過去10年の派遣労働者増加率、先進諸国のなかで最高水準
―CIETT人材派遣事業国際比較調査

カテゴリー:非正規雇用統計

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  • 国別労働トピック:2009年3月

日本では昨年暮れから新年にかけて、「年越し派遣村」がマスコミで大きく取り上げられた。国際人材派遣事業団体連合(CIETT)のデータによって、「労働者に占める派遣労働者の割合」を見ると、先進国の中で、日本とドイツの両国が過去10年間に派遣労働市場が最も急成長している。ドイツは今秋に総選挙を控え、急増する派遣労働者の処遇などが政策課題として浮上している(注1)。

2006年の派遣事業者数、先進諸国中4位

CIETT最新年の2006年データによると、世界の労働者派遣事業者総数(図1)は2万6000社(1996年)から7万7500社(2006年)と、過去10年間に飛躍的に増加した。事業者数が最も多いのは日本(3万6000社)で、これにイギリス(1万500社)、アメリカ(6200社)、ドイツ(5058社)が続く。増加率でみると約5倍に跳ね上がったオランダが最も大きく、約3倍の日本、約2倍のドイツ、イギリスの順となった。アメリカは、企業合併などを理由にほぼ同水準の推移だった。また、同期間の支社数の推移(図2)をみると、ドイツ、日本、スペインの支社数がほぼ3倍に急増しており、オランダ、オーストリア、アイルランド、イギリスでも2倍前後の増加となった。

急拡大する世界の労働者派遣事業収益は2280億ユーロに及んだが、国別シェア(図3)をみると、アメリカ(38%)、イギリス(16%)、日本(11%)が上位を占め、ドイツのシェアは4%に過ぎなかった。

図1

図2

図3

出所:Ciett, ING, Randstad.

過去10年の派遣労働者増加率、日本に次ぐ高水準

06年の派遣労働者総数(フルタイム換算、一日当たり平均)(表1)を見ると、アメリカが圧倒的に多く(296万人)、イギリス(126.5万人)、日本(122万人)、ブラジル(80万人)、フランス(60.3万人)、ドイツ(50万人)の順となった。だが、過去10年間の派遣労働者の増加率(表1)を見ると、日本(約4倍)とドイツ(約3倍)が圧倒的に高くなっている。過去10年間の年平均伸び率(図4)をみても、各々14.9%、12.9%と他の主要先進諸国の伸び率を大幅に上回った。2006年の雇用者全体に占める派遣労働者の割合(表2)は、ドイツの場合1.3%に過ぎず、アメリカ(2.0%)、イギリス(4.5%)、フランス(2.4%)など主要諸国を下回っているが、過去10年の推移を見ると、0.4%(1996年)から1.3%(2006年)へと顕著な上昇をみせた。独連邦統計局が昨年公表したデータ(当機構ウェブサイト2008年11月の記事を参照)では、2007年の派遣労働者比率は2.0%に達している。2002年のハルツ改革の影響を受け、ドイツの派遣労働市場は急成長しつつあることを示している。

表1

Ns: 統計的に非有意。. Nlr: 法的に容認されていない。 Na: データなし。

出所: Ciett & SEO Economic Research, University of Amsterdam.

表2

*ns: 統計的に非有意

*nlr: 法的に容認されていない

出所: Eurociett & SEO Economic Research, University of Amsterdam.

図4

出所: EuroFound, EuroStat, Ciett, Federgon, Prisme, BZA, ABU, REC, AGETT, German state statistics, ONS, Danish Federation, Prognos.

資料出所

  • CIETT (2007) Economic Report 2007. 

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