派遣・僅少労働者、職業継続訓練への参加は4人に1人のみ

カテゴリー:非正規雇用人材育成・職業能力開発

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  • 国別労働トピック:2013年10月

派遣労働者と僅少労働者(社会保険料負担義務のない月額収入450ユーロ以下の労働者)は2012年、4人に1人しか職業継続訓練(Weiterbildung)に参加していないことが、ドイツ・ベルテルスマン財団の調査報告書でわかった。この数字は典型労働者の半分以下の数字であり、とくに派遣労働者は、40%台であった2006年から大きく値を下げる結果となった。同報告書は、いまや全就業者の約22%を占めるまでになった非典型労働者にキャリア・アップの機会が与えられていないドイツの現状について警鐘を鳴らしている。

参加率、全体では安定的に推移

職業継続訓練に参加した者の割合(表1)は、労働者全体でこれをみると、2006年は57.8%、2012年は58.9%と、かなり安定的に推移している。しかし、就労形態別(2012年)でこれをみると、典型労働者はその約3分の2(64.0%)が過去3年間に職業継続訓練に参加したのに対し、非典型労働者はその半分弱(47.8%)しか参加していなかった。また、非典型労働者の中でも、短時間労働者と有期労働者の参加率はそれぞれ48.5%、48.1%と比較的高かったのに対し、派遣労働者と僅少労働者リンク先を新しいウィンドウでひらくの参加率はそれぞれ27.1%、22.9%と、他の就労形態との間で大きく値を下げてしまっている。

表1:就労形態別にみる職業継続訓練参加率(%)
参加率 全体 典型 非典型 有期 短時間 派遣 僅少
2006 2012 2006 2012 2006 2012 2006 2012 2006 2012 2006 2012 2006 2012
57.8 58.9 62.2 64.0 48.1 47.8 44.1 48.1 48.2 48.5 43.2 27.1 22.8 22.9

出所:BIBB/BAuA-Erwerbstätigenbefragung 2005/06 und 2011/12をもとにベルテルスマン財団が作成。

このような調査結果に対し、ベルテルスマン財団の職業継続訓練制度専門員であるフランク・フリック氏は、「職業継続訓練の場において、非典型労働者は不利な状況に置かれている。その結果、非典型労働者は、自らの職業資格を高める機会が与えられていないだけでなく、典型的な労働関係へステップ・アップする可能性をも奪われている」とコメントしている。さらに同氏は、このような状態が続くと、熟練労働者不足というドイツの今日的状況にも良くない影響を及ぼすだろうとしている。

参加意欲、非典型労働者でむしろ高い傾向

このような職業継続訓練参加率の差異は、キャリア・アップの機会を得られないことに対する非典型労働者の不満として表に現れている(表2)。自らが持つ職業継続訓練への参加と新たな技能修得の可能性に対して不満を持っている者は、派遣労働者と僅少労働者ではそれぞれ42.3%、39.5%と比較的高かったのに対し、典型労働者では24.3%に過ぎなかった(労働者全体では25.2%)。

表2:就労形態別にみる職業訓練参加率とその不満度との関係(%)

図

出所:BIBB/BAuA-Erwerbstätigenbefragung 2011/12をもとにベルテルスマン財団が作成。

この点について、ドイツ労働市場・職業研究所(IAB)研究部門長のルッツ・ベルマン氏は、「職業継続訓練の機会が減れば減るほど、そこに参加できないことに対する不満は高くなる傾向にある。これまで一般に、非典型労働者は職業継続訓練へ参加することに無関心であるといわれてきた。しかし、その言説は今回の調査によって覆された。職業訓練参加率に差異があることの原因は、労働者側の参加意欲にあるのではない。企業側が労働者らの潜在的能力を無駄にしているのである。非典型労働者はむしろ、職業継続訓練に参加することをより強く望んでいる」とコメントしている。

貧困層が固定化するおそれも

このような職業継続訓練への参加率は、資格が低くなればなるほど、そして低賃金になればなるほど、さらに低くなると同調査報告書は指摘している。高資格を有する労働者は、労働者全体で61.0%、非典型労働者で51.0%が職業継続訓練に参加しているのに対し、低資格しか有しない労働者は、労働者全体で35.2%、非典型労働者で26.4%しか職業継続訓練に参加していなかった。そして、非典型労働者のうち手取り報酬700ユーロ以上の者は、失業者に占める職業教育訓練参加者の割合よりも男性で2.9ポイント、女性で6.8ポイントそれぞれ高かったのに対し、同700ユーロ未満の者では男性で5.7%、女性で3.5%それぞれ低かった。

この点について、ベルマン氏は、「このままでは社会的な立場がそれぞれ固定化し、結果、プレカリアート(不安定・低賃金労働者)層がそこに定着化せざるを得ないという状況を招きかねない。そして、その影響はもちろん、雇用そのものだけでなく、社会保障コストの増大にまで及ぶことになる」とコメントしている。

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