公的年金制度改革法が成立
―労組側は抗議行動の継続を呼びかけ

カテゴリー:高齢者雇用労使関係

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  • 国別労働トピック:2010年10月

国民議会(下院)で可決された後、元老院(上院)でも可決され、一部修正されたため再び下院で調整されていた公的年金制度改革法案が27日、賛成336反対233で最終的に可決された。これをもってフランス全土で繰り広げられた抗議行動が市民生活にも大きな影響を与えた混乱劇に一応の終止符が打たれた。しかし一部労組は抗議行動の継続を呼びかけており、混乱はしばらく続く可能性もある。

上院で法案が審議入りした9月以降、労組を中心とした抗議行動はフランス全土で行われた。国鉄の一部が依然として運休するなど交通関連労組のストが続いたほか、石油、電力などエネルギー関連労組ストの影響は深刻だった。製油所や石油貯蔵施設のストが燃料供給不足を招き、一部のガソリンスタンドが営業停止を余儀なくされるなど市民生活を混乱させた。

政府によるとデモへの参加率は、国家公務員で26.8%(教育関連では28.2%)、地方自治体では15.4%、病院など医療関連では17%に達した。2003年度の最高参加率に及ばないものの、国家公務員(7ポイント増)と病院職員(5ポイント増)に関しては6月24日(年金制度改革案発表時)のデモの規模を超えた。地方自治体のデモ参加率はほぼ変化ない。また、郵便関連では24.7%の職員がデモに参加した(6月時23.1%)。このほかの参加率はフランステレコム社で34.04%(同32.3%)、雇用局で16.9%(同12.3%)、フランス電力(EDF)で21.3%(同15.9%)、フランス国有鉄道(SNCF)で42.9%(同39.8%)、パリ交通公団(RATP)では22%(同18%)となっており、軒並み参加率が上昇している。一部労組はなお抵抗を続ける構えを見せているが、同法案が成立したことにより事態はすでに山場を越したといってもよく、今後労組の戦略も見直しを迫られることになる。

参考

  • 海外委託調査員、Les Echos紙

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