労働者の5人に1人が低賃金
―連邦統計局
連邦統計局の分析によると、ドイツでは2021年4月の時点で、雇用労働者の5人に1人(21%)が、低賃金分野に従事していた。
低賃金労働者 ―賃金中央値の3分の2未満
低賃金労働者とは、国の賃金中央値(national median income)の3分の2未満の金額で働く全ての雇用労働者を指し、操業短縮手当(操短手当)(注1)のみを受け取っている労働者は含まない。
現在ドイツでは、約780万人が低賃金分野に従事している。
なお、前回の分析(2018年4月)と比較すると、低賃金分野の従事者数は、25万人減少した。この原因について連邦統計局は、該当する多くの労働者が新型コロナ危機下で働くことができず、操短手当のみを受け取る者が対象者から除外されたためと指摘している。
時給12ユーロへの最賃引上げで低賃金労働者の92%に恩恵
ドイツでは2021年9月28日に総選挙が実施され、12月8日に社会民主党(SPD)と緑の党(Grünen)、自由民主党(FDP)の3党大連立によるショルツ新政権が誕生した。前日の12月7日に成立した3党合意の連立協定によると、今後ショルツ新政権は、法定最賃を時給12ユーロ(2022年1月時点の最賃は時給9.82ユーロ)へ引上げるとしている(注2)。 入手可能な最新の数値に基づくと、12ユーロへの引上げによって、低賃金分野の労働者の720万人(92%)が、引上げの恩恵を受ける。なお、残りの8%には、最低賃金の適用外であるインターン(実習生)や未成年など、最低賃金の引上げが賃金増に直接つながらない層が含まれている。
注
- 操業短縮手当(Kurzarbeitergeld;KUG)とは、景気後退等により、報酬の支払い停止を伴う顕著な休業(時間単位のものを含む。以下同じ)があり、その旨が連邦雇用エージェンシーへ事前に届け出られていた場合に、当該休業を余儀なくされた労働者について、当該休業により減少した賃金の一部を助成する制度。2020年のコロナ禍による操業短縮に関しては特例制度が設けられた。(本文へ)
- ドイツ政権が最低賃金を時給12ユーロに引き上げようとする背景には、最低賃金の水準(手取り)が、国の賃金中央値の48%にすぎなかったという事実がある。EUでは、賃金中央値の60%を下回る賃金は「貧困に対して脆弱な賃金水準である」と判断される。ドイツで中央賃金の60%を満たそうとすると、時給12ユーロまで引き上げる必要がある。(本文へ)
資料出所
- 連邦統計局
(2021年12月)
- 連立協定書「さらなる進化へ ―自由・正義・持続可能性のための連立(Mehr Fortschritt wagen― Bündnis für Freiheit, Gerechtigkeit und Nachhaltigkeit (PDF:1.09MB)
)」 ほか
参考レート
- 1ユーロ(EUR)=135.25円(2022年4月4日現在 みずほ銀行ウェブサイト
)
2022年4月 ドイツの記事一覧
- 政治主導による最賃引上げ法案を閣議決定 ―今年10月から時給12ユーロ
- 2022年の労働分野における主な法改正
- 労働者の5人に1人が低賃金 ―連邦統計局
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