を受ける労働者は、経済活動人口調査によると343万7000人で、影響率は16.4%である。

図表2:最低賃金の推移(2013~2023年) (単位:ウォン、%)
画像:図表2

出所:最低賃金委員会報道資料(2022年6月30日付)

参考図表:最低賃金の推移 (単位:ウォン)
適用年度 時間給
(ウォン)
引き上げ率
(%)
前年比引き上げ額
(ウォン)
2023 9,620 5.0 460
2022 9,160 5.05 440
2021 8,720 1.5 130
2020 8,590 2.87 240
2019 8,350 10.9 820
2018 7,530 16.4 1,060
2017 6,470 7.3 440
2016 6,030 8.1 450
2015 5,580 7.1 370
2014 5,210 7.2 350
2013 4,860 6.1 280
2012 4,580 6.0 260
2011 4,320 5.1 210
2010 4,110 2.75 110
2009 4,000 6.1 230
2008 3,770 8.3 290
2007 3,480 12.3 380
2005. 9. ~ 2006. 12. 3,100 9.2 260
2004. 9. ~ 2005. 8. 2,840 13.1 330
2003. 9. ~ 2004. 8. 2,510 10.3 235
2002. 9. ~ 2003. 8. 2,275 8.3 175
2001. 9. ~ 2002. 8. 2,100 12.6 235
2000. 9. ~ 2001. 8. 1,865 16.6 265
1999. 9. ~ 1900. 8. 1,600 4.9 75
1998. 9. ~ 1999. 8. 1,525 2.7 40
1997. 9. ~ 1998. 8. 1,485 6.1 85
1996. 9. ~ 1997. 8. 1,400 9.8 125
1995. 9. ~ 1996. 8. 1,275 8.97 105
1994. 9. ~ 1995. 8. 1,170 7.8 85
1994. 1. ~1994. 8. 1,085 7.96 80
1993 1,005 8.6 80
1992 925 12.8 105
1991 820 18.8 130
1990 690 15.0 90
1989 600 1グループ29.7
2グループ23.1
1グループ137.5
2グループ112.5
1988 1グループ462.50
2グループ487.50
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出所:最低賃金委員会報道資料(2022年6月30日付)

参考文献

  • 韓国最低賃金委員会ウェブサイト

参考レート

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