職場の執務スペースでの飲食に関する労働法典規制の一時的解除
 ―企業のコロナ感染防止策

カテゴリー:労働法・働くルール労働条件・就業環境

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  • 国別労働トピック:2021年4月

政府は企業向けのコロナウイルス感染拡大防止策を打ち出し、定期的に更新している。1月末には食事の際の感染リスクを軽減する目的で、食堂等での従業員間の距離をとる措置を義務づけた。この実施にあたって、労働法典に規定されている使用者の義務を果たすことが困難となるため、規制を一部解除した。労働法典では執務スペースとは別に食事のためのスペースを従業員に提供することを使用者に対して義務づけているが、従業員間の距離を確保するために食堂等の定員が半減するため、執務スペースでの飲食を禁止する規制の暫定的解除を決定した。

執務スペースでの飲食不可とする規制

フランス人自身にもあまり知られていないことだが、職場の事務机で昼食をとる行為は法令により禁止されている(注1)(労働法典R4228-19条)。この規制の趣旨は、従業員が就労場所にて食事をとらざるを得ないような職場環境は改善すべきと考えられているからであり、使用者は従業員が食事をとる場所を執務スペースとは別に確保する義務を負っている。従業員規模が50人以上の事業所では、使用者は企業内の社会経済委員会との協議を経て、食堂等の施設を完備しなければならない(同R4228-22条)。50人未満の事業所では、従業員が健康で安全な状態で食事ができる場所を提供しなければならない(同R4228-23条)。これらの条項に使用者が違反した場合には、3750ユーロ以下の罰金が科される可能性がある(同L4741-1条)。再犯の場合は、1年間の懲役あるいは9000ユーロ以下の罰金が科される。

感染防止策の義務づけ

政府は企業に対してコロナウイルス感染防止策をとるよう求めているが、2020年3月から5月にかけて実施された1回目のロックダウンを解除する際に、事業再開する企業に対して感染防止策として求めたプロトコルは次のようなものであった(国別労働トピック:2020年7月「職場でのウイルス感染拡大防止のための実施要領と企業の対応」参照)。

定期的な手洗いの励行、握手やハグの禁止。職場の定期的な(3時間ごとに15分間)換気、定期的な清掃や消毒、特にドアノブや電気のスイッチ、手すりやエレベーターのボタンなどの1日数回の消毒。従業員どうしの間に1メートルの物理的距離、1人当たり少なくとも4平方メートルの確保(ソーシャル・ディスタンスを確保した職場の人的な配置)。一つのワークスペース内で同時に就労する者の数を限るための時差出勤や休憩時間の分散措置。職場への到着から退出までの動線は、扉を開放し、通路を一方通行にするなど、人の滞留やすれ違いによる接触の機会を減らす措置。個室での業務を推奨するが、1箇所で複数の従業員が就労する必要がある場合には、対面での座席配置を避け、従業員間に少なくとも1メートルの距離を確保し可能であれば衝立を設置、といった措置である。

労働法典規制の暫定的な解除

2021年1月末、政府はコロナウイルス感染拡大防止策の一環として、企業向けのプロトコルを更新した(注2)。マスクを着用しない食堂のような空間において、従業員どうしの間に2メートル以上の間隔を確保すること、食堂のテーブルは一つのグループ最大4人とすること、可能な限り頻繁に執務および公共スペースの定期的な換気(1時間に最低数分の換気を推奨)、職場では、ろ過率が90%を超える一般用マスクまたは医療用仕様のマスクを着用する措置が追加、更新された。これによって食堂等の定員が半減することになるため、上記の使用者に義務づけられている食事スペースの確保が困難となる企業を対象として、従業員が就労場所で飲食すること認める時限措置が導入された(2月14日付政令第2021-156号)(注3)

(ウェブサイト最終閲覧:2020年4月22日)

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