公的年金制度改革、法案審議大詰め
―フランス全土で抗議行動激化

カテゴリー:高齢者雇用労使関係

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  • 国別労働トピック:2010年10月

フランスで公的年金制度改革案の審議が大詰めを迎え、法案への抗議行動が激化している。元老院(上院)は10月11日、改革の柱の一つである年金の全額受給資格年齢を65歳から67歳に引き上げる案を賛成多数で承認した。これでサルコジ大統領が目指す年金制度改革は一歩前進したが、法案全体については20日に改めて採決される予定。しかし抗議行動は全国的に広がっており鎮静化する気配を見せていない。

法案は大規模な抗議行動で一部修正されたものの9月15日に国民議会(下院)を通過、今月上旬より上院での審議が開始されていた。法案が国会に提出された9月以降、全国的な抗議行動は頻繁に行われているが、今回も法案の上院審議入りに合わせてフランス主要労組による大規模なデモが計画され、全国で約350万人(労組発表、警察発表は120万人)ほどが参加した。12日の抗議行動には国鉄など公共交通機関労組も参加、長距離線や近郊路線の列車の一部が運休となったほか、都市地下鉄、路線バスなども減便、航空便も一部欠航するなど市民生活にも大きな影響がでた模様だ。さらに石油関連労働者らもストに参加しており、製油所の操業水準低下で燃料供給にも影響が出始めている。また、12日のデモには高校生が参加したことにより波紋が広がった。高校生らは「高齢者に早期退職を、若者に就業を」というプラカードを掲げ、年金支給年齢の引き上げは若年失業問題を深刻化させると主張しているという。デモは18日にも行われ、高校生ら若者の一部の抗議行動が過激化し治安部隊との衝突も発生した模様だ。主要労組の呼びかけによるデモは19日も行われる予定で事態は混沌としてきている。

参考

  • 海外委託調査員、Les Echos紙

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